昨日ほどではないにしても、またしても早朝から移動開始。今晩から2日間はマチュピチュ泊で、大きなスーツケースは持ち込めず、手荷物は一つだけと言われていたので、リックサックに入れる服装に悩む。結局、ほとんどの人は大きめのバッグと小さめのバッグという二つ持ちだったので、そんなに悩む必要は無かった。
朝5時のレストランはパンとバターと飲み物だけ。と思ったら、今日はチーズとハムがあった。もしかしたら時間が遅くなると、ちゃんとソーセージとかスクランブルエッグとか出てくるんじゃないのか?
早朝、曇り空の海沿いをホテルからリマ空港へ。ここから国内線でクスコへ。おもしろいのが、リマ空港は手荷物検査の列が国際線と国内線で分かれているくせに、その先で通路が合流していること。セキュリティ的に大丈夫なのかね。ここで逆に行ってしまう人がいるので、添乗員さんが口を酸っぱくして念を押していた。
飛行機は3席+3席と小さめ。約1.5時間の飛行で、飲み物とお菓子のサービス。ここではインカ・コーラを飲んでみた。うーん、メロー・イエロー?
クスコに着くと、ピーカンのいい天気。飛行機から見下ろしたクスコの街並みは、屋根がみんな同じ赤茶色。高地の盆地に発展した街なのだが、今では山の斜面の上の方にまで家が建っている。その家もすべて赤茶色。
クスコ空港には黄金マスクのモニュメントが飾られていたり、レンタカーブースのカウンターにはコカの葉がザルに入れておいてあったりと、なかなか趣深い。リマとはまた違う国にきた気分。
空港の外に出ると、4000メートルの高地なので風は涼しいが、太陽がジリジリと熱い。空気も薄いはずだが、そんなに気にならない。
ここでクスコのガイド、ホセさんと合流。この人はなかなか面白い人で、日本に出稼ぎに来ていた時にお世話になったので、その恩返しでガイドになったんだとか。
クスコの市街はそのまま世界遺産に指定されている歴史ある街並み。とはいえ、あまり見る余裕も無く、まずは太陽の神殿へ。
ここはインカの宮殿を教会に作り変えてしまったという有名な場所。外観だけでも、精緻なインカの石組みの上に粗雑なスペインの石組みがのっかてるのがよくわかる。インカの石組みのすごさは上に登ってみるとわかるが、壁面だけでなく、壁の内部までもが継手のように組み合わさっていることだ。これなら確かに地震にも強いし、長持ちするだろう。
壁の外側にはこぶし大の突起があるが、これは彫刻が削られた跡ではなくて、夏至や春分の日といった特定の日の影によって作る絵やサインだと言われている。しかし、壁が破壊されて全容が不明なため、何のモチーフだったのかはわからないらしい。まったく、キリスト教はどこへ行っても世界の破壊者だな。
教会の内部には一部だけ当時の様子がわかる遺跡が残っており、そこが公開されていて写真撮影も可能。一方、他の教会部分や回廊の絵画は撮影禁止。こんなところにも、スペイン人のケチな小ささが出ているんじゃないか。
神殿の中には、水洗トイレとも言われる水路が刻まれた石や、隙間を埋めた爪の先ほどの小さな石、90度の角度に内側をえぐられた石など、様々な石の加工技術を見ることができる。これはすごい。
豊作を祈る虹の神殿、稲妻の神殿、太陽の神殿。大空のコンドル、大地のピューマ、地下のヘビという3層構造。わずかに残る遺跡から、インカの人々の世界観が伝わってくる。自然を恐れ、敬い、祈る。その宗教観は、八百万の神に親しむ日本人にはわかりやすいかもしれない。
神殿の外に出ると、細い路地を行く。路地の左右にはインカの石組みを再利用した壁や、模倣した壁が続く。昔からの石組みは博物館や店舗に転用されている。これだけ街中に遺跡が露出し、生活の場となっている都市というのも珍しい。自分たちの街の持つ観光的な資産価値を良くわかっているのだろうか。
その路地裏でガイドさんが示した小さな石。これがなんと14角の石。石組みの隙間を埋めるような複雑な形をしている。
続いて、大きな13角の石。1メートル以上もあるこんなに大きな石をどうやって精密に加工するのやら。
最後に、12角の石。この石だけは大人気で、観光客の切れ目が無い。隙を狙って、やっと写真が撮れるくらい。そのくせ、13角の石や14角の石は人気が無い。ガイドブックに載ってないことと、13は縁起が悪い数字で、14角の石は小さいからだそうだ。
ここでガイドのホセさんの持ちネタを。「インカの人は勤勉。だから、こんな石組みが作れた。日本人も勤勉。でも、ペルー人、勤勉じゃない。どうして。半分スペイン人だから」そう言って、ホセさんはグフフフと笑った。
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