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障害者雇用について考える

2023-11-18 12:00:00 | 23期生のブログリレー

こんにちは、稼プロ!23期生の曽我剛です。今日は障害者雇用について考えてみたいと思います。

今年の8月に家族で日本テレビの24時間テレビを見ていました。その中で「虹色のチョーク」というタイトルのドラマを放送していて、そのドラマは日本理化学工業株式会社を舞台にした内容でした。この会社はチョーク製造販売会社で、日本のシェア約70%を占めています。また障害者雇用に力を入れており、2023年現在、91人の社員のうち66人が知的障害者で、障害者雇用割合は約7割となっています。この会社は有名でよくメディアでも取り上げられるので、ご存じの方も多いと思います(今年の3月のブログでも19期生の宇野さんが取り上げていました→こちら)。ドラマを見て、中小企業が障害者を雇うことの大変さを理解した一方で、障害者を雇うことの素晴らしさも感じました。障害のある方が一生懸命に働く姿は感動を覚えます。

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。民間企業の法定雇用率は現在2.3%ですが、今後段階的に2.7%まで引き上げられる予定です。厚生労働省発表の2022年の障害者雇用状況の集計結果によると、障害者の実雇用率は、従業員43.5~100人未満で1.84%、100~300人未満で2.08%、300~500人未満で2.11%です。法定雇用率達成企業の割合は、43.5~100人未満が45.8%、100~300人未満が51.7%、300~500人未満が43.9%となっています。中小企業では法定雇用率に未達の企業が多く存在することがわかります。

中小企業はリソースが限られ、障害者を雇用して育成していく余裕などない、という意見があると思います。先の例の日本理化学工業株式会社がどうやって障害者雇用を増やしたのか調べてみました。障害者雇用を始めたきっかけは、1959年に近くにある養護学校(現:特別支援学校)の先生が、卒業生の採用をお願いしに訪問してきたことです。当時専務だった大山泰弘さん(先代の社長)は、最初は断ったのですが、何度も何度も訪問されて、最終的に1週間の就業体験だけなら引き受けますとなりました。2名の女性の知的障害者が就業体験をしました。1週間の就業体験が終わった後に、2人の一生懸命な働きぶりに社員の方々は心を動かされ、2人を採用してほしいと大山さんは強く要望され、会社は2人を正式に採用しました。これがこの会社の障害者雇用の始まりで、その後採用を増やしていき、今に至っています。障害者雇用は、最初は苦労の連続であり、どうやって教えればよいか、簡単なことではなかったようです。障害者1人1人の特性や能力を見て、その方が取り組みやすいように仕事のやり方を改良し、創意工夫を重ねていって、今の障害者が働きやすい職場が作られました。

この例のように、最初は採用するつもりはなったとしても、就業体験を行った結果、考えが改められて採用につながるケースもあるのではないかと思いました。もし障害者雇用に関心がありながらも心配なことが多数あり、一歩を踏み出せない企業の方がいましたら、「職場体験実習」という制度(詳しくはこちら)を活用できます。その制度は、障害者雇用を検討している企業が、障害者を「実習生」として職場に受け入れ、実際に業務を実習として体験してもらうことで、障害者雇用への不安を緩和することができます。また、職場体験実習の実施が目的ですので、職場体験実習後の雇用の義務はありません。障害者雇用には、①企業イメージの向上、②障害者雇用で人手不足対策になる、③業務見直し・改善のきっかけになる、④行政の支援を活用できる、などのメリットがあります。ぜひ障害者を積極的に雇用する企業が増えてきてほしいものです。

私の住む地域の公立中学校では、障害のある生徒たちも文化祭で舞台に上り、縄跳びなどのパフォーマンスをして生徒たちから拍手喝さいを浴びていました。障害のある生徒たちがいきいきと活動している姿は実に微笑ましいものでした。仕事の場でも、ドラマで見たように障害者の方々が笑顔でいきいきと働く場面が多く見られるようになったら素敵だと思います。私自身も診断士として障害者雇用をサポートしていけるようになりたいと感じました。

コメント (8)
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