カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

「また司祭とともに」から「またあなたとともに」へ

2021-11-21 16:50:54 | 教会


 今日のミサは「王たるキリスト」の祝日のミサだ。イグナチオ教会では堅信式が行われていたし、関口教会では「世界青年の日」が祝われ、また東京教区の「ミャンマーデー」のミサでもあった(1)。今年もいよいよ終わりである。来週から待降節が始まる。
 来年(正確には2022年11月27日待降節第一主日)から新しいミサの式次第が始まるという。つまり、ミサでの式文(お祈りの「ことば」)がかなり変わるようだ。私どもの教会ではまだ司祭からのお知らせや説明はないので、変更(修正)の経緯や規模はまだわからない(2)。

 カトリック中央協議会のホームページを参考に、典礼委員会発行の書籍『新しい「ミサの式次第と第一~第四奉献文」の変更箇所――2022年11月27日(待降節第1主日)からの実施に向けて』を購入し、読んで少し学んでみた(3)。

写真 ミサ式次第

 

 

 

 経緯としては、典礼秘跡省の認証が2021年5月23日、司教協議会での報告と説明が7月におこなわれ、来年2月に使用を正式に定める「教令」が公布され、2022年11月27日(待降節第一主日)から実施されるという。この大きな変更があと1年後ということになる。

 この新しい「ミサの式次第」をみて驚いた点がいくつかある。最も驚いたのは、司祭が「主はみなさんとともに」と唱えた後の会衆の応答が、「また司祭とともに」から「またあなたとともに」に変わる点だ。「また司祭とともにはおかしい」とはずっと言われていたことなのでこの変更は本当に良いと思う。英語ミサで言えば、 And also with you なのだ。

 そのほかにも変更箇所は多いが、特に印象深かったのは「拝領前の信仰告白」の部分だ。会衆の応答は「主よ、あなたは神の子キリスト、永遠のいのちの糧、あなたをおいてだれのところに行きましょう」で、我々はいつもこのように唱えている。「あなたをおいてだれのところに行きましょう」はよく意味が通じない文言だ。ちなみに英語ミサでは、
Lord, I am not worthy to receive you, but only say the word and I shall be healed.
と唱える。これはこれで議論があるらしいが、「あなたをおいてだれのところに行きましょう」に対応する部分はどれなのだろうと思う。
この部分は次のように変わるようだ。

「主よ、わたしはあなたをお迎えするにふさわしい者ではありません。おことばをいただくだけで救われます」。発声しやすい良い文言だと思う(4)。ラテン語原文にも近いのかもしれない。

 このほか、「兄弟のみなさん」が「兄弟姉妹のみなさん」に、「主よ、あわれみたまえ」が「主よ、いつくしみをわたしたちに」とか、「司祭の手を通しておささげするいけにえ」が「あなたの手を通しておささげするいけにえ」に変わるようだ。「主の祈りの副文」で「国と力と栄光は、限りなくあなたのもの」は「国と力と栄光は、永遠にあなたのもの」に変わるようだが、さすが主の祈りや使徒信条は変わらないようだ(5)。

 このコロナ禍の中で、各教区・小教区での説明や練習がどのように行われていくのか見当もつかないが、日本カトリック典礼委員会が示している「実施までの手順」は次のようになっている(6)。

写真 式次第手順

 



1 私の所属教会は分散ミサがまだ続いていて月に1回順番が回ってくるか来ないか位なので、私はテレビのYoutube でミサに出ている。
2 簡単言えば、日本の司教団はローマに『ミサ典礼書』の大幅な修正を望んでいたが、何年たってもなかなか全文の修正の許可が下りなかったようだ。時間ばかりたつので、とりあえずこの5月に教皇庁典礼秘跡省から認証された部分だけを実施することにしたらしい。
 現行の『ローマ・ミサ典礼書』日本語版は『ローマ・ミサ典礼書』ラテン語規範版の日本語訳で、1978年に「暫定認可」されている。正式認可がないまま40年以上使われているわけだ。あまりに時間がかかるのでさらなる改訂作業が21世紀に入ってから(20年ほど前から)始まったようだ。2014年に「ミサ総則」改訂版がローマから認証を受けたが、その後に続く「ミサの式次第」は認証がでない。「ミサ総則」改訂版の一部の変更箇所は2015年以降実施されたようだが、今回やっと「ミサの式次第」の認証された部分だけが実施されるようだ。
3 文書はホームページからpdfでダウンロードできる。書籍はアマゾンでも買える。
4 この部分は、現行の『ミサ典礼書』の文言「主よ、あなたは神の子キリスト、永遠のいのちの糧、あなたをおいてだれのところに行きましょう」を継続して使用しても良いことになっているらしい。議論がまとまらなかったのであろう。
5 よく使われるという意味では「めでたし」も変わるのだろうか。「使徒マリアへの祈り」になったり、「アヴェ・マリアの祈り」になったり、覚えきれないうちに変わるのも困る。典礼文が背面ミサから対面ミサに変わったとき(第二バチカン公会議以降)ほどの変化ではないにせよ、この半世紀ミサ式次第は何度か変わってきた。たとえば現在は、蝋燭は祭壇上に2本、主日には4本、司教司式は7本、開祭での表敬の仕方、「主に栄光」で額・口・胸に十字を切る、共同祈願の後は着席、聖体奉仕者の動作など、典礼係でなければなかなか気づかない変化があったようだ。時代が変わるのだから変化があるのは当然だが、今度の変更はミサ典礼書の大きな変更の一部なのかもしれない。
6 歌ミサの式次第はどうなるのだろう。現行『典礼聖歌』の201番(単声)202番(多声)の旋律の変更は聖歌隊にとっては大きな試練だし喜びでもあるだろう。どう変わるか楽しみだ。

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