銀座エルメスで開催中の現代アート展にも立ち寄りました。
エコロジー:循環をめぐるダイアローグと称し
前後期に分け4人の現代アーチストによる
自然をモチーフにした写真や彫刻等の作品を展示。
入ってみてまず度肝を抜かれたのが
こちらの作品。実は南仏の海中写真。
アナザーワールドの息遣いが、リアルに迫ってくるようで
何となく水中の世界って、今までテレビや映画などで見たことのある映像の記憶から
ステレオタイプなイメージが頭の中にあったけれど
(例えば深海魚や熱帯魚、サンゴがあって、深い青色をしていて、
ときには難破船が沈んでいて、、、なんて)
これらの写真からはもっともっと生々しい、生物の営みを感じました。
そんな海の、水深と微生物の数による濃度により起こる色の変化を65枚の写真に
まとめた作品と写真のコラボ。
こちらは栃木県の益子焼陶房との協働でつくられたという
セラミックアート。水のようにみえるのは釉薬のようです。
こんな、自然な空気の流れでゆれて音が出る
やはりセラミックでできたオブジェも。
会場には
こんな太鼓が3か所配置されていて、
なんだろう、と見ていると天井から
「ポトン」と液体が。
係の人に尋ねると、この液体が落ちると電気信号が起こり
この、自然布でつくられたテントに伝わって
うーん、この写真ではわかりにくいと思いますが
右の方にあるガラスが電球になっており、それが点灯するという仕掛け。
そして
こちらのポスター、横が1mくらいはある大きなものなのですが
「希望する方はお持ち帰りいただけます」ですって!
私はこの後歌舞伎だったのであきらめましたが、なかなかクールで
ホントは持ち帰りたかったなあ……。
どれもこれも、(悪い意味ではなく)斜め上をいくような感性で
無理に「解釈」する必要もないのかなと思うのですが
こうした、観る人に感じ方をゆだねるような仕掛けは私、
バブル時代にも一部で流行ったような記憶があって。
あのころ……恵比寿や渋谷や原宿といった
エッジの効いた街の、オープンカフェやディスコを
こうした魔訶不思議かつ大がかりなアートが“ジャック”し
なんかよくわかんないけど前衛的なものに触れていることが
オシャレ、みたいな価値観が支配していて。
ただ、決定的に今と違うのは
メタリックで人工的で冷たく、刺激的なアートだったこと。
コンセプト的には、今回の自然とかエコロジーとかとは
真逆だったように記憶しています。
それはただ、裏返せば、そうしたメタリックで人工的で冷たく、刺激的なものは
もう十分、私たちの普段の生活に「当たり前のようにある」ものに
なってしまったため、アートで表現するようなメッセージ性はもはやそこには
ない、ともいえるのではないかと考えます。
そして今、ふたたび自然とか、エコロジーとか、昔からあるものが
アートのテーマとして取り上げられる意味は何だろう、と考えさせられます。
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