昨日6日からNHKで新たに「プロジェクトX~挑戦者たち~」が始まった。
オープニングのテーマソングは昔の番組の時と同じ中島みゆきの「地上の星」だった。
以前の番組は約20年前の2000年から5年余り続いたのだが、ほとんどは欠かさずに見ていた(と思う)。
番組の内容は大方忘れたが、中島みゆき唄う「地上の星」は強烈に印象に残った。
2003年の春に鹿屋市に引っ越してきてからカラオケボックスが身近になり、よく行くようになったが、男歌ではおおむね昭和歌謡を唄った。
女歌となるとせいぜい八代亜紀の「舟唄」か五輪真弓の「恋人よ」の2曲くらいをたまに唄うことがあったが、このプロジェクトXの主題歌が耳に入った時にはちょっとした衝撃が走った。
内容もだが、何しろ歌い方が男性的なのだ。当時は中島みゆきという女性歌手の存在そのものを知らなかったので、最初聴いた時は「男性歌手?」と思ったくらいだ。
しかし、聴く毎に関心の度合いが強まり、ついにカラオケボックスで唄うようになった。
女性歌手の歌を唄う場合、キーの上げ下げが重要になるのだが、地上の星はほぼ上げ下げ無しでも原曲を一オクターブ下げて唄えば何とかなった。
もちろん演歌ではなく、ポピュラーソングに入ると思うのだが、ポピュラーというには余りにも歌曲に近い歌である。
その後、今までのカラオケ歴の中で、女性の歌ではダントツによく唄った。同じ歌手の「時代」も好きな歌である。
これら2曲に共通しているのは、「忘れ去られた者への哀惜」だが、単なる悲哀ではなく力強く謳い上げる励ましだろう。内容は哀切だが、聴くものを励まし、前を向かせてくれる名曲だ。
再び「地上の星」が身近に聞こえて来る時がほぼ20年ぶりにやって来た。番組の内容とともにこの20年という時代と自分を振り返るよすがにもなろう。
ところでこれも昨日だったか、上に挙げた自分が唄える女歌「舟唄」「恋人よ」のうち、五輪真弓の「恋人よ」は今ベトナム人の間で大人気だそうだ。
ベトナムの人気女性歌手がカバーしているのだが、テレビに映されたのを聴いてみると「恋人よ」の日本語の歌詞をそのまま歌うのではなく、その人気歌手がベトナム語に翻意した内容で唄っているのだった。
ベトナム語に翻意したからと言って元歌の歌詞の内容には忠実であるらしい。それがベトナムの若者たちにも受けているようだ。
外国語の歌の場合、こういう翻意はよくあることで、内容に忠実であれば許されるだろう。もっとも元歌の作り手がその翻意の内容を聴いて「怪しからん、私の言いたいことと違う」とクレームを付ければ、話は別だが、著作権上、五輪真弓のOKは取ってあるに違いない。
古い話だが、日本の唱歌として学校で唄われて来た「旅愁」(明治40年。日本語の歌詞は犬童球渓。元歌の詞曲はJ.P.オードウェイ)の歌詞はオードウェイの原詞とは似ても似つかない意訳(というより新作)である。
明治政府の文部省がこの犬童球渓の詞を採用したから、今日まで歌い継がれて来たわけだが、当時の文部省がアメリカ人の原作者オードウェイに対してどう話を付けたのだろうか。
当時はまだアメリカでも歌に関しては著作権の規定は緩かったのかあるいは無かったのか、若干気になるところだ。