nonnon日記
今日は、向かいの病室の付添い奥さんSさん(70代女性)が、
休憩フロアのソファに座って、ため息をついていた。
「1時間以上もかけて、毎日通ってきているのに、夫ったら、不機嫌で、
私に鬱憤をすべてぶつけてくるんです。それなら、もう来ないから、と
言いたくなってしまう。」(Sさんのご主人は、80代。交通事故で、寝たっ
きりになったが、意識は正常。)(うーん、すごく良くわかる・・・・。
うちもそんなん、ショッチュウやん、)
「病人は、辛さを訴えるところが、奥さんしかいないですもんねェ」
と、つい優等生的コメントを返してしまって・・・・後悔した。
(ホラ、奥さん、うつむいて、黙ってしまった・・・・)
これはマズイ・・・・と気付いて、付け加えた。
「ご主人とお母さんを看取った友人が言ってましたよ。
夫の介護が一番大変。夫は、妻は自分の世話をするのが当然、
と思っているから。妻を小間使いと思っているから、始末に負えないね。
まァ、ちょっと甘いものでもいかが?」(バッグにあった小さなチョコレート
の袋を差し出す。)Sさん、「アマーイ」と召し上がってから・・・・
「・・・・それじゃ、夫のもう一方の足をマッサージしてから、帰るわ。」
とまた病室に戻っていかれた・・・・。
介護は、このような ‘ゆれ’の繰り返しである。
40年も50年もの長い間、一緒に暮らした人を大切に思わない人は、いないで
あろう。それでも、看る側も看られる側も、辛い時は辛いのである。
そんな時、何もできなくても、愚痴をちょっとだけ聞いてくれる人がいると、
それだけでかなり精神的に救われるものである。人の精神構造というのは、
自分を含めて、弱いものであるけれども、また復元力も確かにあるものだと
思う。要するに、ちょっとしたキッカケがあれば、結構、また立ち上がれるのだ!