nonnon日記
毎日通う病院付添い。オムツ替えや処置で、部屋を出されることも多く、
廊下の長椅子等で、自然に「仲間」ができる。
No.298 でご紹介した70代後半の男性、Hさん。
人工呼吸器を付けた奥さんが度々「危ない」といいながら1年過ぎた。
その気概と根性たるや、もう脱帽である。
「僕はね、肝臓癌で医者に1年もたない、って言われて、もう16年経つよ。」
「ヒエー!、よく肝硬変にならなかったですねエ」
「いやア、半分は肝硬変になったよ。でもね、医者に毎日アルコール消毒して
ますから大丈夫ですって言ってね。」
「はア~??」
「その後ね、心臓の手術を2回してね。心室を焼いたのよ。」
「はア~~」
「甲状腺もね、潰れて声が出にくいけどね」
「いいえ、私よりしっかり声出てますよ」
「一体、どうしてそんなにお元気なんです?」
「それはね・・・・不安に思わないことじゃないかな。
私が死んだら、こうして、こうして、と子供達には言ってあるし、
何も心配ないんだ。」
(心配ないって?・・・いつも奥さんの病状の心配を目いっぱいしてるでは
ないの?)
そうか・・・・この人は、自分が死ぬことを、ちっとも怖れていないんだ。
ただ奥さんと別れたくなくて、無心に、目いっぱいの努力をしているんだ。
これが、この人の 「生き切る」 という形なのかもしれない・・・・
と、勝手に 納得した・・・・。
それにしても・・・1年もたないと宣告されて、16年???
案外、人間の体って心の持ち様で、なんとかなるものかも知れない。