碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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反町隆史主演「グレイトギフト」クセが強くて先が読めない

2024年02月21日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

反町隆史主演

「グレイトギフト」

クセが強くて先が読めない!

 

反町隆史主演「グレイトギフト」(テレビ朝日系)は、かなりクセの強い医療ミステリーだ。

藤巻達臣(反町)は大学病院の病理医。コミュニケーションが苦手で、院内での存在感も薄い。ところが、未知の殺人球菌「ギフト」を発見したことで運命が変わる。

人間の体内に入ったギフトは瞬時に死をもたらし、その後消滅する。症状は心不全にしか見えず、完全犯罪が可能だ。

病院教授の白鳥(佐々木蔵之介)も、藤巻の同僚で心臓外科医の郡司(津田健次郎)も、ギフトを利用して巨大な権力を握ろうとしている。

一方、藤巻は入院中の妻(明日海りお)を盾に取られ、白鳥の命令に従ってギフトの培養を続けるばかりだ。いわば悪に加担しているわけで、正義のヒーローではない。

しかも妻と郡司は不倫関係だったりする。その優柔不断ぶりも含め、「藤巻どーする?」とツッコミを入れながら見るのがこのドラマの醍醐味だ。

また、藤巻の相棒的な検査技師・久留米(波瑠)も相当の変わり者。藤巻を恋愛対象ではなく「人間として好き」と言うが、敵か味方か不明だ。

さらに高級ラウンジのオーナーである杏梨(倉科カナ)や、病院事務長の本坊(筒井道隆)など、クセ強系の人物ばかりが並ぶ。

脚本は「ラストマン―全盲の捜査官―」などを手がけた、黒岩勉のオリジナル。先が読めないことがありがたい。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.02.20)