物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

『数学に強くなる法』を読む1

2011-12-12 13:14:53 | 数学

『数学に強くなる法』(ダイヤモンド社)は1966年に発行された本であり、その前年にだったか同じ出版社から『私の数学勉強法』が出されていた。

こちらの方はすでにもっていたのだが、『強くなる法』の方はもっていなかった。それで、その古本をインターネットで購入した。

この本には数学者のみならず、工学者や物理学者の数学勉強法も何人か載っている。その中の一人に桶谷繁雄さんの数学勉強法があった。

彼は1935年にフランスに留学して、そこで電子回折を学び、金属結晶学の日本のパイオニアーの一人となった(彼はブザンソン大学に留学していたので、Garcon de Besanconと言われていたと昔雑誌「文芸春秋」かなにかで読んだ。カタカナで発音を真似るとギャルソン・ド・ブザンソン)。

彼は金属結晶学で使う数学はフーリエ級数とベクトルくらいでそれを繰り返し、使って仕事をしてきた。それは必ずしも、数学的に高度なことではないという。ところが門外漢の私などはなかなか結晶回折学は難しいと感じる。

それで、彼の書いた金属結晶学の本がもしあるならば、読んでみたいという気が起きた。金属結晶学の分野では彼はこの分野の権威の一人であるらしいとは聞いていたが、彼がマスコミに現れるようになった頃には考えが右翼的であったので、桶谷氏には共感ができなかった。

それはともかく、私には面白いことが書かれていた。彼は東京大学の工学部の出身であるが、そこで『自然科学者のための数学概論』(岩波書店)を書かれた寺沢寛一先生に数学を学んだが、『自然科学者のための数学概論』の内容は工学者のための数学としてはあまり適していない述べている。

後でカルマン-ビオの『工学における数学的方法』を学んで、これはよく分かったと書いている。そして、工学と数学とが両方ともよくわかっている人が工学系の数学の書は書かなければいけないと述べている。

それはそうなのだが、カルマン-ビオの書の評判は前から聞いているが、チラッとみてそれほど感心した記憶がない。それは私がまだきちんとこの書を読んでいないこともあるが、やはり感覚の違いもあるに違いない。

明日はこの本の数学者の吉田洋一さんのエッセイについて書いてみたい。


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