Chronicle (Fully Finished Studio Outtakes) / The Rolling Stones (2021)
2021年にネット上でリークされ、世界中のストーンズ(The Rolling Stones)ファンがあっと驚いた音源「Fully Finished Studio Outtakes」。自分はすぐにネット音源で手に入れたが、昔からブートレグ(海賊盤)に慣れている自分もその物量とクオリティーに心底驚いた。何しろタイトル通り、断片や合成とか、既発のちょっとだけ音質アップとか、ストーンズでありがちなダラダラとしたセッション音源でなく、ほぼ完全に曲として出来上がった状態で50曲というヴォリュームだったから興奮が止まらない。あまりの高音質音源の大量流出にブートレグでは珍しく、一般の音楽ニュースにもなったと記憶している。フィジカルでは一番最初に下のジャケ作品が発表されたと思うが、明らかにクレジットに間違いや怪しい情報が多く(流出元をはぐらかすためわざとという説も)、時系列でもなくて聴き辛そうだったのでCDの購入は見送っていた。
CDを手に入れたのはそれから少し経って、新たにリークされた音源や未収録曲を含む69曲CD4枚組というヴォリュームで、曲順を時系列に並べ替え、音質も向上と謳ってMASTERPIECEレーベルから発売された「Chronicle (Fully Finished Studio Outtakes)」というタイトル。
古くは60年代後半の「Their Satanic Majesties Request」期と思われる曲から、2002年のシングル「Don't Stop」期の曲までを時系列に収録。それに加えて4枚目には更に上記のオリジナル盤には未収録の2002年のセッションからと思われる曲群と、新たにリークされたアウトテイクと別ヴァージョンが7曲加えてある。だいたいこういう完成されたような音源が流出するのは正規盤で発売予定がある前であることが多い。ただ流出からもう2年経つがそれらしい発売情報は流れてこないので流出元がどこなのか不思議。ストーンズでは何故か昔から大抵ロニー(Ron Wood)が疑われるんだが(笑)。
先のオリジナル盤(と同じと思われるネット流出音源)と比べて音質の向上は…うーん、若干聴き易いかな程度か。ま、元の音が悪くないからね。クレジットはどこまで正しいか分からないが、さすがに更新されていていい感じ。でも文字が小さ過ぎて老眼の自分にはちょっと…(苦笑)。聴いていると昔聴いたブートではヴォーカルが入っていなかった曲にもちゃんとヴォーカルが入っているのが驚き。それもまだ”歌詞考え中”なんていう状態じゃなくちゃんと入れている。ストーンズの流出した未発表曲とかデラックス・エディションに加えられたボーナス・トラックは、未発表もむべなるかなという今ひとつの出来のものが多いが、ここではどうして正式に発表されなかったんだろうと不思議になるクオリティーの曲も散見される。もうさすがにこれ以上の物量は出てこないと思うが、願わくばこれらの曲の発表の計画が進行していて、オフィシャルで発売されますように。
ネット・オークションにて購入(¥2,200)