「児童ポルノ禁止法」改正法案が、性懲りもなく、再提出されたらしい。自民、公明、日本維新の会の三党が共同で提出とのこと。次の参院選でこいつらに入れるということは、表現の自由を捨てるということだ。
これまでにも、数々の問題点が指摘されながら、申し訳程度の補足を追加しただけで、大枠を変えずに提出。結局、彼らは現実に苦しんでいる児童ではなく、彼らが不快感を覚える表現を殺したいだけなのだろう。
18歳以上でも児童に見えたらダメ(いったいそれを判断するのは誰なのだ?)とか、自分の子供のころの写真(もちろん、親が子供の写真なんてもってのほか)でも所持禁止とか、過去に出版されたもの(よく例に出るのは宮沢りえの『サンタフェ』)でも破棄(しかも、ゴミに出すのではなく焼却が必要)しなければならないとか、まったくもって正気の沙汰ではない。これこそ現代の焚書と呼ばずに何と呼ぶ。
有川浩の『図書館戦争』がベストセラーとなり、アニメや実写映画でヒットしたというのに、あの物語で描かれたメディア良化法と、「児童ポルノ禁止法」改正法案の関係性が見えない人が多いのはなぜなのか。
そうは言っても、児童ポルノは厳しく禁止すべきという人も多いだろう。そういう人は、まず改正案の内容を読んで、下記の反対意見書を読んでみて欲しい。そして、ちゃんと自分の頭で考えて欲しい。
とにかく、児童ポルノと判断される範囲が大きすぎる。下記のリンクにも上げてあるのだが、ジャニーズジュニアですら無関係ではないのだ。さらに、その範囲を確定しないがゆえに、恣意的に悪用される可能性がある。
くわえて、誰もが児童ポルノと判断するようなものでも、所持するだけで逮捕とはどういうことか。表現の自由、思想の自由は、少しでも譲った瞬間に歯止めが効かなくなる。
私は児童ポルノはもちろん、ヘイト・スピーチを含むすべての表現に対する法的規制に反対します。それは個別にわいせつ罪、名誉棄損罪で戦えばよい。一律な規制や、主観的な運用の懸念を含む規制は、ディストピアにつながる。そしてこれは、フィクションではない。
「児童ポルノ禁止法」改正法案への反対声明
一般社団法人 日本雑誌協会 人権・言論特別委員会
一般社団法人 日本書籍出版協会 出版の自由と責任に関する委員会
児童ポルノ規制法案に向けての意見書
日本漫画家協会
「児童ポルノ禁止法案」に対する意見表明
コミックマーケット準備会
「児童ポルノ禁止法」改定案への反対声明
全国同人誌即売会連絡会
ニーメラーの詩
『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』
ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた。
チョムスキーの表現の自由
もし私たちが、軽蔑する人の表現の自由を信じないなら、
表現の自由を全く信じていないのだ。
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