神奈川絵美の「えみごのみ」

女とはかくも恐ろしき花

大型連休の最終日は、若い着物友達のKさんと歌舞伎観賞へ。


五月晴れの陽のまぶしさはそのままに、
気温がぐんぐん上がり、夏日になるかならないか。
(袷では暑い・・・!)わかってはいたけれど、
どうしても、一年以上袖を通していなかった
プラチナボーイの色無地を着たくて・・・。
帯はこちらも一年以上しまいこんでいた、
小倉貞右さんの貝紫を使った染め帯「アカンサス」。

相変わらず歌舞伎ビギナーの私は、
「ちなみもの」などには気が回らず、
せめてとツツジの背紋と藤色で、季節の気分だけ出してみた。


明治座のある浜町は、この通り初夏の陽射しに包まれて。


お声がけくださったKさんは、
大島の単に博多の八寸、爽やかな装い。
幅広いシーンに合いそうなグレー系で、ぱっと見、黄八丈の綾織風なのも
現代的でいいなあ。


明治座前で。
亀治郎さん、七之助さんとスリーショット。
ステキなアングルありがとう、Kさん

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(ここからは、演目「怪談 牡丹燈籠」についての感想を記しています。
これから同演目をご覧になる予定の方はご留意ください)


さて、この日の演目は
「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」と「高坏(たかつき)」。
(怪談・・・ってすごく怖くて重い話なのかな)と思っていたが、
確かに怖いものの、子どものころお化け屋敷で味わった感覚と似ていなくもない、
幽霊のこれでもかという「お約束の怖さ」と、
それにおびえる他の登場人物たちの反応が絶妙に滑稽で
怪談なのに、笑いすぎて涙が出た場面がいくつもあった。

「怪談-」では、中村勘太郎さん演ずる三遊亭園朝が、高座で語り出す場面
(第一幕 第二場)に、
-昔から美しい女性を見ると(花粉が鼻をくすぐるように)
くしゃみが出るといわれる-というようなくだりがある。
重要な登場人物の一人、旗本飯島平左衛門の美しい娘お露、そして“牡丹”燈籠への
ゆるやかな誘いなのだが、
本演目に出てくる女性たちはむしろしたたかで、恐い。
恋人の源次郎をそそのかしてお家を乗っ取ろうとする「お国」しかり、
思い人への恋しさあまって幽霊になり
執拗にとりつこうとする「お露」しかり、
そんな幽霊とうまいこと取引して、大金をせしめるよう亭主に入れ知恵した「お峰」しかり。
一方、男たちは今ひとつ、軟弱に描かれている。

しかし、そんな「強くて恐い」女性がひとたび
情に身をゆだねると、運命は破滅へと向かうのだ。
落ちぶれた源次郎に、それでも愛を貫こうとしたお国は、
源次郎ともども不慮の事故(殺した旗本の霊によるという解釈も)で死に、
幽霊からもらった金で羽振りがよくなった亭主に裏切られても
それを許してしまったお峰は、結局その亭主に殺される。

終盤、源次郎が、開き直ったお国に向かって、
女は本当に恐い、とおののくシーンがあるのだが、
私には、それが話全体を貫く「サイコな怖さ」に思えてならなかった。
女とはかくも恐ろしき花。
されど、花は花なのだ。

コメント一覧

神奈川絵美
ルリ子さんへ
こんにちは きゃー行かれるのですね、牡丹燈籠。詳しくは書けませんが、怖面白いです。笑えます。
お着物姿、またブログで見せてくださいねっ お姉様によろしくお伝えください。
ルリ子
私も今週・・・
http://linaruli.weblogs.jp/
絵美様、

うわぁ、絵美さんも牡丹燈籠に行かれたのですね。 私も今週姉と行く予定です!

お天気もかなり回復しそうなのでもう単衣ですね。

女の怖さ! 楽しみにしていまーす。
神奈川絵美
ゆかりーなさんへ
こんにちは そういえば、つい先日、花屋の店先に紫陽花の鉢植えが並んでいたのを見ました。
もうそんな季節なんですねぇ。

勘太郎さん、勘三郎さんに似てきたなあとつくづく思いました。口元の感じとか・・・。
ゆかりーな
ラベンダー色の色無地、これからのアジサイも感じさせてくれる色で素敵です~

明治座では久しぶりに歌舞伎上演と言うことで、大人気らしいですね。チケット争奪戦に参戦し損ねました・・。

勘太郎さん見たかったわ~。
神奈川絵美
はつきさんへ
こんにちは シネマ歌舞伎、一度観てみたいのですが機会がなく・・・舞台とは一味違う面白さがありそうですね。
>人間のほうが怖い
そうですよねーサイコサスペンスだわ

本のご紹介、ありがとうございます!文学になるとこれまた別の面白さがありそうですね
はつき
人の怖さ
http://blog.goo.ne.jp/asochan0930
こんにちは。私は今月の明治座は昼の部のみにしました。「牡丹灯籠」はシネマ歌舞伎で、玉三郎さんと仁左衛門さんのものを観ています。幽霊よりも人間のほうが怖い…という印象を受けました。昨年、直木賞をとった「漂砂の歌う」も、「牡丹灯籠」の話しをうまく使っていて印象的でした。よろしければぜひご一読ください(^^)。
神奈川絵美
すいれんさんへ
こんにちは わーいプチチャット状態
昼の部、いいですねぇ。レポ楽しみにしていますね。お召し物も・・・。5月も中旬になると単が丁度良いのではないでしょうか。

今回は、前からひとけた列目の真ん中という良席で、若手を堪能(笑)いたしました。すいれんさんもどうぞ楽しんで!
すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
きゃ~、花型歌舞伎、来週 姉と行く予定です。昼の部ですけど。もう暑くて、これは単衣でないと無理、と思っているのですが・・・。
「ちなみもの」なんて、そんな余裕はありません(笑) 昔の人は粋だったんですね~。
私くらいの歳になると、演目もさることながら、やっぱり若手がいいです(笑) 
神奈川絵美
きむらさんへ
こんにちは 楽しかったですねぇ、写真もありがとうございました!
やっぱりお米さん最強です

歌舞伎は演目によってかなり、解りやすさが違うなあと、今までの数回の観賞で感じています。初心者には特に・・・。
またこれは! と思うものがあったらご一緒しましょうね

神奈川絵美
やっぴーさんへ
こんにちは おお、演舞場の方でしたか。
確かに、暑くて仕方ないというほどではなかったですよね。湿度がそれほどでもなかったのかな。
明治座、通しですかぁいいなあー
義経千本桜も観たかったです。
きむら
こちらこそ楽しかったです
牡丹燈籠は怖面白かったですねぇ。
あれは演出と役者の技量のなせる技という感じですね

写真のスリーショットは大分微調整しましたよ(笑)
初生歌舞伎大変面白かったので今後も行ってみたいなぁと思いました。
やっぴー
こちらでしたのね☆
ワタシは演舞場の方でした
暑くてもせめて10日頃までは袷を着たいというマイルールで
袷にしました(そうしないと着る機会が…笑)。
でも、そんなに暑さは感じなかったですよ。

明治座は今度昼夜通しで観に行きます
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