前回の続きになります。まだ読んでない人は是非1〜4話も読んでみてください。
「建樹!」
鈴望が叫ぶ。
「やばい。くそ!だめだ!」
建樹は何とかしようとするが、うまく行かない。俺はどうすることもできない。
「祝戒 輝く繭」
不意に後ろから優しい声がきこえた。と同時に建樹を純白の繭が包こんで、そのままこちらへやってきた。
「俺は…助かったのか?」
建樹は何が起こったのか分からない様子だった。
「もう〜しっかりしてよ〜。」
鈴望だ。さっきの繭は鈴望の力によるものだったのだ。
「いや、まさか空中だとあんなに戒が使いにくいとは思わんやん?」建樹が返す。
「でも、ありがとう。鈴望がいなきゃ死んでたわ。」
「どういたしまして。」
鈴望がニコッと笑った。
すげぇ。みんな戒をバッチリ使いこなしてる。多分華日もうまいんだろうな。
「で、何か収穫はあったのか?」
俺は建樹に聞いた。
「おう。西だ。この道を西の方にずっといったところに小さい町があった。」
「やった!じゃあそこに向かおう!」
華日が言う。
「建樹ありがとね。でも無理はせんどいてよ。」
鈴望も言った。
俺たちは西の方へと進んでいった。日が暮れてきたので少しとばすとすぐに町が見えてきた。俺たちはその町の宿屋に入り一息ついていた。
「なあ、明日どーする?」
「やっぱり行ってみるしかなくない?」
「ここの宿の人何か知らないかな…。」
俺たちは明日からのことについて話していた。と、
コンコン。
ドアをノックする音がした。
「はーい。」俺はドアを開けた。そこには宿の主人がいた。若い、清潔な感じの男の人だ。
「ご飯をお持ちしました。」
「ああ、ありがとうございます。」
珍しい。自分たちの部屋にご飯を持ってきてくれる宿屋なんてあっただろうか。
「どうぞごゆっくり。」
「あ。ちょっと待ってください。」
俺は引き止めた。
「幸界ってどっちに行ったら着きますか。」
さすがに質問が雑すぎると思った。しかし、
「幸界ですか。自分たちの思う方向に進めば必ず着きます。正解の方向なんてないですよ。」
主人は笑顔でこう答えてくれた。
「では、失礼します。」
主人は頭を下げて出ていった。
「ねえ、どういうことだと思う?」
「わかんない。方角は決まってないって…」
俺たちは主人が言ったことについて話し合っていた。が、いまいちピンとこない。
「まあ、思う方向に進めばいいってことは俺たちは間違ってるわけじゃなさそうだな。」
建樹が言った。
「自分達を信じて進めばいいってことだよね!」
華日はこう言う。
「とにかく、今日はもう休もうや。俺めっちゃ疲れたわ。」
俺はとにかく疲れていた。知らない土地を歩くのはかなり負担がかかる。
「そうやね。明日また考えよう。」
鈴望もかなり疲れている様子だった。
「そいじゃ、おやすみー。」
「おやすみー。」
4人はすぐに眠りに落ちた…。
続く
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