>現代ビジネス >高齢者も若者も会社員も経営者も…この国で「みんな苦しい」厳しい現実の正体 >岩尾俊兵 (慶応義塾大学商学部准教授) の意見・ >22時間・
>経営者、従業員、高齢者、若者……「みんな苦しい」のは一体なぜなのか?
>私たちを支配する「苦しさ」にはごくシンプルな原因があり、ちゃんと対処する方法がある。
>経営学の道具を使えば、人生が大きく変えられる。
>どういうことだろうか。
>15万部ベストセラー『世界は経営でできている』で大きな話題を集めた気鋭の経営学者・経営者の岩尾俊兵氏による渾身の最新作『経営教育』(角川新書)では、「みんな苦しい」の謎をあざやかに解き明かす。
>(※本記事は岩尾俊兵『経営教育』から抜粋・編集したものです)
>経営者も従業員も、高齢者も若者も、男性も女性もなぜ私たちは「みんな苦しい」のでしょうか。
>本書『経営教育』はこの疑問を一番大事な出発点としています。
>とはいえご安心ください。
>「みんな苦しいんだから互いに責めるのはやめよう」といった安易な傷のなめ合いでは終わらせません。
>耳当たりのいい綺麗ごとも、現実論を装った暴力的で過激な分断煽りも、社会に何らの責任も持たない冷笑もたくさんです。
>私たちは今、みんなが苦しくて、ここから抜け出す権利と義務がある。
>それが筆者の考えです。
>本当は「みんな苦しい」には根本原因があり、原因が分かれば対策も打てます。
>しかも、その対策としての「経営教育」は、本書を読んでくださっているあなたにも打てる、いや、あなたにしか打てないのです。
>ここで、疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
>経営教育という耳慣れない言葉はいったい何を指しているのか。
>なぜ「経営」と「教育」という相容れない二つが、この時代の苦しさとそこからの脱却を考えるヒントになるのか。
>その疑問は本書を読み進めていただけば、やがて解消されるはずです。
>こうした疑問に答えるために、本書は「上空から世界をみる議論」と、今日この場所から一人ひとりができる実践を考える「目線の高さの議論」の両方を往復していきます。
>もう一度、本書の出発点に戻りましょう。
>なぜ私たちはみんな苦しいのか?
>「あいつらが悪い」論を見つめ直す
>立ち止まってよく考えてみれば、この疑問にはおかしなところがあります。
>もしも「みんな苦しい」ではなくて、特定の属性の人たちが絶対的に楽な生活をしていて、そのせいで別の誰かが苦しんでいるというのなら話は単純でしょう。
>その場合は、私たちが生きる時代の苦しさの原因を、特定の属性の人のせいにしてしまえば話はおしまいだからです。
>「あいつらのせいで、自分は苦しんでいる」という具合に。
>実際に、社会の分断を煽る言説は日本中に蔓延しています。
>高齢者が悪い、若者が悪い、経営者が悪い、従業員が悪い、男性が悪い、女性が悪い、政治家が悪い、有権者が悪い……などなど。
>こうした単純な想定の議論は表面的には分かりやすく、一見すると解決策も明確なので人気を博します。
>誰かが悪いのならば、私たちから特定の属性の人たちを分断し、攻撃し、排除すればよいからです。
>時代劇のように、悪代官を成敗すればハッピーエンド。
>その論理がもし正しいならば、革命こそが単純明快な解ということになるでしょう。
>とある属性の人をギロチンにかけてしまえば万事解決というわけです。
>でも、繰り返しますが、現実には「みんな苦しい」。
>自分は苦しい、自分以外はきっと楽をしているはずだ、というのは現実を無視した議論でしかありません。
>高齢者も苦しい、若者も苦しい、男性も、女性も、誰だって苦しい。
>これが現実なのです。
>経営者や政治家を「上級国民」と決めつける言説もありますが、もし彼ら全員が本当に楽をしているならば、なぜそうした「上級国民」がときには自ら命を絶つほど悩んでいるのでしょうか。
>日々の苦しさによって私たちは思考停止に陥っているだけで、冷静に考えてみれば何かがおかしいのです。
>表面的にはいい生活をしているように見えている経営者も、毎晩のように資金ショートの悪夢にうなされたりしています。
>政治家もまた「サルは木から落ちてもサルだが、政治家は選挙に落ちたらヒト以下の扱いをされる」などと落選の恐怖におびえていたりします。
>専門職として一生食うには困らないと思われている官僚や医師や法曹や大学教授だって同じです。
>業務の重圧と限られたポストをめぐる熾烈な争いを前にして、日々胃が痛くなるような生活をしています。
>もちろん、従業員の立場にある人の多くが理不尽な上司に振り回されて、それにもかかわらず給料も上がらず、仕事にやりがいも感じられず、虐げられて(搾取されて)いるように感じているのは誰もが認めることでしょう。
>さらには、男性が逃げ場もない中で大変な思いをして働いているのも事実ですし、女性が周囲の無理解に悩んでいるのも事実です。
>若者が将来を悲観しているのも事実ですし、現役世代が多くの実質的な税金の負担を強いられて「働いても働いても楽にならない」と思っているのも、日本経済の絶頂期を支えた高齢者がギスギスした現代日本でときには親族からさえ「早く退場してくれ」などという精神的暴力を受けているのも事実なのです。
>そろそろ読者の中には、「そんなに断定するならデータを出してくれ」という人も出てくるころかもしれません。
>もちろん、本文では必要に応じて各種のデータも提示していきます。
>でも、もっと大事なことがあります。
>それは、「ここまでの議論は、自分以外の人に少しでも興味を持ちさえすれば、誰にだって分かること」だということです。
>試しに自分の属性と異なる人たちに今すぐ電話でもメールでもチャットでもしてみてください。
>「あなたは○○だから楽に生きているよね?」と聞いてみたらどうでしょう。
>○○には特定の性別、年齢、職業などが入ります。
>どんな反応がくるか誰だって想像できるのではないでしょうか。
>大多数の人は、こうした実験自体に躊躇すると思います。
>つづく「なぜ私たちはすぐ「誰かのせい」にしてしまうのか…日本で深刻な問題が解決しない「シンプルな理由」」では、あちこちで見られる人のせいにする本当の構造について掘り下げる。
日本人には意思がない。だから、加害者意識がなくて、被害者意識だけがある。それで ‘誰かのせい’ にしてしまう。日本人の社会は実に恨めしい社会です。
'為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり' 上杉鷹山 (うえすぎ ようざん)