今年の関東合唱コンクール(大学・職場・一般部門)は、10月2日(日)横須賀市
のよこすか芸術劇場で開催された。よこすか芸術劇場は京浜急行汐入駅近くに
平成6(1994)年にオープンしている。初めて訪れる会場だ。
自宅の最寄駅から汐入駅までは1時間15分。わが最寄駅から1時間以内では、
八王子(37分)、立川(46分)、浅草(55分)、鎌倉(56分)と思ったより遠くまで
行ける。京急の汐入駅は横須賀中央駅手前で時間的には遠距離の部類だ。
(ちなみに小田原までは1時間25分。)
事前に当日のコンクール「タイム・スケジュール」(出演表)を調べたうえで、9時半
過ぎにわが家を出発。上大岡駅で京急に乗り換える。京急は、急行、快特、普通
などが続々とやってくるので乗り間違えないように掲示板をキョロキョロ。ここで問
題が起こった。
事前調査では11時50分の快特浦賀行に乗ればいいことになっているが、快特は
汐入に止まらない表示になっている。しかも11時50分に上大岡にやってきたのは
三崎口行快特だ。「え~い、ままよ」とそれに乗った。乗って分かったが、後ろ4両が
途中から普通浦賀行になるらしい。金沢八景で後ろの車両に乗り換えようと後ろ
に行ってみたら、後ろ4両の車両がないっ!一つ手前の金沢文庫で切り離された
ようだ。
八景にはすぐに、切り離された浦賀行普通がやってきて一安心。どうも乗りなれな
い線は迷うことばかりだ(笑)。というちょっとしたことがあって、12時14分に無事
汐入駅に到着した。
汐入駅はそう大きな駅ではなかったが、改札口を出ると大きな建物が目に入った。
この一角がよこすか芸術劇場のようだ。「→」に従って歩いていくといくつかのグル
ープが集まっているのが見えてきた。出演団体だ。予定どおり昼休憩の会場に入
って驚いた。ミラノ・スカラ座に似たオペラ・ハウス風の立派な大ホールだった。思
わずホールの写真をパチリ!(下の写真ご参照。演奏中は撮影禁止です。)
私が聴いたのは、午後一般部門の一部、以下の団体である。途中、番号が飛ん
でいる時間は、ドブ板通り(写真)へ食事に行っていた。--半券を見せれば再
入場が可能。
コメント部分は私のつたない感想。【 】内は私の手元ノートによる採点。
一般部門A ( )内はプログラム記載の人数
1.合唱団amore(混声、27) 【76】
指揮;島方麻美 ピアノ;飯田 毅
初めてホールの響きを聴いたが、すばらしかった。それだけに発声のよしあしが
目立つカモ。課題曲はJ.Vaetのポリフォニー(G1)。ラテン語かな?J.Vaetは
16世紀半ば、ジョスカン・デ・プレとパレストリーナの中間の世代のようだ。若い
方が多く、若々しい声だった。2曲目(自由曲)ではAltoがいい声を出した。3曲
目は、一人ひとりが片手に持った紙で鳥がはばたく擬音を出し、おもしろかった。
2.マルベリー・チェンバークワイア(混声、28) 【87】
指揮;桑原妙子
課題曲は前団体と同じ、J.Vaetの「G1」。小柄な桑原先生のキコキコした指揮
に合唱団も応え、音色(母音)の均一性とかポリフォニーの様式が伝わってくる。
自由曲では、お互いに聴き合う、そしてブレスに支えられた、息の長いデュナー
ミクや pp の世界にひきつけられた。県大会よりの進化を感じさせ、コンクール
であることを一瞬だけ忘れてしまった。
3.コール・ヴィステリー(女声、15) 【73】
指揮;齋藤由美子
課題曲「F1」の外国曲はうまくレガートに歌っていたが、もう少し子音を立てても
よかったかしらん。自由曲:瑞慶覧尚子作曲の「約束」よりはこの指揮者の好みか
もしれないが、もっと撥音を歌ってもよかったのでは。3曲目はとくに慎重になりす
ぎたようだ。
4.明野少年少女合唱団(同声、19) 【78】
指揮;伊藤 寛
中学生中心かしらん。あまり硬くならず、よく歌っていた。課題曲「私のいのちは」
はいかにも立原道造を感じさせた。3曲目(自由曲)「赤とんぼ」ではアナリーゼ
というのかしらん、途中のバランスに若干の疑問を持った。
5.ヴォア・ヴェール(混声、30) 【74】
指揮;長谷部雅彦
自由曲では難しい歌にチャレンジしているようだった。やや総合的に発声が弱く、
もう少し声の伸びがほしかった。
6.混声合唱団ルックスエテルナ(混声、17) 【79】
指揮;内田 等
課題曲はVaetの「G1」。様式と表情付けの整合性はこれでいいのかしらん。こ
のあたりは私も勉強しなければ。自由曲の方が(私の)点数は高かったが、テノ
ールの発声がやや気になった。
7.マルベリー・クワイア(女声、17) 【86】
指揮;桑原妙子
課題曲は「F1」。腹式呼吸に支えられた、(4分音符を1拍としたら)16分音符の動
きを含めた透き通るような響きがすばらしい。自由曲のヴォーカリーズはいつ聴い
ても何が飛び出してくるか、分からない。4曲目はあらためて全員一体のヴィルトゥ
オーゾの世界にひたった。
8.Luna Voce(女声、18) 【80】
指揮;粕谷宏美
ここでも「F1」を続けて聴くと比較ができてしまう。自由曲の出だしは何声だろう?
審査員は自由曲の楽譜も見るのかしらん。長い曲は分析が難しい。発声はなか
なかよかった。
15.コルス・フローレス(混声、19) 【76】
指揮;織田修一
ベテラン指揮者でなかなかよかった。パートではBassがよかった反面Sop.が弱
かった。コンクールでは、残念ながら長所を伸ばすこと以上に、少しでも弱点を減
らすことがどうしても求められてしまう。
16.かながわフリーダム・シンガーズ(男声、17) 【81】
指揮;中舘伸一 ピアノ;遠藤有子
課題曲から自由曲まですべて邦人作品。中舘さんは日本語のさばき方が実にう
まい。ご自分でも得意とされているのではないかしらん。ピアノ伴奏もよかった。
17.La Pura Fuente(女声、23) 【79】
指揮;佐藤美紀子 ピアノ;中村麻衣子
中学校、高校のゆう、清泉女学院のOG合唱団を期待を込めて初めて聴いた。う
~ん、やや期待外れカナ。音色の変化も含め、もっとできるのでは。Sop.の発声
が弱かった。人数を増やして、一般Bで出演された方がもっといいのではないかし
らん。
18.Collegium Cantorum YOKOHAMA(混声、14) 【77】
指揮;蟹江春香
少人数だが、なかなかよかった。自由曲「ジェリコの戦い」では、リズム感でもっと
縦をそろえ、ビックリさせてほしかった。3、4曲目は円形のフォーメーションが珍し
かった。
一般部門B
1.合唱団ノア(混声、36) 【75】
指揮;田中安茂
課題曲は「G3 父の唄」だった。日本語の子音、母音ともにいま一つ。言葉がはっ
きりしなかった。外国語であれ日本語であれ、結局は子音と母音だ。自由曲(プー
ランク/ミサ)でも発声に弱さを感じた。
2.湘南はまゆう(女声、38) 【81】
指揮;松村 努、ピアノ;織田祥代
自由曲「おかる勘平」(北原白秋/信長貴富)は、県大会でも感じたが、言葉自体
と言葉さばきが難しい。県大会よりよかったが、中間部をよほど工夫しないと言葉
が伝わらない。ピアノ伴奏がうまかった。
3.Vive la Compagnie(男声、43) 【80】
指揮;小高秀一 ピアノ;野島万里子
平均年齢は40代後半だろうか。どこかのOB合唱団なのかしらん。課題曲はモー
ツァルトのドイツ語「M2」。きっちりした男声合唱だった。やはり男声合唱はすばら
しい。自由曲は「くちびるに歌を」で、出だしのドイツ語の発音、語感がいま一つだっ
たが、「くちびるに歌を~」と日本語に入って感動的、会場がこの曲に盛り上がった。
(とくに家内は感動していた。)ただワグネルっぽいのでコンクールでは評価されな
いカモと、私は感じた。
4.小田原少年少女合唱隊(同声、33) 【87】
指揮;桑原妙子
今回は制服での登場。前団体の「くちびるに歌を」で盛り上がり、やりにくいのでは、
と思ったが、始まってすぐに小田原少年少女合唱隊の世界に入った。会場があき
らかにし~んと静まり返る。聴衆はだれも身動きしない。ステージ上はみな姿勢
(ポスチャー)を崩さないで歌っていく。自由曲も小田原~の独壇場。県大会より
さらに進化している。どう考えても、どう聴いても、「ひいき目」ではなく、いい演奏。
夫婦でせいいっぱいの拍手を送った。青森の全国大会は寒いので風邪をひかな
いようご自愛のほど。
ここまでで午後5時50分。最後(7時15分)まで聴いていたかったが、明日の仕事
に差し支えるかと、横須賀市より帰宅を急いだ。(「これっきり、これっきりですか~」。)
《審査結果》
審査員;雨森文也、金川明裕、清水敬一、松原千振、渡辺三郎
インターネットによる発表(神奈川県合唱連盟→コンクール)は翌日の午後だった。
採点方法は新増沢方式(過半数、多数決)のようだ。審査員の順位付けによる多
数決である。コンクールはそんなもの(多数決)だとの割り切りが必要だ。
それにしても朝の10時から講評・表彰を含め夜の9時近くまで、審査員は大変な
苦行だろう。お疲れさま!でした。
<一般A>
金賞(4団体)
1.マルベリー・チェンバークワイア →全国大会代表
2.マルベリー・クワイア →全国大会代表
3.VOCE ARMONICA (未聴) →全国大会代表
4.S.C.Gioia (未聴) →全国大会代表
銀賞(10団体)
5.レディースクワイヤJune (未聴)
6.かながわフリーダム・シンガーズ
7.Collegium Cantorum YOKOHAMA
以下省略
<一般B>
金賞(4団体)
1.小田原少年少女合唱隊 →全国大会代表
2.湘南はまゆう
3.La Mer (未聴)
4.浜松合唱団 (未聴)
銀賞(2団体)
5.Vive la Compagnie
6.Wings (未聴)
以下省略
京浜急行 汐入駅
よこすか芸術劇場のある建物
4階会場入口
大ホール内部
ヨーロッパのオペラ・ハウスのような作り 立派ですね~
以下、ドブ板通りを散策
DOBUITA STREET
横須賀海軍カレーのお店
その内部
海軍カレー サラダ、牛乳(常温)付き
一人でこんなに食べるわけではありません
横須賀米軍基地入口 スパイと間違われないかな~
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合唱曲にかぎらず、聴ききれないほどの曲がありますね~。
生にせよCDにせよ一生に経験できるものは少ないのかもしれませんね~。
・合唱連盟の主催するコンクールでは、自由曲の楽譜を、その団体が審査員の人数ぶんにあたる部数を提出するルールになっています。だから桑原先生のおっしゃるように譜面を見ながら審査ができるわけです。
・課題曲G1は、御推察のとおりラテン語です。
・Vive la Compagnieは埼玉県内で活動する複数の男声合唱団が集まってできた団だそうで、OB団体ではありません。学生時代に合唱をやっていたメンバーもいらっしゃるようですが。
・Vive la Compagnieの自由曲「くちびるに歌を」は、昨年の全国大会で2団体が取り上げた曲です。特にお江戸コラリアーずの演奏が話題になりました。
失礼しました--「キコキコした」=「(拍の)キッチリした」という意味でございます。
審査員には自由曲の楽譜も配られるのですね~。初めて知りました!
宗教曲・ポリフォニーは(私には)なじみがないせいか、難しいですね~。どの出演団体もあたりまえのように歌っておられるので、さすが関東大会と思いました。全国大会も聴きたいところですが。
團伊玖磨先生の写真は残念ながら気づきませんでした。次回はぜひ、と思っています。
ブルガリアン・ヴォイスを知りませんでしたが、ブログでも盛り上がっていますね。独特な響き、ハモリでしょうか?残念ながら横浜公演の一回きりだったんですね~。
有難うございました。
私の指揮がキコキコとしていたとのこと。
今後は是非、流れのある指揮をしたいと
願っています。
全日本、NHKともにコンクール審査員の
手元には課題曲、自由曲の楽譜があります。
絶大なる熱意で芸術劇場を建設なさった
團伊玖麿先生の写真と解説がロビーに展示
してありますので次回お出かけの時に
ご覧ください。
本日は県立音楽堂でブルガリアンヴォイスの
コンサートを合唱隊の数名と聴きました。
小田原の自由曲3曲目の「ジョレが座っている」をアンコールで演奏してくれたので
「本物」を聴くことができました。
一言御礼を、が、長くなりまして失礼
致しました。