碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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臨場感と緊迫感の映画『ワルキューレ』

2009年03月21日 | 映画・ビデオ・映像
ずしんと、きました。

映画『ワルキューレ』だ。

監督:ブライアン・シンガー、主演:トム・クルーズ。

舞台は第二次大戦下、1944年7月のドイツ。

伯爵にして軍人、クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐が挑むのは「ヒトラー暗殺」である。

この映画の最大のメッセージは、「ドイツが“ヒトラーのドイツ”だけではなかった」ということ。

命がけで、これに抵抗し、ドイツとドイツ国民、いやヨーロッパを救おうとした人たちがいたのだ。

タイトルでもある「ワルキューレ」は、本来、ヒトラーが亡くなった場合の反乱軍鎮圧計画である。これを利用して、ヒトラーを暗殺しようとする。

実在の人物たちによる、実際にあった出来事だと、今回、初めて知った。

もちろん、ヒトラーは45年まで生きていたわけだから、この暗殺計画は失敗している。

それを知ってはいても、映画を観ながら「何とか成功してくれ」と祈るような気持ちになっていた。

1944年当時のドイツにタイムスリップしたような臨場感。

中でも、ヒトラーが立てこもっていた総統大本営「狼の巣」や山荘の内部が興味深い。

暗殺計画の実行場面はもちろんだが、計画にとって必須だった「ヒトラーのサイン」を手に入れようとするシーンも、歴史の一場面に立ち会うようで、実にスリリングだ。

欲を言えば、もう少し、サスペンス性を高めることは可能だったように思う。

この計画に参加した、シュタウフェンベルク大佐以外の人物たち(軍の高官や政治家もいる)のことも描いていくのだが、やや中途半端。ならば、もっと大佐に集中してもよかったのではないか。

なーんてことも、後からは思うが、観ている間は、それこそ緊張しっぱなしだった。

『トップガン』から23年。

トム・クルーズ、ますます頑張ってます。

ワルキューレ ヒトラー暗殺の二日間
スティ・ダレヤー
原書房

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