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ITコーディネータ

2020-02-15 12:00:00 | 19期生のブログリレー

こんにちは。
第19期生佐々木辰也です。

今回は、「ITコーディネータ」制度について紹介したいと思います。
この資格は、中小企業診断士とダブルライセンスの方が多いのもその特徴として知られています。

まずは、この制度が必要とされた背景からご紹介します。

企業で使われ始めた頃のITはEDPS(エレクトリックデータプロセッシングシステム)という名称で、主に業務効率化や労働力代替として導入されてきました。現場レベルでのツールであり部門や機能といったレイヤにとどまる範囲であったために、IT投資に対する経営者の関与が希薄で、企業内のIT担当者とITベンダーとの間の判断で導入が行われてきました。
 
1990年代後半、アメリカはインターネットを通じた情報流通の高度化をベースに、金融・流通・製造・サービスの広い分野で競争力を飛躍的に高めてきました。これに対してバブル経済崩壊後の日本は国際競争力が低下しはじめていたため、日本の通産省は情報を基盤とした国際競争力においても我が国が遅れをとることを強く懸念していました。

同時期に企業側でも、IT利活用の巧拙が経営目標の達成に大きく影響することを認識する経営者が出てきました。

とはいってもほとんどの経営者は、有効なIT化投資に対してどのようにリーダーシップをとってよいのか経験がありません。

そこで「経営とITの橋渡し役」として、「経営戦略との整合性」をとった実施策を企業に向けてコーディネートする人材を養成するために、2001年に通産省の推奨資格としてITコーディネータ(ITC)が生まれました。
現在では、約6,500人のITCが資格を有しており、その25%程度が独立系コーディネータと言われています。
 
ちなみに資格の取得には、ITC試験の合格とITC協会主催のケース研修受講(約5か月)が必要です。ITC協会のホームページによると、試験約2万円とケース研修約20万円程度の費用で取得可能になっています。


私もこういった背景の中で13年ほど前に取得しましたが、その際に学んだ知識がその後のIT業務に役に立ちました。

ITC制度のすばらしいところは、独自のIT経営推進プロセスを持っておりこれが優れているところです。これは「IT経営推進プロセスガイドライン」という教材としてまとめられています。

ここには、①経営戦略策定②IT戦略策定③IT資源調達④IT導入⑤ITサービス活用という各段階において、どういったプロセスやナレッジが必要かが過不足なく定義されています。
とくに、ITC設立の趣旨ともなっている「経営戦略との整合性」という①と②のつなぎのところは、とても使いやすくできています。
 
中小企業の経営者にとっては、ITC制度を使って企業外のITCをコーディネータとして活用することを志向するかもしれません。
しかしながらそれ以上に、このIT経営推進プロセスを企業内のIT担当者に習得させて内部化することが有効であると思います。それにより、経営者の意図する経営革新や業務改革のためのITを語り合い成長させていく土壌もできてくることが期待できます。

中小企業診断士の方にとっては、①の経営戦略策定はよくご存知かと思いますが②のIT戦略策定にどうつなげていけばよいのか迷われている方がいるかもしれません。
そういった方にも「IT経営推進プロセスガイドライン」はとてもよい教材であると思います。さらに、③のIT調達特有の注意点なども学べます。

まとめますと、ITCは資格としての価値が高いですがその教材の価値もとても高いということです。
ぜひ、参考にされることをおすすめします。

コメント (5)
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