『ザ・ジャグル 〈1~5〉』 榊一郎 (ハヤカワ文庫 JA)
実は思いっきり『ザ・ジャングル』だと思っていて、メキシコジャングルツアーにも持って行ったくらいなのだが、ジャングル(密林)じゃなくてジャグル(曲芸・手品)だということに気がついたのは1巻も終わりの頃だった。
アニメ企画からのスリップということで、まさに連続アニメを彷彿させる構造の連作。硬派な設定も、いかに人型マシンに必然性を与えるかというこじつけに近いものに思える。
しかし、その舞台では、平和とはなにか、戦争参加者の戦後はいつまで続くのかという重たいテーマが描かれる。
平和とは戦争と戦争の間のことを示すというのはどこかで聞いたようなセリフだが、間氷期のように氷河期ではないことが容易に観測可能な物とは異なり、戦争が無いという状態を観測によって確定することは難しい。ましてや、今なお続く戦争の痕跡をジャグラーたちが消し去ろうとしているならば。
ということなのだろうが、その痕跡を追うジャーナリストの二人の影が薄くてちょっと残念。これは当初の企画からの変更部分らしいのでしかたがないか。
その代わりに焦点となるのが、戦士たちそれぞれの“戦後”。
このテーマ自体は映画『ランボー』に代表されるように珍しいものではないが、アニメ向け企画ということで、かなり露骨に、類型的に、わかりやすく描かれている。隠しテーマレベルではなく、クドイぐらいに繰り返し「戦争の終わり」を問いかける主人公。
こういうのはアニメでこそやって欲しいものだ。深夜時間帯などに大きなお友達向けのアニメタイムがあるだろうに。いや、今時の萌えアニメ全盛期では、こういう湿った内容の物語は受けそうにないか。でも、『ボトムズ』なんかは今でも人気があるんじゃない。
ただ、小説として読むには、もうちょっと文学的オブラートに包めよと思う。活字で読むと、なんだか露骨過ぎて。逆に、アニメや映像系でこういうのをやると、アクションシーンにまぎれてちょうどいい感じになんじゃないかと思うんだが。
ザ・ジャグルのメンバーのすべてがそれぞれにそれぞれの戦後を見つけるという流れの中で、ラウラのシーンはなかなか印象的だった。あれが一番しびれた。
一方で、主人公のジェイドの戦争の終わりは、唐突過ぎてなんだかよくわからん。読みが足りなんだろうが、まぁいいか。
ジャーナリスト役の二人は、当初の主人公レベルの取り扱いから、最後は傍観者にすらなれない空気っぷりが残念。路線変更の煽りを喰って、活躍の場を奪われたような感じ。
で、結局のところ、良くも悪くもアニメ的すぎる。活字で読んでいても、どうにもアニメ原作の匂いをぷんぷんと放出し続けている。まったくハヤカワ文庫にはそぐわない雰囲気だ。
そういった意味では、アニメでこそ見たかったような気がする。
実は思いっきり『ザ・ジャングル』だと思っていて、メキシコジャングルツアーにも持って行ったくらいなのだが、ジャングル(密林)じゃなくてジャグル(曲芸・手品)だということに気がついたのは1巻も終わりの頃だった。
アニメ企画からのスリップということで、まさに連続アニメを彷彿させる構造の連作。硬派な設定も、いかに人型マシンに必然性を与えるかというこじつけに近いものに思える。
しかし、その舞台では、平和とはなにか、戦争参加者の戦後はいつまで続くのかという重たいテーマが描かれる。
平和とは戦争と戦争の間のことを示すというのはどこかで聞いたようなセリフだが、間氷期のように氷河期ではないことが容易に観測可能な物とは異なり、戦争が無いという状態を観測によって確定することは難しい。ましてや、今なお続く戦争の痕跡をジャグラーたちが消し去ろうとしているならば。
ということなのだろうが、その痕跡を追うジャーナリストの二人の影が薄くてちょっと残念。これは当初の企画からの変更部分らしいのでしかたがないか。
その代わりに焦点となるのが、戦士たちそれぞれの“戦後”。
このテーマ自体は映画『ランボー』に代表されるように珍しいものではないが、アニメ向け企画ということで、かなり露骨に、類型的に、わかりやすく描かれている。隠しテーマレベルではなく、クドイぐらいに繰り返し「戦争の終わり」を問いかける主人公。
こういうのはアニメでこそやって欲しいものだ。深夜時間帯などに大きなお友達向けのアニメタイムがあるだろうに。いや、今時の萌えアニメ全盛期では、こういう湿った内容の物語は受けそうにないか。でも、『ボトムズ』なんかは今でも人気があるんじゃない。
ただ、小説として読むには、もうちょっと文学的オブラートに包めよと思う。活字で読むと、なんだか露骨過ぎて。逆に、アニメや映像系でこういうのをやると、アクションシーンにまぎれてちょうどいい感じになんじゃないかと思うんだが。
ザ・ジャグルのメンバーのすべてがそれぞれにそれぞれの戦後を見つけるという流れの中で、ラウラのシーンはなかなか印象的だった。あれが一番しびれた。
一方で、主人公のジェイドの戦争の終わりは、唐突過ぎてなんだかよくわからん。読みが足りなんだろうが、まぁいいか。
ジャーナリスト役の二人は、当初の主人公レベルの取り扱いから、最後は傍観者にすらなれない空気っぷりが残念。路線変更の煽りを喰って、活躍の場を奪われたような感じ。
で、結局のところ、良くも悪くもアニメ的すぎる。活字で読んでいても、どうにもアニメ原作の匂いをぷんぷんと放出し続けている。まったくハヤカワ文庫にはそぐわない雰囲気だ。
そういった意味では、アニメでこそ見たかったような気がする。