か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

Cleopatra VII Philopator

2012年02月01日 | 西洋歴史
パンとサーカスでローマ市民を愚弄しごまかし続けていた為政者たちもついに自らの足元に火がつくこととなった。元老院を中心とする閥族派と護民官をよりどころにする平民派の対立が激化したのだ。それまで軍事力の基礎をなしてきた大土地所有農民は政争からはつまはじきされる状態になった。

グラックス兄弟(Gracchus )の兄の方は落ちぶれたローマの軍事力を再建しようと無産市民への土地配分をしようとした。元老院は激しく反対し兄を殺す。弟は兄の失敗を繰り返さないため騎士階級も味方に引き入れ彼らにアジア属州の徴税権を与えた。ところが貧民に安価に穀物を配給する法を作ったためまたも元老院は反発し弟も殺す。

こうして改革者は出ては消えた。ローマは血を血で洗うすさまじい格差社会になった。(内乱の一世紀)

ここで剣闘士(奴隷)の反乱や小アジアの反乱をおさえた男がいる。ポンペイウスだ。クレオパトラはポンペイウスの子供、小ポンペイウスに色仕掛けで近づく。こうして父親、大ポンペイウスによってエジプトがローマの属州にされるのを防いだ。

ポンペイウスとクラッススとカエサルは第一次三頭政治を組んでいたのだが。クラッススは戦死する。このとき微妙に成立していた三角形は瓦解する。急遽ガリア(フランス)から戻ったカエサルはギリシャにポンペイウスを打つ。エジプトの内乱はローマにとって利益ではないと判断したカエサルはエジプト王家の内紛の仲裁を試みる。

弟と結婚していたクレオパトラはふたたびカエサルに迫る。弟はまだ子供だった。寝具に18歳の全裸の自分を包ませて54歳のカエサルの前の転がった。

彼女の豊富な語学力、7~8ヶ国語を自由に扱い、その実力は通訳を必要としないほどだったという。絶妙なユーモア。これも国際交渉には必要なことだ。ばかはジョークも分からず真に受けてすぐ怒る。そしてこれが一番大切なことだが、相手の話をよく聞くこと。カエサル(シーザー)でなくとも自分の話をよく聞いてくれる女には惚れてしまう。

二人はカエサリオンという子供をもうける。クレオパトラは弟を殺しさらに下の弟と結婚する。プトレマイオス14世である。その時5歳だった。

エジプトのためにはほかに方法がなかった。全身全霊をかけてエジプトを守っている。カエサルに忠誠を誓うことがこういう結婚をすることだった。巷に低能どもが美人だどうだと騒ぐのがいかに愚劣であるか分かるはずだ。大国ローマを前にしてほかにどういう方法があったというのか。

事実上の夫であるカエサルに従ってローマも訪れている。クレオパトラの絶頂期である。

カエサルは元老院の権限をはく奪するとついには終身の独裁官をめざすようになる。ローマ市民にとってはパンとサーカスの再来であった。しかし、これには条件が付いていたことをカエサルは忘れていた。無限にローマに向かって奴隷が供給されなければローマは崩壊する。そしてそのような奴隷はどこにもいなかった。
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Posted at 2012/01/05 19:44:30

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