久し振りに境川のヤマメ釣りに行ってみた。
川の水量が少しは増えているかもしれないと期待して出掛けたが、高来小学校を過ぎて少し上流の右手側にある堰(せき)を越流している川の水はほとんど無かった。
境川でヤマメ釣りをする時には、その堰での越流状況で、それより上流部での水量を予測することにしている。
本日は、ヤマメ釣りにとっての水量としては最悪の状況であろう事が予測できた。
轟の瀧に近付くと、道路面が濡れていた。
局部的ににわか雨が降ったものと思われ、少しだけ期待して大駐車場の手前にある「渓流橋」の手前の駐車場に車を止めてから、遊歩道に沿って下流へ向って歩く。
キャンプ場下の吊橋のすこし下流側から釣り始める。
案の定、流下水量は少なく、釣れるのはアブラハヤやリリースサイズの放流したヤマメの稚魚ばかり。
ただし、水量が少ない事が幸いして、キャンプ場より上流にある大きな滝の滝壺では、滝の流下部に近いところまで竿が出せる状況になっていた。
実はこの滝では、水難事故が発生していたので、ここ数年ほどは、その滝壺では竿を出さずに「南無阿弥陀仏」と心の中で唱えながら、通り過ぎることにしていた。
本日は、滝壺の水量が少なかったこともあり、水難事故があった事を示す表示板も、杭だけが残っていて吹き飛ばされていたようだったので、その滝壺で釣る事を自分の心の中で解禁することにした。
一投目、明確なあたりがあり合わせると、体長18cmぐらいの綺麗な体色のヤマメが釣れてくれた。
放流稚魚の成長した物か、天然孵化から成長した個体であろうと推測できた。
少し場所を移動して、中央部に近い流れの付近に仕掛けを流すと、またしても明確なあたり。
今度はあわせのタイミングがまずかったようで、魚体の重さは感じたが、釣り上げる事はできなかった。
餌のシマミミズを付け替えて、再度同じ付近に仕掛けを投入したら、またしても明確なあたりがあった。
合わせたら今度は針掛かりして、ゴトゴトと魚の抵抗する力が竿先から手に心地良く伝わる。
水中から、礫のあるところに抜き上げた途端に魚体は仕掛けから外れて地面に落ちた。
水際まで60cmぐらいの所に落ちてから、体をバタつかせて必死で逃げようとしている。
こちらもせっかく釣り上げたヤマメを逃したくは無く、竿をほったらかしてしゃがみこみヤマメを捕まえようとする。
ヤマメも必死で、一度この手に掴んだものの、ぬめりのある体をバタつかせて、左手の手の平からするりと滑り落ちた。
そこは水際から30cmぐらいの所。
逃げられてはなるものかとあわてて右足で蹴り上げて、水際から50cmの所まで戻し、体をしゃがめて今度は右手でしっかりと捕まえた。
それでもヤマメは必死で最後の抵抗を試みる。
急いで肩に掛けている氷を入れている小さなクーラーボックスのフタを開けてヤマメをその中へと押し込んだ。
クーラーボックスに押し込められたヤマメは、しばらくの間クーラーボックスの中でゴトゴトと暴れているが、そのうちに音がしなくなる。
かくして、私に釣られたヤマメの生涯は幕を閉じることになる。
生き物の命をいただく趣味なので、釣った魚は必ず食して、成仏して頂くことにしている。
その後も滝つぼの左岸側まで、水面から露出している石を伝って移動し、滝つぼの左岸側付近を探ると強いあたりあり。
しっかりと針掛かりしているようで、強い抵抗感がある。
慎重に、魚を遊ばせながら岸近くまで引き寄せ、一気に抜き上げた。
一目見てすぐに分かった。
5月に放流した放流成魚だという事が。
尾びれの下側がすれており、魚体の輝きが自然の川の中で育ったヤマメの体色と微妙に違い、うろこが荒れている。
体長23cm程度あったが、0.4号のハリスで充分に釣り上げる事はできる。
その他にも少し位置を変えたところでもう1匹放流成魚が釣れてくれた。
本日は、合わせて4匹のヤマメが釣れてくれた。
久し振りに、山の木々と水の流れの音の中に身を置かせてもらい、心地良い時間を過ごさせてもらった、梅雨の合間のヤマメ釣りだった。
豊田一喜
川の水量が少しは増えているかもしれないと期待して出掛けたが、高来小学校を過ぎて少し上流の右手側にある堰(せき)を越流している川の水はほとんど無かった。
境川でヤマメ釣りをする時には、その堰での越流状況で、それより上流部での水量を予測することにしている。
本日は、ヤマメ釣りにとっての水量としては最悪の状況であろう事が予測できた。
轟の瀧に近付くと、道路面が濡れていた。
局部的ににわか雨が降ったものと思われ、少しだけ期待して大駐車場の手前にある「渓流橋」の手前の駐車場に車を止めてから、遊歩道に沿って下流へ向って歩く。
キャンプ場下の吊橋のすこし下流側から釣り始める。
案の定、流下水量は少なく、釣れるのはアブラハヤやリリースサイズの放流したヤマメの稚魚ばかり。
ただし、水量が少ない事が幸いして、キャンプ場より上流にある大きな滝の滝壺では、滝の流下部に近いところまで竿が出せる状況になっていた。
実はこの滝では、水難事故が発生していたので、ここ数年ほどは、その滝壺では竿を出さずに「南無阿弥陀仏」と心の中で唱えながら、通り過ぎることにしていた。
本日は、滝壺の水量が少なかったこともあり、水難事故があった事を示す表示板も、杭だけが残っていて吹き飛ばされていたようだったので、その滝壺で釣る事を自分の心の中で解禁することにした。
一投目、明確なあたりがあり合わせると、体長18cmぐらいの綺麗な体色のヤマメが釣れてくれた。
放流稚魚の成長した物か、天然孵化から成長した個体であろうと推測できた。
少し場所を移動して、中央部に近い流れの付近に仕掛けを流すと、またしても明確なあたり。
今度はあわせのタイミングがまずかったようで、魚体の重さは感じたが、釣り上げる事はできなかった。
餌のシマミミズを付け替えて、再度同じ付近に仕掛けを投入したら、またしても明確なあたりがあった。
合わせたら今度は針掛かりして、ゴトゴトと魚の抵抗する力が竿先から手に心地良く伝わる。
水中から、礫のあるところに抜き上げた途端に魚体は仕掛けから外れて地面に落ちた。
水際まで60cmぐらいの所に落ちてから、体をバタつかせて必死で逃げようとしている。
こちらもせっかく釣り上げたヤマメを逃したくは無く、竿をほったらかしてしゃがみこみヤマメを捕まえようとする。
ヤマメも必死で、一度この手に掴んだものの、ぬめりのある体をバタつかせて、左手の手の平からするりと滑り落ちた。
そこは水際から30cmぐらいの所。
逃げられてはなるものかとあわてて右足で蹴り上げて、水際から50cmの所まで戻し、体をしゃがめて今度は右手でしっかりと捕まえた。
それでもヤマメは必死で最後の抵抗を試みる。
急いで肩に掛けている氷を入れている小さなクーラーボックスのフタを開けてヤマメをその中へと押し込んだ。
クーラーボックスに押し込められたヤマメは、しばらくの間クーラーボックスの中でゴトゴトと暴れているが、そのうちに音がしなくなる。
かくして、私に釣られたヤマメの生涯は幕を閉じることになる。
生き物の命をいただく趣味なので、釣った魚は必ず食して、成仏して頂くことにしている。
その後も滝つぼの左岸側まで、水面から露出している石を伝って移動し、滝つぼの左岸側付近を探ると強いあたりあり。
しっかりと針掛かりしているようで、強い抵抗感がある。
慎重に、魚を遊ばせながら岸近くまで引き寄せ、一気に抜き上げた。
一目見てすぐに分かった。
5月に放流した放流成魚だという事が。
尾びれの下側がすれており、魚体の輝きが自然の川の中で育ったヤマメの体色と微妙に違い、うろこが荒れている。
体長23cm程度あったが、0.4号のハリスで充分に釣り上げる事はできる。
その他にも少し位置を変えたところでもう1匹放流成魚が釣れてくれた。
本日は、合わせて4匹のヤマメが釣れてくれた。
久し振りに、山の木々と水の流れの音の中に身を置かせてもらい、心地良い時間を過ごさせてもらった、梅雨の合間のヤマメ釣りだった。
豊田一喜