こんにちは。
20期生の岡田です。
今回のブログは9月19日(土)に行われた東京都診断士協会国際部主催のWebセミナーに関連した話です。
参加された方もいると思いますが、このセミナーでは2人の講師が担当して、米中関係とアメリカ大統領選挙の関係と、中国における模倣品対策などに関する講義がなされました。
ここでは、中国における冒認商標と模倣品対策関連について触れたいと思います。
中国における日本製品のEC(電子商取引)市場は拡大傾向にあります。
日本から中国への越境BtoC-EC市場は、2019年に約1.65兆円となり前年比7.9%増加したそうです(経済産業省 電子商取引調査より)。
日本と中国の越境BtoC-EC市場では日本が大幅に輸出超過となっており貿易黒字です。
このセミナーでは、2022年には日本から中国への越境BtoC-EC市場は2.5兆円に達すると見込まれ、化粧品の取引額が約半分、栄養食品のそれが約10%を占める見込みと説明がありました。
化粧品や栄養食品ではEC市場で取引しやすい商品であり、商標登録を怠っていると、中国で冒認商標や模倣品による被害にあう事例が多いと警笛を鳴らしていました。
ここで、冒認商標について簡単におさらいします。
冒認商標とは正当な権利を有しない他者によって出願・承認された商標で、抜け駆け出願とも言われたりします。
日本でも以前に問題になっていました。
中国では全体の出願数が多いこともあり、冒認商標の出願が多くなっています。
そのため、日本の関連省庁も注意喚起をしています。
中国における冒認商標を未然に防げればよいですが、既に登録されてしまっている場合には有効な証拠を示して無効宣告をすることになります。
有効な証拠となりそうなのは、
・商品知名度の高さを示す資料
・相手の悪意性を示す資料(他社商品名と分かっていて出願している)
・これまで中国で販売してきた実績
・世界各国で登録してきた商標
・受賞歴
などが挙げられます。
これらを示して無効を主張するという手続きが必要となり、膨大な労力がかかります。
冒認商標を無効にできない場合、中国国内でその商標を使って販売すると権利保有者から訴えられるリスクがあります。
それに、権利保有者が模倣品を製造販売しても手の打ちようがありません。
むしろ、その模倣品が正式な商標がついた商品となってしまいます。
商標売買サイトもあるようですので、一度登録されてしまうと対策が難しくなります。
しかし、中国では商法改正がなされて冒認商標に関する防止策も考慮されました。
とはいえ、ゼロになることはないので、注意が必要です。
前述したとおり、日本政府も問題視しており、JETRO(日本貿易振興機構)を通じて中小企業向けの支援を行っています(補助率2/3、上限額500万円)。
https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_trademark.html
グローバル化やEC市場の拡大でビジネスチャンスが増えたのと引き換えにリスクも増加しています。中小企業やベンチャー企業が独自製品をネット販売や通信販売をするときは商標登録を忘れずにすることが重要であると再認識しました。
以上、セミナーの概要と感想を記載しました。参考になれば幸いです。