日本シリーズ! ロッテは出られませんでしたが、かぶりつきで
観ています。予想通りここまではホークスの圧勝!
ただ、もちろん、勝負は蓋を開けるまでわかりませんから、調子に
乗りすぎることなく、真摯な気持ちであと2試合をテレビで観戦
したいと思います。ん? 何か変なこと言ってるかな私?
それにしても、今年の日本シリーズ、ロッテが主役と言っても
過言じゃないじゃないですか!(いや過言だけどさ)
「なんだホークスのこの圧倒的な強さ!」という話になれば、
「だがシーズンでこのホークスに勝ち越したチームがある!」と
いう話になります。そう、それがロッテ!
「低レベルの日本シリーズで見るに値しない!」という話になれば、
「CSのソフトバンク×ロッテのほうが面白かった」とか、挙句は
「CSのロッテ戦のほうが日本シリーズだった」とまで、多くの
野球ファンに言ってもらえちゃったりしています。
そして、みんながあの「巨人はロッテより弱い」をネタにしようと
待ち構え、この2試合のホークスの圧勝を受けて「2005年の
ロッテ×阪神の日本シリーズ、33対4を超えるのか!?」と
いうのが注目ポイントになっている始末…。
このあとの日本シリーズ、注目ポイントを「33対4に迫れるか、
超えられるか!?」に置いている野次馬ファンが増えています。
阪神ファンは「超えてくれ!」なのか「このネタまで読売に持って
いかれてたまるか!」なのか…。
そう考えると、「巨人はロッテより弱い」「33対4」のテッパン
のネタを持ってるロッテって、ある意味日本シリーズにいつも顔を
出す「常連」じゃん!
と、CSで負けてこの晴れの舞台に出られなかったロッテファンが
ほざいています。
さてここからは、セ・パ両リーグをちゃんと観戦している者として
今回特に話題の「セ・パの野球の差」について語ります。
まず、前提条件として、私は「ロッテしか見てないパファン」では
ありません。東京在住、かつヤクルトのファンクラブ会員なので
ヤクルト戦や巨人戦も球場によく見に行きます。
2015年:マリン4回、神宮16回
2016年:マリン7回、神宮5回、東京ドーム3回
2018年:マリン23回、神宮11回、東京ドーム4回
2019年:マリン12回、神宮11回、東京ドーム4回
こんなふうに、マリンに行った回数より神宮に行った回数のほうが
多い年もあるくらい、球場でセの試合を生で観ています。
生まれてから20年以上はガチガチの熱狂的巨人ファンだった私、
球場でもテレビでもヤクルト戦と巨人戦を中心にセの試合を
観てきました。(DeNA戦もけっこう見るかも)
ヤクルトの石川雅規、村上、巨人の岡本、何より坂本…あとは
DeNAの今永…応援したい・好きな選手が何人もセにいます。
だから、パ・リーグ推しのためにむやみにセ・リーグを貶めたい
だけの一部のアホなパファンとはわけが違います。
…と、それだけ盛り盛りの前振りをしておいて、言いたいことは
世間の皆々さんたちと一緒です。
「セとパの根本的なレベルが違いすぎる。セの野球は生ぬるい」
それを語るには、それなりのセ・パ両方の観戦を経ていることが
最低限の礼儀でしょう。
そして…こんだけセもしっかり見ていて、やっぱり、セの野球は
退屈です。
どこに差があるかという話ですが、よく「パワーとスピード」と
言われますよね。でも本質的には「スピード」だと思います。
別の言い方をすると「意識と挑戦意欲」。
今年、ソフトバンクに善戦したロッテですが、はっきり言って、
「パワー」はありません。選手、揃ってみんなが超~非力。
それでも、パワーとスピードを兼ね備えたホークスと互角に組み
合えるんですよ。(終盤は全然互角じゃなかったけど…)
じゃあ、パ・リーグがセ・リーグに勝るという「スピード」または
「意識と挑戦意欲」って何よ。
それは「可能性に賭けて勝利のためにギリギリまで攻める」こと。
セ・リーグの選手って、自分の打った打球を実際の結果が出る前に
自分で「セカンドゴロ」とか「ライトフライ」とか決めるんだよね。
だから一塁ベースまで全力疾走する選手が少ない。
だって彼らはもう「凡退し終わってる」んだもん。
そこを全力疾走してみせるのは、「出場機会を得るために首脳陣に
アピールする若手」とか「意識高い系を標榜する選手」って感じの、
いわば「特殊な条件下にいる人」がやること。
自分の打った打球がアウトかどうかを決めるのは自分。ボールが
一塁に渡ってアウトが宣告されるのは単なる儀礼的なもの。
それがセ・リーグの野球。
一方パ・リーグは「凡退でも一塁まで全力疾走を怠らない」のでは
ないのですよ。
セーフになる可能性があるから一塁まで全力で走るのです。
だって実際、ショートゴロやサードゴロって、ちょっと間違うと
セーフになるんだよ。パ・リーグではそういう場面をよく見るよ。
あるいは、セカンドがジャッグルしたら? ピッチャーが浮いた
送球をしたら? ファーストが捕り損ねて慌てて拾ったら?
プロ入り初年度のロッテ・荻野貴司は、ショートが何ら処理をミス
していないショートゴロでセーフになったよ。
パ・リーグでは「今のアウトギリギリだった!」という内野ゴロが
しょっちゅうあります。
内野ゴロは「セーフになるかもしれない打球」。だから守備も、
一刻も早く捕球して最速で投げなきゃならなくて、急いだせいで
ミスが誘発されたりもします。
たかが内野ゴロでもプロの攻防が見られるのがパ・リーグ。
内野ゴロが本当にアウトになるのかわからない緊張感が続く試合は、
三者凡退でも退屈できないかもしれないのです。
なのにセ・リーグは、打者がアウトと自分で決めてしまうので、
「全力疾走してたらギリギリセーフだったかも…」という打球でも、
必ず、打者の判断通り、アウトになります。
とんでもない暴投みたいな事故が起これば覆るけど、アウトの
つもりでチンタラ走っている打者走者を見れば、野手は落ち着いて
プレーできます。つまりエラーを誘発するチャンスも放棄。
凡打は凡打でしかないセ、凡打が出塁に化けるかもしれないパ…。
日本シリーズを見ていて「ホークスの走塁意識高い、キューバの
外国人まで一塁に全力疾走」とかセのファンが驚愕してるけど、
それはホークスじゃなくてキューバがそう指導してるんだと思うよ。
デスパイネは、ロッテにいる時から一塁まで全力疾走してました。
ホークスがことさらすごい、という話じゃ全然ない。
今回、坂本が全力疾走しなかったことがやり玉にあがったりして
いますが、それは坂本個人の意識がどうこうじゃなくて、そういう
文化の中にいるからでしょう。
彼の立場じゃ「出場アピール」も「意識高い系アピール」も不要。
他の人と同じように「アウトの打球はアウト」と思って、アウトに
なるのを見届けるために一塁へ向かうだけ。そういう文化なのです。
ツーアウト2塁でヒットが出てもホームにかえれないことが多々
あるセ・リーグ。
ランナー1塁で、内野を抜ける深めのライト前ヒットが出ても、
走者が3塁に向かう気すらない選手がたくさんいるセ・リーグ。
ランナー1、2塁でセンター前ヒットが出ても、1塁ランナーが
3塁を狙う心配がないから、センターが迷わずバックホームしたり
するセ・リーグ。結果、3塁を回りかけていた走者も送球を見て
ホームインを断念して、満塁→無得点でイニング終了…。
大きく弾んだライト前ヒットで、2塁まで行っちゃうこともある
パ・リーグ。
ランナー1塁で、内野を抜けるライト前ヒットが出て、当然3塁を
狙うランナー、全力で進塁を阻止するすごい送球をみせるライト、
3塁上でのギリギリのタッチプレーに息をのむパ・リーグ。
ランナー1、2塁でセンター前ヒットが出て、2塁ランナーが
本塁を狙う、この時1塁ランナーはわざと2塁を飛び出して
ホームインをアシストするのか、2アウトだからアウトに
ならないために2塁にわざと留まるのか、観ている側も
アウトカウントと走者の走力と状況を天秤にかけて息をのむ
パ・リーグ。本塁刺殺に賭けてバックホームを選択すれば、2塁に
止まっていた走者は当然進塁する…
攻防の前提条件が違いすぎるんです。
セでは「この選手はこの場面では走らない」「この選手なら走る」
みたいな役割分担が決まっていて、その範囲内でしか出来事が
起こらない。観戦していてそう思います。
パではデブが走り、鈍足が次の塁を狙い、俊足がとんでもない走塁
を見せて球場じゅうが熱狂する。ロッテでは、低打率の打てない
選手が1試合に3四球で「猛歩賞」(笑)。
勝つために有効なのは「ヒットやホームランを打つ」だけではない。
ありとあらゆる方法で一つでも先の塁を狙い、目指す先にあるのは
本塁=得点。誰もが少しでいいから先の塁を目指して、あらゆる
手段を尽くし、ギリギリで攻防するのがパ・リーグの野球。
ピッチャーの球が速いとか、打者にパワーがあるとか、そういう
部分もあるけれど、一番違うのは「ダイヤモンドを回ろうと先へ
進む意識」です。
今年はヤクルト村上が「パーフェクトスチール」…二盗三盗本盗を
1イニングで決めましたが、相手チーム(阪神)の意識の低さが
実現させてしまった盗塁だったと思います。
村上は、実は足が速いし走塁も上手いのに「『走る選手』とは認識
されていない長距離打者」=「走らないはずの選手」という認識。
村上は称賛されて当然ですが、逆に、セにはやっぱり「常に誰もが
先の塁を狙っている」という意識がないからこんなことが起こって
しまうのだな…と思いました。
セ・リーグの野球って大部分が「予定調和」なんですよね。
もちろんそれだけでは勝敗はつかないんだけど、内野ゴロの一つが
得点をめぐる攻防になりうるパ・リーグより「不確定要素」は断然
少ない。可能な範囲内でしか進塁しない試合と、「まさかこんな
ところで先の塁を!?」という試合、どっちが面白いかしら??
そして、セでは打者走者がゆっくり走るからゲッツーはなかなか
崩れませんが、パでは打者走者が本気で走る上に俊足多数だから
1塁がセーフになるのをよく見ます。
内野ゴロが内野安打になり、ゲッツーが崩れるばかりでなかなか
アウトカウントが増えない…となったら守るのはしんどいですよ。
セにちょっとずつアウトカウントが多くつき、パがちょっとずつ
多く先の塁に進んでいったなら、9回が終わった時、得点差は
すごいことになります。それがセとパの違いです。
(そして投手も打者もパワーすげ~、というのはソフトバンク
固有の「違い」です。セとパの問題ではない)
ソフトバンクは確かにパの中でも地力がありまくりなわけですが、
それでも「ロッテごとき」が、工夫で、ある程度崩せるわけです。
巨人様ほどのお金も選手層もない中で、新米監督の井口がこんだけ
できるのに、世界一にもなった原辰徳が手も足も出ずに「DH制の
せい」だとか「流れが来ない」だとか…
コテンパンにやられて、「そこじゃない」ってことを理解せえや。
そしてセ・リーグも「やっぱ9人制野球は面白いな!」という
ハイレベルで素晴らしい野球をせえや。
だいたい、去年あんなにやられて、優勝が決まってからも対策する
ヒマがめちゃめちゃあったのに、巨人は何をやってたわけ?
パ・リーグのファンは、「これまで人気があったセ・リーグを
ひがんで、ここぞとばかりに仕返しにディスる」みたいな真似を
しちゃダメです。文句を言うならセのいい試合をいくつも観て、
「そんでもパのほうがおもろいな~」と実感してからね。
セ・リーグのファンはぜひとも、「パのファンが面白いと自慢する
パ・リーグ野球とは?」と興味を持って、レギュラーシーズンの
試合を観てみてください。
…いや、時々絶望的にひどい試合もあるんだけどさ…。
とにかく、日本シリーズの裏の主役・ロッテのファンとして、
さらにはセ・リーグもだいぶ観ている元G党の燕クルーとして、
今年の日本シリーズを観ていて言いたくなった「セとパの差」に
ついて調子に乗って語ってみました。
でも今のホークスは下がり目から若手に切り替えてこれから上昇
していく状態で、決して無敵でも完全体でもないんだけどな~。
「このチームには勝てないんじゃないか、きっと勝てないだろう」
と思い込むことで相手チームは無敵になる。正しく恐れながらも、
「勝てる相手だ」と信じて立ち向かっていくことが大事でしょう。
巨人の健闘を祈ります。あと2試合、頑張れ! …あれ?
観ています。予想通りここまではホークスの圧勝!
ただ、もちろん、勝負は蓋を開けるまでわかりませんから、調子に
乗りすぎることなく、真摯な気持ちであと2試合をテレビで観戦
したいと思います。ん? 何か変なこと言ってるかな私?
それにしても、今年の日本シリーズ、ロッテが主役と言っても
過言じゃないじゃないですか!(いや過言だけどさ)
「なんだホークスのこの圧倒的な強さ!」という話になれば、
「だがシーズンでこのホークスに勝ち越したチームがある!」と
いう話になります。そう、それがロッテ!
「低レベルの日本シリーズで見るに値しない!」という話になれば、
「CSのソフトバンク×ロッテのほうが面白かった」とか、挙句は
「CSのロッテ戦のほうが日本シリーズだった」とまで、多くの
野球ファンに言ってもらえちゃったりしています。
そして、みんながあの「巨人はロッテより弱い」をネタにしようと
待ち構え、この2試合のホークスの圧勝を受けて「2005年の
ロッテ×阪神の日本シリーズ、33対4を超えるのか!?」と
いうのが注目ポイントになっている始末…。
このあとの日本シリーズ、注目ポイントを「33対4に迫れるか、
超えられるか!?」に置いている野次馬ファンが増えています。
阪神ファンは「超えてくれ!」なのか「このネタまで読売に持って
いかれてたまるか!」なのか…。
そう考えると、「巨人はロッテより弱い」「33対4」のテッパン
のネタを持ってるロッテって、ある意味日本シリーズにいつも顔を
出す「常連」じゃん!
と、CSで負けてこの晴れの舞台に出られなかったロッテファンが
ほざいています。
さてここからは、セ・パ両リーグをちゃんと観戦している者として
今回特に話題の「セ・パの野球の差」について語ります。
まず、前提条件として、私は「ロッテしか見てないパファン」では
ありません。東京在住、かつヤクルトのファンクラブ会員なので
ヤクルト戦や巨人戦も球場によく見に行きます。
2015年:マリン4回、神宮16回
2016年:マリン7回、神宮5回、東京ドーム3回
2018年:マリン23回、神宮11回、東京ドーム4回
2019年:マリン12回、神宮11回、東京ドーム4回
こんなふうに、マリンに行った回数より神宮に行った回数のほうが
多い年もあるくらい、球場でセの試合を生で観ています。
生まれてから20年以上はガチガチの熱狂的巨人ファンだった私、
球場でもテレビでもヤクルト戦と巨人戦を中心にセの試合を
観てきました。(DeNA戦もけっこう見るかも)
ヤクルトの石川雅規、村上、巨人の岡本、何より坂本…あとは
DeNAの今永…応援したい・好きな選手が何人もセにいます。
だから、パ・リーグ推しのためにむやみにセ・リーグを貶めたい
だけの一部のアホなパファンとはわけが違います。
…と、それだけ盛り盛りの前振りをしておいて、言いたいことは
世間の皆々さんたちと一緒です。
「セとパの根本的なレベルが違いすぎる。セの野球は生ぬるい」
それを語るには、それなりのセ・パ両方の観戦を経ていることが
最低限の礼儀でしょう。
そして…こんだけセもしっかり見ていて、やっぱり、セの野球は
退屈です。
どこに差があるかという話ですが、よく「パワーとスピード」と
言われますよね。でも本質的には「スピード」だと思います。
別の言い方をすると「意識と挑戦意欲」。
今年、ソフトバンクに善戦したロッテですが、はっきり言って、
「パワー」はありません。選手、揃ってみんなが超~非力。
それでも、パワーとスピードを兼ね備えたホークスと互角に組み
合えるんですよ。(終盤は全然互角じゃなかったけど…)
じゃあ、パ・リーグがセ・リーグに勝るという「スピード」または
「意識と挑戦意欲」って何よ。
それは「可能性に賭けて勝利のためにギリギリまで攻める」こと。
セ・リーグの選手って、自分の打った打球を実際の結果が出る前に
自分で「セカンドゴロ」とか「ライトフライ」とか決めるんだよね。
だから一塁ベースまで全力疾走する選手が少ない。
だって彼らはもう「凡退し終わってる」んだもん。
そこを全力疾走してみせるのは、「出場機会を得るために首脳陣に
アピールする若手」とか「意識高い系を標榜する選手」って感じの、
いわば「特殊な条件下にいる人」がやること。
自分の打った打球がアウトかどうかを決めるのは自分。ボールが
一塁に渡ってアウトが宣告されるのは単なる儀礼的なもの。
それがセ・リーグの野球。
一方パ・リーグは「凡退でも一塁まで全力疾走を怠らない」のでは
ないのですよ。
セーフになる可能性があるから一塁まで全力で走るのです。
だって実際、ショートゴロやサードゴロって、ちょっと間違うと
セーフになるんだよ。パ・リーグではそういう場面をよく見るよ。
あるいは、セカンドがジャッグルしたら? ピッチャーが浮いた
送球をしたら? ファーストが捕り損ねて慌てて拾ったら?
プロ入り初年度のロッテ・荻野貴司は、ショートが何ら処理をミス
していないショートゴロでセーフになったよ。
パ・リーグでは「今のアウトギリギリだった!」という内野ゴロが
しょっちゅうあります。
内野ゴロは「セーフになるかもしれない打球」。だから守備も、
一刻も早く捕球して最速で投げなきゃならなくて、急いだせいで
ミスが誘発されたりもします。
たかが内野ゴロでもプロの攻防が見られるのがパ・リーグ。
内野ゴロが本当にアウトになるのかわからない緊張感が続く試合は、
三者凡退でも退屈できないかもしれないのです。
なのにセ・リーグは、打者がアウトと自分で決めてしまうので、
「全力疾走してたらギリギリセーフだったかも…」という打球でも、
必ず、打者の判断通り、アウトになります。
とんでもない暴投みたいな事故が起これば覆るけど、アウトの
つもりでチンタラ走っている打者走者を見れば、野手は落ち着いて
プレーできます。つまりエラーを誘発するチャンスも放棄。
凡打は凡打でしかないセ、凡打が出塁に化けるかもしれないパ…。
日本シリーズを見ていて「ホークスの走塁意識高い、キューバの
外国人まで一塁に全力疾走」とかセのファンが驚愕してるけど、
それはホークスじゃなくてキューバがそう指導してるんだと思うよ。
デスパイネは、ロッテにいる時から一塁まで全力疾走してました。
ホークスがことさらすごい、という話じゃ全然ない。
今回、坂本が全力疾走しなかったことがやり玉にあがったりして
いますが、それは坂本個人の意識がどうこうじゃなくて、そういう
文化の中にいるからでしょう。
彼の立場じゃ「出場アピール」も「意識高い系アピール」も不要。
他の人と同じように「アウトの打球はアウト」と思って、アウトに
なるのを見届けるために一塁へ向かうだけ。そういう文化なのです。
ツーアウト2塁でヒットが出てもホームにかえれないことが多々
あるセ・リーグ。
ランナー1塁で、内野を抜ける深めのライト前ヒットが出ても、
走者が3塁に向かう気すらない選手がたくさんいるセ・リーグ。
ランナー1、2塁でセンター前ヒットが出ても、1塁ランナーが
3塁を狙う心配がないから、センターが迷わずバックホームしたり
するセ・リーグ。結果、3塁を回りかけていた走者も送球を見て
ホームインを断念して、満塁→無得点でイニング終了…。
大きく弾んだライト前ヒットで、2塁まで行っちゃうこともある
パ・リーグ。
ランナー1塁で、内野を抜けるライト前ヒットが出て、当然3塁を
狙うランナー、全力で進塁を阻止するすごい送球をみせるライト、
3塁上でのギリギリのタッチプレーに息をのむパ・リーグ。
ランナー1、2塁でセンター前ヒットが出て、2塁ランナーが
本塁を狙う、この時1塁ランナーはわざと2塁を飛び出して
ホームインをアシストするのか、2アウトだからアウトに
ならないために2塁にわざと留まるのか、観ている側も
アウトカウントと走者の走力と状況を天秤にかけて息をのむ
パ・リーグ。本塁刺殺に賭けてバックホームを選択すれば、2塁に
止まっていた走者は当然進塁する…
攻防の前提条件が違いすぎるんです。
セでは「この選手はこの場面では走らない」「この選手なら走る」
みたいな役割分担が決まっていて、その範囲内でしか出来事が
起こらない。観戦していてそう思います。
パではデブが走り、鈍足が次の塁を狙い、俊足がとんでもない走塁
を見せて球場じゅうが熱狂する。ロッテでは、低打率の打てない
選手が1試合に3四球で「猛歩賞」(笑)。
勝つために有効なのは「ヒットやホームランを打つ」だけではない。
ありとあらゆる方法で一つでも先の塁を狙い、目指す先にあるのは
本塁=得点。誰もが少しでいいから先の塁を目指して、あらゆる
手段を尽くし、ギリギリで攻防するのがパ・リーグの野球。
ピッチャーの球が速いとか、打者にパワーがあるとか、そういう
部分もあるけれど、一番違うのは「ダイヤモンドを回ろうと先へ
進む意識」です。
今年はヤクルト村上が「パーフェクトスチール」…二盗三盗本盗を
1イニングで決めましたが、相手チーム(阪神)の意識の低さが
実現させてしまった盗塁だったと思います。
村上は、実は足が速いし走塁も上手いのに「『走る選手』とは認識
されていない長距離打者」=「走らないはずの選手」という認識。
村上は称賛されて当然ですが、逆に、セにはやっぱり「常に誰もが
先の塁を狙っている」という意識がないからこんなことが起こって
しまうのだな…と思いました。
セ・リーグの野球って大部分が「予定調和」なんですよね。
もちろんそれだけでは勝敗はつかないんだけど、内野ゴロの一つが
得点をめぐる攻防になりうるパ・リーグより「不確定要素」は断然
少ない。可能な範囲内でしか進塁しない試合と、「まさかこんな
ところで先の塁を!?」という試合、どっちが面白いかしら??
そして、セでは打者走者がゆっくり走るからゲッツーはなかなか
崩れませんが、パでは打者走者が本気で走る上に俊足多数だから
1塁がセーフになるのをよく見ます。
内野ゴロが内野安打になり、ゲッツーが崩れるばかりでなかなか
アウトカウントが増えない…となったら守るのはしんどいですよ。
セにちょっとずつアウトカウントが多くつき、パがちょっとずつ
多く先の塁に進んでいったなら、9回が終わった時、得点差は
すごいことになります。それがセとパの違いです。
(そして投手も打者もパワーすげ~、というのはソフトバンク
固有の「違い」です。セとパの問題ではない)
ソフトバンクは確かにパの中でも地力がありまくりなわけですが、
それでも「ロッテごとき」が、工夫で、ある程度崩せるわけです。
巨人様ほどのお金も選手層もない中で、新米監督の井口がこんだけ
できるのに、世界一にもなった原辰徳が手も足も出ずに「DH制の
せい」だとか「流れが来ない」だとか…
コテンパンにやられて、「そこじゃない」ってことを理解せえや。
そしてセ・リーグも「やっぱ9人制野球は面白いな!」という
ハイレベルで素晴らしい野球をせえや。
だいたい、去年あんなにやられて、優勝が決まってからも対策する
ヒマがめちゃめちゃあったのに、巨人は何をやってたわけ?
パ・リーグのファンは、「これまで人気があったセ・リーグを
ひがんで、ここぞとばかりに仕返しにディスる」みたいな真似を
しちゃダメです。文句を言うならセのいい試合をいくつも観て、
「そんでもパのほうがおもろいな~」と実感してからね。
セ・リーグのファンはぜひとも、「パのファンが面白いと自慢する
パ・リーグ野球とは?」と興味を持って、レギュラーシーズンの
試合を観てみてください。
…いや、時々絶望的にひどい試合もあるんだけどさ…。
とにかく、日本シリーズの裏の主役・ロッテのファンとして、
さらにはセ・リーグもだいぶ観ている元G党の燕クルーとして、
今年の日本シリーズを観ていて言いたくなった「セとパの差」に
ついて調子に乗って語ってみました。
でも今のホークスは下がり目から若手に切り替えてこれから上昇
していく状態で、決して無敵でも完全体でもないんだけどな~。
「このチームには勝てないんじゃないか、きっと勝てないだろう」
と思い込むことで相手チームは無敵になる。正しく恐れながらも、
「勝てる相手だ」と信じて立ち向かっていくことが大事でしょう。
巨人の健闘を祈ります。あと2試合、頑張れ! …あれ?