■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編2-25 プロ管理職のリーダーシップ PM理論を実務に活かす
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは
https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部2章 プロ管理職のリーダーシップ
私達は、ひとりでは生きていくことはできません。社会や組織に所属して、他の人と共に力をあわせることが、近道といえます。そこに求められるのが、「リーダーシップ」です。
管理職だけではなく、ビジネスパーソンにはリーダーシップを取れることが、成功への近道であり、自己実現には不可欠といっても過言ではありません。では、ビジネス界におけるリーダーシップとはどのようなものなのでしょうか。原点に戻って、再度考え、新たな気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■ 2-25 代表的なリーダーシップ論のひとつ PM理論を実務に活かす
PM理論を上手に活かすには、PM理論を知らなければなりません。
PM理論は、PとMをXY軸に見立てて4つの象限で見ます。PとMの二要素の強い方を大文字にして、この4つのセルを「PM型」「Pm型」「pM型」「pm型」に分類しています。
PもMも、高いことが望ましいことは想像がつきます。それぞれの特質を見てみましょう。
PM型
PM型リーダーは、理想的なリーダー像といえます。目標達成意識が高く、その上、組織的活動もできますので、「1+1」が「2」ではなく「2以上」にもなるのです。中には、「百人力」の人もいるかもしれません。
是々非々を基調にし、厳しさと優しさを兼ね備えた人が多いです。組織力を活かすためにメンバーの特質を掴み、それを活かすことが上手です。各メンバーに、自分の任務意識を持たせ、その目標や計画が必達できり、全体に相乗効果を出すように仕向けられます。
各人の個性を活かしてはいますが、バラバラではなく、巧みな組織運営術で全員を同じベクトルにあわせるようにぐいぐいと当速力を持って牽引してゆきます。それが、その組織の目標を達成するだけではなく、次の一歩のための活動も包含していますので、成長が持続します。
Pm型
Pm型は、別名「ワンマンプレー型」とか「一匹狼型」といわれます。目標達成意識はあるのですが、組織的な活動が苦手な人達で、組織力を活かすのではなく、個人プレーで最大の効果を上げようというタイプです。
P機能が強いですと、短期的に成果を上げられることもありますが、組織的な活動ができませんので長期的に、それが持続することは難しいでしょう。
Pm型の人が、リーダーになりますと、組織のメンバーはやりたい放題のことをやってしまう欠点があります。メンバーに、自分のノウハウを伝授するような行動を取れると良いのですが、メンバーが目に入らないと言いますか、育成という意識も希薄です。彼等の相談相手というより、「俺のやり方を盗め」という指導法です。そのために、メンバーは個性を伸ばす機会になかなか巡り会えません。
何か、新しいプロジェクトを推進しようというときに、「部下に仕事をやらせるのは、まどろっこしい。教える時間がもったいないので、自分でやってしまった方が早い」と、自分で動いてしまいます。
このタイプには、実力を持っている人が多いですので、個人としての結果は出せますが、せいぜい一人分の数十%程度の結果に留まります。ですから、組織全体としては、必ずしもコンスタントな結果が得られる状態ではありません。
組織崩壊の懸念が高いです。このタイプのリーダーは、「温かい管理」を身に付けることにより変身できます。
メンバーに対する意識を持ち、メンバーに応じたアドバイスをしたり、メンバー間のコミュニケーションを円滑化させ、調整をはかったりするなどしますと、PM型に近づき、よい方向に向かう可能性があります。
pM型
pM型は、俗に「八方美人型」と言いまして、その名の通り、仲間との融和性が高いのが特徴です。仲間意識が高い一方で、目標意識が低いという難点があります。
積極的に行動できる構成メンバーである場合には、自分自身で目標を設定したり、自発的に業務に取り組んだりと言うことができます。中には、「うちの上司は、管理職としては今ひとつなので、部下の俺たちが頑張らないとうちの課はもたない」と言って、上司のたりない部分を補うなどの行動を起こす場合もあります。
一方で、構成メンバーが必ずしも、その様な人達だけではありませんので、部下に対して目標目標意識を持たせることができず、PDCAが上手に回ってゆかないことが多いです。
リーダー自身が目標意識が高くありませんので、進捗管理などをすることをせず、厳しさに欠ける、”ぬるま湯”組織であることが多いです。
pm型
pm型は、場当たり型といわれますが、あまり積極的な活動をしないタイプです。組織的活動が苦手であり、目標意識も低いですので、部下に対して指示を出すわけでもなく、自分自身で何かをするわけでもありません。
リーダーとしては、問題があり、その上司いかんにもよります。管理職研修をやり直させたり、日常活動の中でOJTによる教育を図ったりして、鍛え上げる必要があります。
多くの場合には、その様な努力をしても、pm型の人は、pMやPm型に返信することが困難です。組織崩壊や部下のやる気喪失状態にならないうちにリーダー職を外すことも必要でしょう。
それぞれの特質を理解して、組織を構成し、運営していくことにより、PM理論を実務に活かすことができます。
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