碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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サンデー毎日で、夏ドラマ「恋仲」などについて解説

2015年08月02日 | メディアでのコメント・論評



発売中の「サンデー毎日」最新号に、夏ドラマに関する記事が掲載されました。

この記事の中で、解説しています。


「月9」 福士蒼汰でも歴代ワースト視聴率
夏ドラマ まさかの絶不調

真夏のドラマ関係者たちに、激震が走っている。

「あの2人の出演者でも15%取れるとは局内でも思われていませんでしたが、それにしてもここまでとは・・・」

そう嘆くのはフジテレビ局員。7月20日に放送された月9の「恋仲」が、初回視聴率9.8%と、“月9史上ワースト”となったのだ。

主演はイケメン俳優として人気絶頂の福士蒼汰、ヒロインは本田翼。「この夏一番あつくて切ない王道ラブストーリー」とうたうが、視聴者の反応はお寒いものだったよう。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)は、こう指摘する。

「『あまちゃん』の福士君は良かったけれど、彼をいきなり月9の主役として扱ってよかったのか。本田翼もモデルとしてはいいのですが女優としての需要があるのか。まず、その辺の読み違いがあるのではないでしょうか」

演技に不安のあるキャストに加えて、ストーリーの弱さもあったという。

「非常に既視感のある物語と場面展開、セリフが続いて、これまであった恋愛ドラマのパロディに見えました。とても2015年夏の恋愛ドラマを見ている気にはなりません。あれが月9として渾身の一作だと言われると、今のフジがいろんなところでズレた感じを受けました」(碓井教授)


不調なのは、フジだけではない。初回16.9%で今季首位スタートとなった「デスノート」(日本テレビ系)は、3話では8.7%と半減。13.1%と好発進した「ど根性ガエル」(同)も、2話で8.5%と急降下しているのだ。

先の碓井教授は、「今後、視聴率の浮上はないのではないか」と手厳しい。

「『デスノート』は、あまりに完成されていた映画版を今回の窪田正孝と山崎賢人がどう超えるのか。その興味もあって初回は見られたが、前作を凌駕していなかった。『ど根性』も、なぜ今、実写化したのか知りたくて初回は見たものの、30歳になってニートでグダグダのひろし(松山ケンイチ)、離婚して帰ってきてふてくされた京子ちゃん(前田敦子)に魅力を感じられません。結局、満島ひかり演じるピョン吉の“声”のうまさと、Tシャツの動きの映像技術だけでした」

もっとも、夏休みなど外出の多い季節のため、夏ドラマの視聴率は苦戦するとは言われているが、「今季は全体的にチープで、二軍的。どうせ見てもらえないから良作は秋に温存と局側も軽く流しているように見えます。そういう姿勢は視聴者にも見抜かれるということです」(同)


日テレ関係者は、「『ど根性』も『デスノート』も“攻め”のドラマですから拒絶反応も織り込み済み。続編も好調の『花咲舞が黙ってない』があるので、局内には余裕が漂っています」と言うが、対照的なのはフジ。

月9だけでなく、北川景子主演の「探偵の探偵」も2話以降は1桁に落ち込み、視聴率が2桁台のドラマがない状態になっている。

「なによりEXILEのAKIRA主演で消防団を描いた『HEAT』が痛手です。2話、3話と視聴率は1桁台前半で絶望的なのに、ドラマ放送前に映画化も発表してしまっているから、どう落とし前をつけるのか。もはやフジテレビを消火してくれよ、なんて自虐的な意見が出ています。ドラマでこんな前半から悪いニュースが出てしまうと、放送の3ヶ月間、耐えられるのか」(前出・フジ局員)

進むも地獄、退くも地獄?

ライター・成田璃子

(サンデー毎日 2015.08.09号)


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