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【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業6章 苦悩 8 あきらめるべきか、強行すべきか、それが問題だ

2024-12-13 07:15:36 | 【小説風】竹根好助のコンサルタント起業

  【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業6章 苦悩 8 あきらめるべきか、強行すべきか、それが問題だ 

 
■ 【小説】 竹根好助の経営コンサルタント起業 
 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。
 これからコンサルタントを目指す人の参考になればと、私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。
【これまであらすじ】
 竹根好助は、私の会社の後継者で、ベテランの経営コンサルタントでもあります。
 その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。

 1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
 角菊貿易事業部長の推薦する佐藤ではなく、初代駐在所長に竹根が選ばれました。それを面白く思わない人もいる中で、竹根はニューヨークに赴任します。慣れない市場、おぼつかないビジネス経験の竹根は、日常業務に加え、商社マンの業務の一つであるアテンドというなれない業務もあります。苦闘の連続の竹根には、次々と難問が押し寄せてくるのです。
 日常業務をこなしながら、アテンドという商社マンにつきものの業務を自分なりに見つめ直す竹根です。慣れないニューヨークを中心としたアメリカでのビジネスですが、時として折れそうになってしまいます。そのようなときに、若い竹根の支えとなってくれるのが、本社で竹根をフォローしてくれるかほりで、実務支援だけではなく、存在の有り難さに感謝を竹根です。

◆6章 苦悩
 商社マンは、商品を輸出すれば良い、というのが、それまでの商社の生き方でした。はたしてそれで良いのか、疑問に纏われながらの竹根好助でした。その竹根が、何とか現状で仕事をしながら活路を見いだそうと考えていました。
 しかし、問題は、そんなに簡単なものではなく、苦悩する竹根です。
  ※ 直前号をお読みくださるとストーリーが続きます。
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◆6-8 あきらめるべきか、強行すべきか、それが問題だ
 かほりの父親からの電話で、かほりをあきらめるべきなのか、それとも、自分の選んだ人との人生を考えるべきか・・・
 右に振れたり、左に振れたりと振り子のように揺れているうちに、次第に振幅は小さくなり、かほりをあきらめるところで止まりそうで止まらない。「熟慮断行の時が来た」という声が遠くに聞こえたような気がする。
 窓に指す陽に目が覚めた。振り子はあきらめのポジションで揺れるのをやめたのである。かほりのことで吹っ切れた竹根は、歩く足が軽く感じられた。本社からの手紙を見るとこれまではすぐにかほりとのひとときを思いだすが、その日はいつもほどではない自分をみた。一度決断すると切り替えが速いのが竹根の長所の一つでもある。
――俺は、こうして成長して行くんだ――
 忙しい一週間がまた始まった。その週は、近場での仕事が中心となるスケジュールである。市内の顧客を訪問したり、隣接する地域や隣のニュージャージーへも足を伸ばした。セントラルパークの西側にあるコロンビア大学の北にあるジョージワシントン橋を渡ったニュージャージー側は緑も多く、そこからのマンハッタンの景色は、摩天楼が林立する南側とはまた違った落ち着きのある雰囲気で、それが竹根は好きである。
 車で来た人がマンハッタンをゆっくりと見られるように、小さな展望スペースが設けられている。小さな公園風に仕立ててある。日本では、このようなところには税金を投じることがないのだろう。社会資本の違いもカルチャーショックの一つである。暮れなずむ夕日に、そこから見るジョージワシントン橋が光っている。橋の上で、帰宅する車のヘッドライトが、マンハッタンに向かうバックライトの赤よりも多い時間帯になった。
 アパートにたどり着いた時は、夜のとばりが降り始まめていた。竹根が住むアパートは、空から見た全体がU字型をしていて、通りに面した側に門がある。中庭には、季節の花が植えられ、中央には、煉瓦造りの守衛小屋がある。ライトアップをされている様は、メルヘンを感じさせる。中から管理人をしている黒人のジョーが白い掌を上げた。オールド・ブラック・ジョーというあだ名を竹根はつけている。
  <続く>

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