野球の話を振ってくる営業マンが嫌いだ。
もちろん、会社の机周りに「ロッテファンです。あと、ヤクルト
(石川)も好きです!」という飾り物をめっちゃ並べている私が
悪いんだけど、「雑談で親しくなって発注を取る」という昭和な
発想が嫌い。あと、雑談が仕事の邪魔になることがわからない
営業マンは無能だと思う。
編集者それぞれに印刷所への発注権限があった頃、だからかは
わからないが、某印刷所の営業マンが「ロッテ、最近○○じゃ
ないですかー」としょっちゅう言ってきてうるさかった。
しかも野球ファンは「自分は××ファンです」と立場を明らかに
するけれど、媚びて野球のことを持ち出す奴はそれを言わない。
自分は野球ファンでもないのに野球のことをいちいちチェック
して話しかけてくるとか、気持ち悪いからやめれ。
そして、野球を社交辞令の道具にしているだけなので、ピントが
ずれたトークを仕掛けてきたりする。
その営業マン、別の野球好き女子に「〇〇選手、今、炎上して
ますね」とか声をかけて超~逆鱗に触れていた。
彼女はその投手が命がけで好きすぎて「彼が投げてるときは、
心配で試合が見られない」と言っているくらいなのに!
野球を、そして野球ファンの心の機微をわからない分際で、
野球を営業ツールに使おうなんて一万年早いわ。
同じころ、それとは別の業者の営業マンが「野球お好きでしたら、
券があるのですが…」と声をかけてきた。めっちゃほしいけどさ、
当時ハケンだった立場で、派遣先がそういうのをもらうのを許可
するかわからないよ。もちろん業者は、10年以上も勤めてる
古狸の私がハケンだなんて知らないから仕方ないけど…。
業者は年間シートを買っていたらしく、券が残ってもったいない、
という状況だった模様。
「会社的に、そういうのをもらっていいのかわからないので…」
とかごちゃごちゃ言ってたら、結局、業者が「当社の上から
許可が出たから、あくまで『個人として』もらってください」と
まで言いだした。上司が「個人のやりとりは聞かなかったって
ことで」と言ってくれたので、巨人戦のチケットをもらった。
うれしいが、面倒くさい…。もらうけど。行くけど。
だがしかし! その業者さんはミスや意思疎通のズレが多くて
使いづらいところだったので、券をもらったからといって心を
動かされることなどまるでなく、以降も私は実力主義という
ことで、その業者を敬遠し続けたのであった。
会社の近所に、でかい羊肉を柔らかく煮た料理を安く食わせて
くれる店があってランチに愛用してたんだけど、偶然、私が
神宮球場によく通っていることを店主に話す機会があった。
私、あまりお店の人と会話しないんだけど、店主の友人が来てて
その人がヤクルトファンだったため、私の「交流戦ロッテ×
ヤクルトトートバッグ」に気づいて声をかけられ、そんな話に
なったわけだ。
以来、その店に行くと店主が、シーズン中は「どうですか、
最近は行ってますか」、オフには「行けなくて寂しいですね」
などと言ってくるようになった。う~ん、めんどくさい。
「いや、実際はロッテファンなんですよ」と何度言っても全然
覚えない。私をヤクルトファン認識して「昨日勝ちましたね」
「昨日中止でしたね」などなど、ヤクルト・神宮基準でむやみに
話しかけてくる。あげく、「最近連敗してますね」とか言われて
イラッ。ロッテは勝っとるわ! しかも、私がヤクルトファン
ならそれはそれで「連敗してますね」とか失礼だから!
行くたび行くたび「最近、野球(ヤクルト)どう」ってこと
ばっかり話しかけられるので、応対するのが面倒くさくなって、
とうとうその店に行くのをやめてしまった。
店主は親しみをこめて話しかけてきてたんだろうが…
「野球の話をしたらなんでも喜ぶだろう」という扱いはちょっと。
それまで5年も6年も店主とまったく会話しないでお店に通って
いたんだから、いいんだよ、メシだけ出しておいてくれよ…
一方で、私が超~信用して愛用している組版所の営業さんは、
ビジネスの話しかしない中、ごくごくまれにする雑談の中で
「実は私は西武ファンで」と教えてくれて、年に数回くらいは
野球の話をしたりする。
実質「ほぼ仕事の話しかしない」という営業さんは信用できる。
しかもちゃんと自分も野球ファンなので、野球の会話が短くて
濃い。「負けてますね」とか「打たれましたね」みたいな失礼な
ことは当然言うはずもない。
やっぱり優秀な営業マンは野球で取引先に媚びたりはしないのだ。
「職場では政治と宗教と野球の話はするな」というのが昭和の
社会常識。それは今でもその通りだと思う。
そもそも「世間話」で契約を取ろうなんて取引先に失礼。
特に野球は、繊細な機微があって、微妙な力加減が難しい話題で、
相手に合わせようと生半可に持ち出したってダメなのよ!
こんなコラムを書いているまさに今、昭和の巨人ファンであり、
最近はすっかり野球を見なくなった父が声をかけてきた。
「どうだ、ロッテは負けてるか?」
こういう話題の振り方はほんとにイラつく。ロッテが勝ってても
負けててもイラつく。ロッテに興味ない人はほっといてくれよ!
濃い野球ファン同士は、お互いに相手のひいきチームが不調なら
野球を話題にしないようにして、配慮し合って共存している。
熱心に応援するチームがあってこそ、相手の心境も想像できる。
野球ファンに、野球を使って媚びてはいけない。
唯一有効なのは、野球のわかる人に「野球に連れていってほしい、
教えてほしい」と言ってデートに誘うなどする場合だろう。
なお、会社の同僚で、野球が全然わからないがゆえに、いつも
微笑ましい会話を繰り広げてくれる女子がいる。
さきの某〇〇投手が大好きな同僚に、その女子ときたら、
「ねえ、××さんの好きな〇〇って投手は、今日は投げないの?」
と問いかけたりする。えええ昨日100球以上投げた先発投手は
今日は投げないよ!
「そうか、毎日は投げないんだー」
10月下旬、彼女はその同僚と私に向かって、実に無邪気に、
「最近、野球の話が出なくなったねー。試合ないの?」
と言ってくれたりする。…ええ、私たちはもう試合がないのよ…。
まだやってるチームもあるけどね…。
でも「私は野球のことが全然わからない」と自覚していて素直に
問いかけてくるのなら、ぐさっとくるセリフが発せられても
まったく腹が立たない。というか、可愛くて楽しい。
また、サッカーファンの人に「最近野球どう?」と訊かれるのは、
野球に興味ない人からでもなんかうれしい。「私のサッカー道、
あなたの野球道」みたいな感じでお互いにリスペクトが成立して
いるのを感じる。
やっぱり「営業トーク」「社交辞令」などのお愛想的な会話に
無理やり野球を持ち出されてくると面倒くさいしイラッとする。
野球ファンでない方々よ、野球ファンは単純に「野球の話をして
あげたら喜ぶ」わけではない。たいへん面倒くさい心理が働く
ものなので、「野球ファンの人に話を合わせる」という意図での
話題の振り方はしないことをおすすめする。
でも、素直に「知りたーい」と思った時などは楽しく問いかけて
みてほしい。純粋にあなたから出た気持ちなら、野球ファンは
きっと楽しく応えてくれるだろう。
またあのお店に羊肉を食べに行きたいなあ…
でも、行ったら「お久しぶり、今も神宮に行ってるんですか?」
って言われるんだろうな…と思うと、手前でついつい別の道へと
それて行ってしまう。
野球の話は罪深い。愛深きゆえに罪深いのだ…
*あっさっきヤクルト小川泰弘がノーノ―達成。おめでとう!
もちろん、会社の机周りに「ロッテファンです。あと、ヤクルト
(石川)も好きです!」という飾り物をめっちゃ並べている私が
悪いんだけど、「雑談で親しくなって発注を取る」という昭和な
発想が嫌い。あと、雑談が仕事の邪魔になることがわからない
営業マンは無能だと思う。
編集者それぞれに印刷所への発注権限があった頃、だからかは
わからないが、某印刷所の営業マンが「ロッテ、最近○○じゃ
ないですかー」としょっちゅう言ってきてうるさかった。
しかも野球ファンは「自分は××ファンです」と立場を明らかに
するけれど、媚びて野球のことを持ち出す奴はそれを言わない。
自分は野球ファンでもないのに野球のことをいちいちチェック
して話しかけてくるとか、気持ち悪いからやめれ。
そして、野球を社交辞令の道具にしているだけなので、ピントが
ずれたトークを仕掛けてきたりする。
その営業マン、別の野球好き女子に「〇〇選手、今、炎上して
ますね」とか声をかけて超~逆鱗に触れていた。
彼女はその投手が命がけで好きすぎて「彼が投げてるときは、
心配で試合が見られない」と言っているくらいなのに!
野球を、そして野球ファンの心の機微をわからない分際で、
野球を営業ツールに使おうなんて一万年早いわ。
同じころ、それとは別の業者の営業マンが「野球お好きでしたら、
券があるのですが…」と声をかけてきた。めっちゃほしいけどさ、
当時ハケンだった立場で、派遣先がそういうのをもらうのを許可
するかわからないよ。もちろん業者は、10年以上も勤めてる
古狸の私がハケンだなんて知らないから仕方ないけど…。
業者は年間シートを買っていたらしく、券が残ってもったいない、
という状況だった模様。
「会社的に、そういうのをもらっていいのかわからないので…」
とかごちゃごちゃ言ってたら、結局、業者が「当社の上から
許可が出たから、あくまで『個人として』もらってください」と
まで言いだした。上司が「個人のやりとりは聞かなかったって
ことで」と言ってくれたので、巨人戦のチケットをもらった。
うれしいが、面倒くさい…。もらうけど。行くけど。
だがしかし! その業者さんはミスや意思疎通のズレが多くて
使いづらいところだったので、券をもらったからといって心を
動かされることなどまるでなく、以降も私は実力主義という
ことで、その業者を敬遠し続けたのであった。
会社の近所に、でかい羊肉を柔らかく煮た料理を安く食わせて
くれる店があってランチに愛用してたんだけど、偶然、私が
神宮球場によく通っていることを店主に話す機会があった。
私、あまりお店の人と会話しないんだけど、店主の友人が来てて
その人がヤクルトファンだったため、私の「交流戦ロッテ×
ヤクルトトートバッグ」に気づいて声をかけられ、そんな話に
なったわけだ。
以来、その店に行くと店主が、シーズン中は「どうですか、
最近は行ってますか」、オフには「行けなくて寂しいですね」
などと言ってくるようになった。う~ん、めんどくさい。
「いや、実際はロッテファンなんですよ」と何度言っても全然
覚えない。私をヤクルトファン認識して「昨日勝ちましたね」
「昨日中止でしたね」などなど、ヤクルト・神宮基準でむやみに
話しかけてくる。あげく、「最近連敗してますね」とか言われて
イラッ。ロッテは勝っとるわ! しかも、私がヤクルトファン
ならそれはそれで「連敗してますね」とか失礼だから!
行くたび行くたび「最近、野球(ヤクルト)どう」ってこと
ばっかり話しかけられるので、応対するのが面倒くさくなって、
とうとうその店に行くのをやめてしまった。
店主は親しみをこめて話しかけてきてたんだろうが…
「野球の話をしたらなんでも喜ぶだろう」という扱いはちょっと。
それまで5年も6年も店主とまったく会話しないでお店に通って
いたんだから、いいんだよ、メシだけ出しておいてくれよ…
一方で、私が超~信用して愛用している組版所の営業さんは、
ビジネスの話しかしない中、ごくごくまれにする雑談の中で
「実は私は西武ファンで」と教えてくれて、年に数回くらいは
野球の話をしたりする。
実質「ほぼ仕事の話しかしない」という営業さんは信用できる。
しかもちゃんと自分も野球ファンなので、野球の会話が短くて
濃い。「負けてますね」とか「打たれましたね」みたいな失礼な
ことは当然言うはずもない。
やっぱり優秀な営業マンは野球で取引先に媚びたりはしないのだ。
「職場では政治と宗教と野球の話はするな」というのが昭和の
社会常識。それは今でもその通りだと思う。
そもそも「世間話」で契約を取ろうなんて取引先に失礼。
特に野球は、繊細な機微があって、微妙な力加減が難しい話題で、
相手に合わせようと生半可に持ち出したってダメなのよ!
こんなコラムを書いているまさに今、昭和の巨人ファンであり、
最近はすっかり野球を見なくなった父が声をかけてきた。
「どうだ、ロッテは負けてるか?」
こういう話題の振り方はほんとにイラつく。ロッテが勝ってても
負けててもイラつく。ロッテに興味ない人はほっといてくれよ!
濃い野球ファン同士は、お互いに相手のひいきチームが不調なら
野球を話題にしないようにして、配慮し合って共存している。
熱心に応援するチームがあってこそ、相手の心境も想像できる。
野球ファンに、野球を使って媚びてはいけない。
唯一有効なのは、野球のわかる人に「野球に連れていってほしい、
教えてほしい」と言ってデートに誘うなどする場合だろう。
なお、会社の同僚で、野球が全然わからないがゆえに、いつも
微笑ましい会話を繰り広げてくれる女子がいる。
さきの某〇〇投手が大好きな同僚に、その女子ときたら、
「ねえ、××さんの好きな〇〇って投手は、今日は投げないの?」
と問いかけたりする。えええ昨日100球以上投げた先発投手は
今日は投げないよ!
「そうか、毎日は投げないんだー」
10月下旬、彼女はその同僚と私に向かって、実に無邪気に、
「最近、野球の話が出なくなったねー。試合ないの?」
と言ってくれたりする。…ええ、私たちはもう試合がないのよ…。
まだやってるチームもあるけどね…。
でも「私は野球のことが全然わからない」と自覚していて素直に
問いかけてくるのなら、ぐさっとくるセリフが発せられても
まったく腹が立たない。というか、可愛くて楽しい。
また、サッカーファンの人に「最近野球どう?」と訊かれるのは、
野球に興味ない人からでもなんかうれしい。「私のサッカー道、
あなたの野球道」みたいな感じでお互いにリスペクトが成立して
いるのを感じる。
やっぱり「営業トーク」「社交辞令」などのお愛想的な会話に
無理やり野球を持ち出されてくると面倒くさいしイラッとする。
野球ファンでない方々よ、野球ファンは単純に「野球の話をして
あげたら喜ぶ」わけではない。たいへん面倒くさい心理が働く
ものなので、「野球ファンの人に話を合わせる」という意図での
話題の振り方はしないことをおすすめする。
でも、素直に「知りたーい」と思った時などは楽しく問いかけて
みてほしい。純粋にあなたから出た気持ちなら、野球ファンは
きっと楽しく応えてくれるだろう。
またあのお店に羊肉を食べに行きたいなあ…
でも、行ったら「お久しぶり、今も神宮に行ってるんですか?」
って言われるんだろうな…と思うと、手前でついつい別の道へと
それて行ってしまう。
野球の話は罪深い。愛深きゆえに罪深いのだ…
*あっさっきヤクルト小川泰弘がノーノ―達成。おめでとう!