nonnon日記
ここ数年の‘夫の入院生活の付添い’の経験から言わせてもらえば、
病気の種類や症状によって、病院に入院できる期間は、~3週間、3~4か月、
数年、と区分けされているようだ。それは、病状を基に、厚生労働省の定める
診療報酬の体系として‘セット’されているようなのである。そして、概ね、
短期入院の一般病棟は、看護スタッフの数が多く配置され、中、長期入院の
障害者、長期療養病棟は、患者数に対する看護スタッフの人数が少ない、
のが実情である。
しっかりと、‘経済的要因’を基盤として、医療制度が成立しているのだ。
我が夫は、進行性の神経難病なので、長期入院コースに入れてもらい、
(自宅介護があのまま続いていたら、私の体はもたなかったと思うので、)
病院には、大変感謝している。
しかし、どうしても、是非にも、訴えたいことがある。
それは、「痰の吸引」についてである。
癌患者の末期も同じようだと聞くが、事故、脳卒中、夫のような神経難病等、
重度の障害で、嚥下能力の弱った人、気管切開や気管挿管をしている
病人にとって、日々の最大の苦しみは「痰」である。
詰まると、呼吸が苦しくて、ズルズル、ズルズル・・・と、
病室では、あっちでもこっちでも、痰を吹き上げる苦しそうな音がする。
尿路感染症や、肺炎で熱を出した時は、特に、痰が多くなる。
たまった痰を、本人が必死でジュジュジューと、カフス(喉に穴をあけて
挿入したプラスチックの筒)から吹き出し、胸元がベチャベチャになるので、
いつもタオルを置いておく。夫を含めて、周囲にはそんな病人が多い。
特に、人手が少なくなる夜間と、土日祝日等は、まめに痰はとって
もらえないのが実情である。
時間を決めて、回ってケアして、指の先で、血液中の酸素濃度を測り、
数値が下がっていれば、酸素マスクをつける。
だから痰をあまりとらなくても、滅多に死ぬことはない。
つまり、「死なない程度に、痰を取る 」 のが実情である。
家族が傍に付いていて、コールすれば、取ってもらえる。
でも、一気に長い時間吸引する看護師さんにしてもらうと・・・
肺の中の空気がなくなって、病人はとても苦しいので、
顔が赤紫色になり、その瞬間、反り返ってもだえる。
日々、拷問を受けているようだ。
夫の気管切開手術をしてもらう前、
(周囲の‘先輩’を見て、痰が辛いのが分かっていたので)
心配してくれた 従姉に情報をもらい、
「痰の自動吸引装置」 について調べた。
自宅介護では、認可されていると知り、「徳永装器」 という会社
にも問い合わせた。
ところが・・・病院の看護師長さんと主治医に尋ねたところ・・・
「この病院では、検討したことはあるが、まだそのような装置の導入はない。」
と、断られてしまった。
近所の病院では、病院長が、「金魚の水槽の浄化装置」にヒントを得て、
独自に痰の吸引装置を開発した、という話も聞く。
病人の痰の苦しみは、自宅にいても病院にいても同じである。
厚生労働省の方が、もしもこの文面を見てくださったら、どうかお願いです。
病院でも、痰の自動吸引装置を導入して、少しでも痰による苦しみを
軽減できるよう、装置を導入しやすいように、
診療報酬体系に組み込むなどして、導入促進策を講じてください。
(機械を導入すると、さらに人員を減らす・・・という制度は困るけれど)
今、痰に苦しむ病人の姿は、決して他人事でなく、いつ、何時、
あなたや、あなたの家族、そして私を含め、誰の身にも起こりうる
人生最後の‘苦難’かも知れないのだから。
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