碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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奈緒の自然体の演技「あのクズを殴ってやりたいんだ」

2024年12月04日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

奈緒の自然体の演技が効いている

「あのクズを殴ってやりたいんだ」

TBS系

 

火曜ドラマ「あのクズを殴ってやりたいんだ」(TBS系)が佳境に入ってきた。

佐藤ほこ美(奈緒)は市役所勤務の29歳。明るくて真面目な性格だが、結婚式当日になって新郎に逃げられるなど男運は良くない。

そんな彼女が、訳ありの元プロボクサー・葛谷海里(玉森裕太)に恋をする。そして自分を変えるべく始めたのがボクシングだった。

互いに魅かれ合っているが、どちらも相手のことを気遣うあまり、自分の気持ちをストレートに伝えられずにいた。

一度は離れたものの、海里はアメリカでのカメラマン修行を終えて帰国。ほこ美はプロテストに合格するが、スパーリングで強打されて入院してしまう。

このドラマが、いわゆるラブコメであることは間違いない。しかし、どこか流し見できない磁力があるのも確かだ。

たとえば、ほこ美は人一倍努力家だが、ずっと「努力に裏切られてきた人生」だとつぶやく。

その上で仕事も恋も努力することをやめない。ほこ美と同年齢である奈緒の自然体の演技が効いている。

また、ほこ美の母・明美(斉藤由貴)が、自分はほこ美を幸せにできないと言う海里を叱る。

「勝手に決めてんじゃないわよ! ほこ美の幸せは、ほこ美が決める!」

こういう生きたセリフの連打がドラマを引っ張っていく。脚本は泉澤陽子と鹿目けい子による完全オリジナルだ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.12.03)

 


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