神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 水の迷宮

2013-04-01 23:36:14 | SF

『水の迷宮 クラッシャージョウ・シリーズ11』 高千穂遥 (ハヤカワ文庫 JA)

 

なんと、《クラッシャージョウ》シリーズの最新刊である。このニュースを聞いたのは去年の年末だったと思うが、まさか本当に出版されるとは思わなかった。

クラッシャージョウの第1巻が発行されたのは1977年。アニメ化されたのでさえ1983年である。10巻は2005年。まだソノラマ文庫が健在だったんだよな。ソノラマ文庫廃刊に伴い、ハヤカワJAで復刊してたこともすっかり忘れていて、「なんでハヤカワが!」と思ってしまった。

俺がこのシリーズを読み始めたのはリッキーより年下だったが、今でもまだタロスの歳は超えていないぞ(笑)

 

今回はアルフィンもジョウも活躍がおとなし目。もっと死ぬ気に合ってもらわないと盛り上がらないじゃないか。そういう意味ではちょっと期待外れだったかも。

久川綾の「水の迷宮(ラビリンス)」から着想されたとあり、youtubeで聞いてみると確かにしっくりくる。これは必聴。水中戦に特化して生体改造された女傭兵の数奇な運命を描くという意味では、この歌とセットにすることでテーマがはっきりと浮かび上がる。

とはいえ、やっぱり、クラッシャージョウは死にそうになってなんぼだろう(笑)

SF的に見ても、ネレイスの存在が弱いんだよな。もうひとひねりあっても良かったと思うんだけれど。

他にも、女傭兵のアプサラが敵か味方か最後までわからないようにするとか、アルフィンがアプサラに嫉妬してラブコメするとか、いろいろ面白くなる要素はあったと思うんだけれど、描きたいテーマと読みたいシーンにちょっとズレがあった。

敢えて言うけど、ちょっと残念な出来だったと、個人的には思う。

 

 


[SF] 敵は海賊・海賊の敵

2013-04-01 23:00:58 | SF

『敵は海賊・海賊の敵』 神林長平 (ハヤカワ文庫 JA)

 

 

久し振りの《敵は海賊》シリーズ新刊。ここから、ハヤカワ文庫は怒涛の“往年の名作シリーズ”新作展開を開始。これもSF作家クラブ50周年イベントの一環なんだろうか。

今回の『海賊の敵』では、語り手がラジェンドラ。機械知性(っつーか、フリゲート艦)のラジェンドラが、独自に推測した匋冥側のドタバタも含めて、あくまでも文学的に事件を描写する。

もともと、第1作の『敵は海賊・海賊版』からして、自動小説執筆機から出力されたという体裁だったような気がするが、そんな記憶もロングピース社の捏造かもしれない。そんなわけで、《敵は海賊》シリーズは各巻が“パラレルワールド”と言われている理由が合理的に説明できることになっているのは注目点だ。

つまり、これはラジェンドラが事実をもとに脚色した報告書兼小説であり、真実かどうかは保証の限りではない。なんと、ミステリでもないのに、信頼できない語り手モノである。

 

そして、さらに興味深いのは、今回描かれる“匋冥教”の存在だ。

匋冥教は匋冥とはまったく関係ないところで生まれ、勢力を拡大した。その結果、匋冥教の信徒が匋冥に合っても、お前は匋冥ではないと言い出す始末。ここでも、事実をもとにしたフィクションが一人歩きを始める。

帯に「匋冥、神と対峙する。」とあるが、匋冥が対峙したのは神ではなく、自分自身のフィクションである。すなわち、フィクションが神なのである。(逆に言うと怒る人がいそうなので、あくまでもこの語順)

このテーマは、神林のほかの小説にも通じていて、『ぼくらは都市を愛していた』の“都市”もフィクションであれば、『戦闘妖精・雪風』のJAMもフィクションである。(ある意味で、というか、いろんな意味で)

ひとが認識できるものは、事実そのものではなく、もしかしたら意識というフィルターを通したフィクションなのかもしれない。そして、ひとは常に自分自身のフィクションと対峙しなければならない。それが、社会で生きるということなのだろう。


なんてことを考えつつも、シャルなんていう懐かしキャラクターも登場したりして、非常に楽しい小説だった。海賊側の掛け合いが絶妙におもしろいし、それをわざわざ書いているのがラジェンドラというのが、またメタに楽しい。シャルと匋冥の逢引きシーンをラジェンドラが書くんだぜ。いったい、なんだそりゃ(笑)

 

 


[コンサ] 2013 J2 第6節 札幌 vs G大阪

2013-04-01 22:30:32 | コンサ

2013 J2 第6節 コンサドーレ札幌 1-3 ガンバ大阪 @スカパー


前節は右SBのチョソンジンが怪我で途中交代、センターバックの奈良がイエロー二枚の退場で今節出場停止。そこで布陣はどうなったかというと、CBにパウロンが初登場。右SBには前節に続いて上原。

パウロンはデカい新外国人。身体能力は高いらしいが、連携面でどこまでできるかが不安。そして上原はFW登録の攻めの選手。前節のスクランブルは合格点どころか、決勝点にまで絡む活躍だったが、本職の選はどうした。日高はまだダメなのかね。

と、DFラインは想定内だったものの、中盤は古田が再び控えに回って河合、深井、上里、宮澤、内村。宮澤がトップ下で内村をサイドに使うのかと思いきや、前田と内村がツートップ気味の配置。上里が右で宮澤が左。

これはメンバー選択ミスったんじゃないかと、正直言って感じた。サイドアタッカーが誰もいないじゃないか。

しかし、蓋を開けてみると、去年から続けている4-2-3-1ではなく4-4-1-1。ある意味4ボランチ。守備の時には綺麗に2ラインを作って、的確にパスカットを狙っていく。これはやはり守備重視の布陣か。

まず上里の守備からチャンスを作る。続いて、内村からのカットから。パス回しをさせておいて、うまくパスカットから速攻というのがこの布陣の理想の形っぽい。

それにしても、今日も深井がいろいろ“おかしい”件。これまで、古田や奈良も新人離れしておかしいと言われていたが、深井はそれ以上だ。今月18歳になったばかりなのに、4ボランチの中で一番落ち着いてるし、フィールドも良く見えていてサイドチェンジも適確だ。

あれ、と思っていると、上里と宮澤がポジションチェンジ。上里が左で宮澤が右。そうそう、これの方がしっくりくる。

左に戻った上里が調子に乗って強烈なミドル。しかし、これはバーを叩いてゴールラインの前に落下。あと1センチ下だったら、ゴールラインの内側に入ったかもしれないくらい。今日なかなかいけるんじゃないのか。

しかし、守備ではパウロンが危なっかしい。やはり連携が取れていないのか、パスミス多し。バックパスも弱くて、危うくレアンドロにごっつあんゴール。パウロンは杉山を信用し過ぎ。杉山が前に出てボール蹴ってくれるわけないじゃん。

割といい感じに進めていたのに、前節の右SBに続いて、今度は左SBの松本が負傷退場。で、堀米が謎の5人目の外国人ゴメスとして登場。松本は大卒ルーキーながら、開幕戦から無難にこなして、左SBとして完全に定着していただけに残念。

しかし、変わった堀米もまったく物怖じせず、遜色ない出来。スクランブルとしては全く問題ない。課題と言えば、フィジカルくらいか。

しかし、そんな中でガンバ先制。やっぱりレアンドロ。

クッシーが振り切られてクロスを上げられ、上原がマークに付いていたのをうまくいなされた。間のパウロンもボールウォッチャーになってしまった。ふんわりクロスだったので、杉山が出ても良かったのだが……。プレーに係わった全員が少しずつ足りなかった。最後はヘディングで杉山の股抜き。

前半終了間際という最悪な時間に決められて、0-1で前半終了。


後半、深井のロングシュートで開始。そうそう、とにかくシュートをどんどん撃っていこう。

しかし、ガンバも攻める。クロスバー、そしてポストに連続して救われる。前半よりプレスが弱くなった感じ。

次は札幌のターン。カウンターで攻めるが、前俊のシュートを藤ヶ谷が触ってゴールを外れる。しかし、なぜかゴールキックで怒りの場内&TL。

こんな感じで双方にチャンスが訪れるが、ゴールは生まれず。局面打開のために上里に代わって古田を投入。

その後ガンバのターン。ゴール前の混戦時で後ろから飛び込んできた選手に誰もついてこなくて失点。みんなボールに行きすぎ。

そして札幌のターン。3対2になったカウンターは、前田のシュートミスでゆるく藤ヶ谷の正面。

交互にチャンスは訪れるが、なぜか決まるのはガンバの方だけ。

そしてさらに最悪なことに、古田負傷。レアンドロのシュートを足先でブロックして捻ったかも。足を引きずって、自分で×を出す。それでも、守備で自陣ゴール前まで全力疾走。退場時にはユニホームで顔を隠して退場。痛いのか、悔しいのか、泣いているのか。

古田に代わって砂川。そして、上原が前に出て宮澤が右SBというちょっと意味不な布陣になってしまう。古田は、わずか10分間のプレーでおしまい。そして負傷二人のために交代カードを使い切る。

その後に問題のオフサイド判定のシーン。ガンバフリーキックからガンバ岩下がDF裏へ走り込むが、ボールは札幌のクリアミスのようなヘディングがつながり、最終的にオフサイドポジションの岩下へ。あっさりゴールを決めるも、オフサイドフラッグ。ここで主審が副審に確認し、結局、ゴール認定。

FIFAの年次総会でどうとか議論はあったものの、主審は最初からゴールを認めていないのでゴール取り消しではなく、FIFAのルール改訂は2013年7月以降とのことで、これは問題ない判定とのこと。そうだよね、2013シーズンって、秋春制のFIFA的には2013-2014シーズンのことだよね……。

しかし、家本についても書いたけど、ゲームをコントロールするっていうのは、正しいジャッジをすることとイコールではないんだよ。観客におもねるというのも違うけど、観客や選手から見て、ちゃんと理解できるように裁くのが最優先だと思う。

少なくとも、オフサイドフラッグが上がっている時点で守備の反応が止まるのはどうしようもないと思うのだが。それでも笛が鳴るまでプレーを止めるな、とは言うけれどもね。

アディショナルタイムに、やっと宮澤がゴール。ゴール前での冷静さとシュートの正確性では前田より上だと思う。さすが、俺らの10番。意地で1点返したという形だが、さすがにここまで。


今日は審判が話題を持って行ったようなものだが、やっぱりガンバは強かった。ひとつひとつのプレーの質はコンサドーレよりもはっきり上だと思う。なんで勝てないのかね。やっぱり藤ヶ谷が……。

チョソンジンに続いて、松本、古田と負傷でいなくなってしまうという逆境だが、パウロンも堀米もそれなりの合格点だし、まだまだシーズン序盤だ。怪我の状態は気になるが、宮澤をCBで先発させた去年と比べれば、まだ致命的な選手不足というわけではない。

次節は奈良+パウロンがセンターで櫛引が右SBなんてこともありそう。いろいろな組み合わせを試すことができるようになって良かったと前向きにとらえてみよう。