『ゴースタイズ・ゲート 「イナイイナイの左腕」事件』 中井拓志 (角川ホラー文庫)
SFとホラーは親和性が高いのは周知の通り。一方で、SFとオカルト・ホラーは決して相容れない。言いすぎかもしれないが、真実だと考えている。ここで、ただのホラーではなく、オカルトというのがミソ。
何か不思議な現象が起こった時に、それを科学的に解明しようとして、
現代科学の常識の範囲に収まり、「なんだそんなことか!」で終わるのがミステリ。
現代科学の常識の延長線の彼方で「え、そんなことが!」で終わるのがSF。
現代科学では解明できないものがそのまま説明されずに終わるのがオカルト。
自分はこんな風に考えている。
当然、SFの皮をかぶったオカルトも、オカルトの振りをしたSFも存在する。
前者で割とよく例に挙げられるのが瀬名秀明の『パラサイト・イヴ』だったりする。日本SF作家クラブ会長にまでなった今、本人がどう思っているかわかりませんが。
で、本書は後者、オカルトの振りをしたSFだ。と、はっきり言い切れればよかったのだけれど、最後まで読んだらいまいちSFになり切れていないか。
心霊現象が本当に存在していたらというIFを元にし、もし存在するのであれば、それはいったいどのような原因で、どのようなプロセスで発現するのかということを、特に脳科学の立場から解明しようとする。
憑依された少女の脳波を解析し、何が起こっているのかを推測しようとするその科学的アプローチはなかなか面白かった。
しかし、結局のところ、本人の好みなのか、角川ホラー文庫というレーベルの方針なのか、最終的には怪談よりの結末を迎えてしまう。
しかし、ラストに出てくる未解明資料保管庫は、「科学で解明できないもの」の保管庫では無く、「既存の科学知識では鑑定不能」と判断された資料の保管庫であるという説明が著者の科学に対する想いを表しているようで、好感が持てる。“既存の”があるのとないのとでは大違いだ。そこに、将来の科学では鑑定できるはずという前向きな科学への信頼感を見ることができる。
episode1とepisode2の収録で、主人公の女性警察官と霊媒少女の過去の未解決の因縁などもあり、とりあえず続くようだ。今後、オカルトとSFの狭間でどっちの方向に振れていくのかが興味深い。
そして、この本を読み終わってから数日後、フジテレビの『サイエンスミステリー』を見て驚いた。この番組で紹介された“半側空間無視”って、イナイイナイの左腕の元ネタではないか。この無理やりな設定の脳異常は実在したのか。いや、これはびっくりだわ。どう考えたってオカルトネタじゃん。
やっぱり、この小説はオカルトの皮をかぶったSFだし、中井拓志はSF書きだったのだ!
SFとホラーは親和性が高いのは周知の通り。一方で、SFとオカルト・ホラーは決して相容れない。言いすぎかもしれないが、真実だと考えている。ここで、ただのホラーではなく、オカルトというのがミソ。
何か不思議な現象が起こった時に、それを科学的に解明しようとして、
現代科学の常識の範囲に収まり、「なんだそんなことか!」で終わるのがミステリ。
現代科学の常識の延長線の彼方で「え、そんなことが!」で終わるのがSF。
現代科学では解明できないものがそのまま説明されずに終わるのがオカルト。
自分はこんな風に考えている。
当然、SFの皮をかぶったオカルトも、オカルトの振りをしたSFも存在する。
前者で割とよく例に挙げられるのが瀬名秀明の『パラサイト・イヴ』だったりする。日本SF作家クラブ会長にまでなった今、本人がどう思っているかわかりませんが。
で、本書は後者、オカルトの振りをしたSFだ。と、はっきり言い切れればよかったのだけれど、最後まで読んだらいまいちSFになり切れていないか。
心霊現象が本当に存在していたらというIFを元にし、もし存在するのであれば、それはいったいどのような原因で、どのようなプロセスで発現するのかということを、特に脳科学の立場から解明しようとする。
憑依された少女の脳波を解析し、何が起こっているのかを推測しようとするその科学的アプローチはなかなか面白かった。
しかし、結局のところ、本人の好みなのか、角川ホラー文庫というレーベルの方針なのか、最終的には怪談よりの結末を迎えてしまう。
しかし、ラストに出てくる未解明資料保管庫は、「科学で解明できないもの」の保管庫では無く、「既存の科学知識では鑑定不能」と判断された資料の保管庫であるという説明が著者の科学に対する想いを表しているようで、好感が持てる。“既存の”があるのとないのとでは大違いだ。そこに、将来の科学では鑑定できるはずという前向きな科学への信頼感を見ることができる。
episode1とepisode2の収録で、主人公の女性警察官と霊媒少女の過去の未解決の因縁などもあり、とりあえず続くようだ。今後、オカルトとSFの狭間でどっちの方向に振れていくのかが興味深い。
そして、この本を読み終わってから数日後、フジテレビの『サイエンスミステリー』を見て驚いた。この番組で紹介された“半側空間無視”って、イナイイナイの左腕の元ネタではないか。この無理やりな設定の脳異常は実在したのか。いや、これはびっくりだわ。どう考えたってオカルトネタじゃん。
やっぱり、この小説はオカルトの皮をかぶったSFだし、中井拓志はSF書きだったのだ!
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