元とび職のＭさん

九州出身のＭさんは、７０才までとびの仕事をしていたそうです。
とてもおしゃれで歌が上手、ダンスは上手いし、話は面白いし、で老人会でもモテモテでした。
でも若い頃遊びが過ぎたのか、奥さんからは離婚され、娘さん２人とも音信不通でずっと一人暮らしです。
年金と区からの補助を少しで暮らしています。

２ヶ月に１回家賃を持ってきますが、話が面白いので来るのがちょっと楽しみでした。
結構律儀にきちんと家賃を持ってきていたんですが、半年程前に年金の手続きをし忘れ、年金が入るのが２ヶ月遅れてピンチになりました。
家賃も仕方なく待ったりしていたのですが、なんだか以前のＭさんと違うのです。
おしゃれはしないし、ぼんやりして食欲もないようでした。

１ヶ月ほど前に自転車に乗ったまま行方不明になったと思ったら、足立区の病院で入院していると区役所の方が教えてくれました。
個人情報だからと、病名も病院名も教えてくれません。

そうして昨日、４・５日前に亡くなったということを教えてくれました。
肝臓が悪かったそうです。
誰にも看取られず、本当にひとりで亡くなったのかと思うとなんだか気の毒です。
娘さんには連絡してくれたのかしら。
この仕事をしていなければ知り合うこともなかったであろうＭさんですが、
ご冥福を祈りたいと思います。




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