碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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朝ドラ「とと姉ちゃん」は今後の脚本次第

2016年04月14日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」について書きました。


NHK「とと姉ちゃん」
実にモッタイナイ

先週からNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」が始まった。とはいえ、「あさが来た」の波瑠(24)からバトンタッチした高畑充希(24)の登場は、今週からだ。第1週はヒロインの幼少時代を扱う、いわばイントロ編だった。

最初からやけに“しっかり者”の小学生である主人公・常子より、家でも丁寧語を使う生真面目な父・竹蔵(西島秀俊)のほうが話題になった。それはそれで結構だが、正直言って、描かれるエピソードが陳腐でありきたりなことに落胆した。

たとえば、父が取引先から預かった巨匠の絵画。幼い妹が汚して大騒ぎになるが、結局は贋作だとわかる。また、結核を患い、死期が迫った父を励まそうと、常子が散ってしまった桜の花を布で再現してみせる。「これって泣けるでしょ」といわんばかりの話で、見る側はその“いかにも”な展開に苦笑いするばかりだ。

しかも、せっかく好演している西島を、わずか1週間で消してしまった。家族を残して逝く父親や小学生のヒロインに、視聴者が感情移入するヒマさえ与えなかったのだ。実にモッタイナイ。

そして主演女優・高畑充希の出番となる。「問題のあるレストラン」や「東京センチメンタル」など、クセのある脇役ならピカイチの個性派だが、朝ドラが求める「明るく元気で前向き」なヒロインが似合うのかどうか。これも脚本次第だ。

(日刊ゲンダイ 2016.04.13)

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