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敬震丹類の正反対の効用ジャコウゴオウが入っている薬は強心剤ですこの薬の効力は逆は真なりではありませんが徹夜で原稿を書かなければならないとき飲めば興奮剤になり反対に寝たいときに飲むと鎮静剤と

2020-07-08 11:37:28 | 日記

昌栄薬品

渡邊武著わかりやすい漢方薬

第一章 漢方薬はなぜ効くか

4 クスリとして害はないか

敬震丹類の正反対の効用

 ジャコウ、ゴオウが入っている薬は強心剤です。

この薬の効力は、〝逆は真なり〟ではありませんが、徹夜で原稿を書かなければならないとき飲めば興奮剤になり、反対に、寝たいときに飲むと鎮静剤としてぐっすり眠れる、という正反対の効用を持っています。

 また、毒物を飲んだりしたときは、四、五分で吐き出させてくれます。

集団中毒で下痢したり、熱を出したときは、腸にある毒物を三、四分で大便にして出してしまうという、不思議な作用を持っているのです。

この敬震丹類は、江戸時代、各藩の大切な薬剤として珍重されていました。

中国や台湾では、現在も貴重な薬物として大事にされています。

 奈良の東大寺といえば、聖武天皇の遺品と一緒に大仏殿に薬物が奉献された薬物と関係の深い寺です。明治までは天皇家から特別に薬物が下賜されていました。

ちょうど、東大寺のお水取の頃、上司海雲前管長が熱を出したという呼び出しで、東大寺に出かけました。

お水取の行中は俗人に手を触れられないので、医者に聴診器を当てたり、注射してもらうことができないしきたりなのです。

 その時お水取行法十四日間の不事のときに飲む薬袋、前七日薬、前七日滓と書いた薬袋が二つ吊ってあるのが目に止まりました。

その薬の古記録を探しましたところ、中国から持ち帰った薬、施薬院から出された薬方、天皇家から下された処方などの記録がありました。

前半が終ると裏返して、後七日滓と書かれた方が表に出ますが、薬は入っておりません。

その中に唐時代の処方、敬震丹類の原形の麝香牛黄圓などの記録が残っていました。

これは大発見というわけで、以来それを復元して、お水取の行法中の練行僧の救急薬として寄進しました。

 映画監督の松山善三氏は心臓が弱くて、「俺は心臓マヒで死ぬよ」と、奥さんの高峰秀子さんを驚かせているので、高峰さんは心配して、医師や知人から心臓に良いという薬を求めて帰っても、「心臓の薬は一方では心臓に毒だよ、」と言って、一向に飲もうとしません。困った高峰さんは「漢方薬なら飲むのではないか」と相談に来られました。

早速、麝香牛黄圓をおすすめしたところ、きわめて調子がよい。現代医学の知識をかじった、かつての医学生松山氏も漢方薬の効き目に、あらためて驚かされたようです。

 敬震丹類というのは利用度の広い薬、こんな落語のような効き目もあります。

草月流家元の勅使河原蒼風夫妻が、パリでフランス政府の招宴のとき、気分が悪くなり、吐気がするし、冷汗が出て席に居られなくなってしまいました。

そこで昔は霍乱(吐き下しのはげしい病気)にも賞用したという私の話を思い出して、数粒口に含んでトイレに入ったら数分で吐き出し、口をすすいで席に戻り、なお一時間余りも続いた会食で、以後は普通に食べることができました。

このことを数ヵ月後私に話されたとき、お二人とも同じ災難に逢ったことが始めてわかった程簡単に片がついたのでした。

 麝香牛黄圓は麝香という気剤と熊胆、牛黄などの血剤とから構成されていますので、強心剤以外にも、神経症や咳、喘息の発作やしゃっくりのような呼吸器疾患にも有効です。

しゃっくりなどは背中をドンとたたけば止まるではないかと素人は簡単に考えますが、死を間近にした病人によくある何日も続くしゃっくりには、近代医学でもてをつかねるばかりです。

 先年、評論家大宅壮一氏が臨終に近いので、高峰秀子さんが病院に見舞に行ったら、意識不明で頬をたたいても、肩をゆすっても反応がない。

その上、数日しゃっくりが止まらないので飲食もできない状態で、大宅婦人と相談の上、持薬の麝香牛黄圓を口に含ませたところ、数分して劇的にしゃっくりが止まり、口がきけるようになり、飲食もできるようになりました。

以後四日間連用して、家人やお弟子と会話ができたと、松山・高峰夫妻から感謝の報告を受けたことがあります。

 敬震丹類は心臓の薬であり、解毒剤でもあります。

敬震丹類を飲んで酒を飲むと、五勺しか飲めない人でも十倍の五合飲めるといわれています。

たぶん、敬震丹類でアルコール分が解毒されるからです。

興奮剤であり、逆に鎮静剤にもなる万能薬です。

朝鮮人参にも興奮作用と鎮静作用の両方の効力があります。

これは天然の薬物である漢方薬にしかない効用です。

唐時代にすでに敬震丹類の原型があったということからも、漢方薬が人間を正常化する薬剤としていかに理が通ったものであったかがわかると思います。

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一部文言を変えています。

犬伏製薬 敬震丹 いぬぶしせいやく けいしんたん

心と身体 どっちの疲れにも『虔脩 感應丸(かんのうがん)』

 

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