16期生の大石泰弘です。
事業承継・引継ぎ支援センター事業では事業承継計画書の作成を希望された相談者に専門家を派遣して作成します。
専門家が現経営者と後継者の両方と面談して決まったフォーマットで作成します。事業承継計画書は無駄だと言われる診断士や税理士がいらっしゃったので、実感している効能のいくつかをご紹介します。
①現経営者と後継者の会話の機会
親族内承継で相談に来られる方で、事業承継について親子で会話をされている方はほとんどありません。
親子の会話なくスムーズな事業承継は不可能です。面談では親から話を切り出すようお願いします。
センターの計画書は親子両方の承認が必須となっています。
相談に来られるのは親御さんが多いです。計画書の作成で後継者に会うと、親御さんから伺っていた
後継者の印象とは全く違うこと、後継者の話される内容は、親御さんも「初めて聞いた」と言われること
は珍しくありません。
②関係者の声も聴く
現経営者のリクエストで、社員とか他の家族との面談をすることがあります。経営者としては、
後継者以外の人の本音を知りたいけれども、自分の目の前では本音を語ってもらえないと悩んで
おられる経営者は少なからずあります。
③計画書で関係者に話ができる
計画書ができると「これで妻に話ができる」とか「やっと社員に話ができる」と言われることも
少なくありません。何をどう考え、どう整理すればよいのかわからなかったのだと思います。
④フォローアップする
実例です。2020年に計画書を作成され、今年、後継者が入社される計画だったので、現状を確認
しました。後継者は予定通り入社されるそうですが、計画書はその後活用されなかったとのことなので、
久しぶりに面談をして、 計画書を一緒に再確認しました。
やるべき重要事項をされていなかったので大至急実行されたり、後継者の育成方法を変更したりされ
ました。作成に終わらずフォローアップも重要だと実感しました。
事業承継計画書はフォーマットを埋めるだけなら簡単ですが、作成方法によっては相談者や金融機関と信頼関係を構築する機会にもなります。千葉県の診断士協会と中小機構で実施している支援者研修では、6回のうち1回は計画書の作成だけにあてています。
以上