今夜のテレビ番組で「オールスター合唱バトル」(読売テレビ)を観た。
アスリートを含む芸能人の各分野から20名くらいの合唱団を構成し、5名の審査員の採点で優勝者を決めようという番組だが、合唱団は7つあり、総勢140名の出演者からなる大きなイベントであった。
各合唱団が自分たちで選んだ2曲を唄って争うのだが、歌そのものよりも合唱に特有の構成の良さが勝敗を分けた。
結論から言うと、優勝は同点で二組あった。一つは「演歌合唱団」、もう一つは「歌うま芸人合唱団」だ。
演歌合唱団はプロ集団だから当然と言えば言えるが、歌うま芸人の方は演出が良かったため高得点が出たようだ。
後の五つは「最強ボーカリスト」「ものまね芸人」「歌うまアスリート」「アイドル」そして「ママ」という顔ぶれで、最強ボーカリストはあの秋川雅史を団長とするボーカルのプロ集団、歌うまアスリートは全日本級のアスリートが勢揃いし、アイドルはAKBなどの出身者たちだった。
中で変わっているのが「ママ合唱団」だ。団長は大食いタレントのギャル曽根で、要するに子持ちの芸能人が集められて結成されていた。元歌手も何人か入っていた。
この合唱団、私は番組の言わば「フェイク」だと思っていたのだが、あに計らんや一曲目に500万点中495点という高得点を叩き出したのだ。一曲目のトップは「演歌合唱団」だったが、その差はわずかだった。驚いたのがプロ集団の「最強ボーカリスト合唱団」を上回ったことだ。
ママ合唱団が一曲目に選んだ曲はmisiaの「アイノカタチ」という曲で、これは実によかった。自分もだが、会場で聴いている出場者たちの何人もが涙を堪え切れずにいた。
カラオケではほとんど聴かない曲だが、彼女ら母親たちの口から「大好きだよ」と唄われると、彼女たちの子どもへの愛情あふれる言葉に聞こえ、ジンとくるものがあった。
合唱の持つ「歌の力」は大きい。個人間の垣根を越えて一体感が皆を包み込む。歌うまアスリートの誰かが「自分は個人競技だから今度の合唱に加わってとても良い経験になった」と感想を漏らしていたが、その通りだろう。
特にこの「ママ合唱団」の「アイノカタチ」の一曲は驚き桃の木だ。もちろんmisia本人単独の歌も素晴らしいのだろうが、この際は合唱団の方が心への訴求力がより強かったと思われる。母性の為す技かもしれない。
冗談めくが、この合唱団の歌を争いの絶えない所に送って聴かせてやりたいものだ。