鴨着く島

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ゴルバチョフ元大統領の死

2022-09-03 11:54:02 | 専守防衛力を有する永世中立国
安倍元首相の死(7月8日)以降、著名人の死が続いている。

政治の分野ではないが、ファッション界の最高峰・森英恵とデザイナー三宅一生の訃報が続き、8月30日には京セラの稲盛元会長。そして今度は旧ソ連邦崩壊の立役者になったゴルバチョフ元大統領の死が報じられた。

1991年にソ連邦が瓦解し、最後の共産党書記長であり、瓦解の直前にソ連邦大統領にもなったミハイル・ゴルバチョフは、91歳の長寿であったが、奇しくも90歳で亡くなった稲盛和夫京セラ元会長とは同世代であった。

両者に親交はないが、共に大きな足跡を残した点で共通している。

アメリカのレーガン大統領とのツーショットが記憶に残るが、ゴルバチョフは1987年にレーガンとの間で「中距離核戦力(INF)」廃棄条約を結び、89年にはブッシュ大統領(父)との間で「東西冷戦の終結」を宣言した。(※この結果、ノーベル平和賞を授与された。)

そして1990年には旧ソ連邦大統領に就任し、翌年には日本を訪問している。この時の日本の首相は海部俊樹であった。

ゴルバチョフは平和友好条約締結に向けて日本との最大の懸案事項であった北方領土について、「平和条約締結後に歯舞・色丹・国後・択捉の返還について協議する」とし、一応は棚上げしたまま、経済協力を日本側に要請したのだが、海部は「4島返還後でないと、経済協力には応じられない」という原則を曲げなかった。

日本側の「まずは4島一括返還」という原則主義は無理からぬことだが、ゴルバチョフの申し出にその時に乗っていれば、20数年後の安倍元首相がせっせとプーチンに媚びを売るだけの無駄な交渉をしないで済んだのかもしれない。今から思うと惜しいチャンスを逃したという他ない。

ゴルバチョフは新生ロシアの初代大統領をエリツィンに譲り、その後に権力の座をもぎ取ったプーチンが憲法に定められた任期期限を超えようと傀儡のメドベージェフを3代目に据え、その後復活するというKGB仕込みの陰謀的なやり方で現在の4代目の座に就いた。

プーチンが権力について以降は、ゴルバチョフの敷いた「欧米協調路線・民主化路線」は反古にされ、プーチンは再びロシアを欧米とは違う強国として復活させようとしている。

今度のウクライナ侵攻に反対していたゴルバチョフに貸す耳のあるはずはなく、ウクライナを反欧米の人身御供にしようとしているのが今のプーチンである。

こんなプーチンのロシアを国連安保理の常任理事国にしておく意味があるのだろうか?

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