鴨着く島

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銃社会と民主主義?

2024-07-15 09:48:22 | 災害
昨日(14日)の朝、旧関口宏サンデーモーニングを見ていたら、緊急ニュースが入った。

ニュースキャスターの口からは驚くべき情報がもたらされた。

あの大統領候補トランプが演説中に銃で撃たれたというのだ。ややあってその生々しい映像が映し出された。

聴衆に向かって演説していたトランプが右手方向からの銃声に気付くと同時に振り向いた途端、違和感を感じたらしい右の耳を手で触り、ほぼ同時に演説台の前にうずくまった。

あの瞬間にもしトランプがドッと倒れ込むようであれば頭を射抜かれたに違いないが、自らの意志でしゃがみこんだので、側頭部を弾丸がかすめただけと分かった。怪我は浅いようだったが、頬に鮮血が流れているのがはっきりと見えた。

その後、シークレットサービスや護衛の係官が6,7人がかりでトランプを囲み、演説の壇上から連れて行こうとしながら、トランプは気丈にも聴衆に向かって何かを叫びながら右手のこぶしを何度も突き上げていた。

あとで分かったが彼は「(テロに負けずに)戦うぞ!」と叫んでいたらしい。

聴衆は初め極度にざわついていたが、トランプのその叫びと、こぶしを突き上げる強気な姿に、今度は一転して大歓声を上げていた。

ドラマチックな話である。

一部で「やらせでは?」という疑問が出たが、130メートル離れた屋根によじ登ってトランプを撃った犯人は特定され、シークレットサービスによって射殺されたという。

狙撃犯は20歳の若者(白人)で氏名も分かっているので、やらせという考え方は無理だろう。

20歳の成人だから自分で銃は購入でき、登録もできるのだが、彼の場合は自分のではなく父親の物だということも分かっているそうだ。

18歳を機に共和党員になったというのだが、そのような若者が何でまた共和党の大統領候補を殺害しようとしたのだろうか。真相判明はこれからだ。

トランプの支持母体の共和党は「自分の身は自分で守る」という古来(?)のアメリカ的な価値観が強く、かの有名な「全米ライフル協会」も支持しているのだが、今度の事件は銃社会がその矛盾をさらけ出したと言える。

トランプ自身も銃所持賛成者だが、彼の言い分は「銃を所持する人間の精神の問題だ」と銃規制に動こうとする民主党には歯牙もかけないようだ。

つまり「銃そのものに罪はない」のだそうだ。犯罪歴のある者や精神疾患を持つ者への販売は禁止するが、正常なアメリカ国民なら所持しても何のお咎めもない。

アメリカではこのようにして銃による犯罪(殺人)は年間3万人とか聞かされると、いったい何が文明なのか分からなくなる。

「銃に罪はない」なら「武器にも罪はない」で、もっと言えば「核兵器にも罪はない」となろう。

岸田首相は今回の事件を受けて、「民主主義に挑戦する暴力だ」とコメントをしている。

たしかに民主主義の根幹である自由選挙演説に向けての妨害行為であるから、民主主義を危うくすることになるのだが、「アメリカ社会が銃による暴力から自由になることを願っている」というようなプラスのコメントをして欲しかった。

もっとも日本でも、ちょうど二年前に奈良県の御所市で参議院議員選挙の応援演説中の安倍首相が改造拳銃で撃たれて命を落とすという事件があったばかりだ。

こちらはまだ公判中だが、犯人の動機ははっきりしている。旧統一教会への多額の献金によって家族の生活が破壊された恨みである。

本来なら旧統一教会の政治団体である「国際勝共連合」と安倍さんの祖父の岸首相(当時)との繋がりによって教会が日本人をターゲットとする集金マシンとなったので、岸首相を恨むべきなのだが、2代遅れの安倍さんが凶弾に斃れるという「江戸の仇を長崎で討つ」ような具合になってしまった。
(※江戸時代だったら仇討ちは公認されていたが、それも親が殺害された場合のみである。)

いずれにしても「銃社会アメリカ」の暗部が白昼堂々とさらけ出された今度のトランプ暗殺未遂事件であった。