カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

旧統一協会は3大異端のひとつ ー 仏教概論(1)

2022-10-25 13:26:25 | 神学


 2022年10月の「学び合いの会」は肌寒い10月末に開かれた。急に寒くなったので出席者も少なかった。テーマは「仏教概論」である。わかったようでわからない仏教について素人なりに学んでみましょうということのようだ。

 なぜこの時期に仏教概論をとりあげるのか。明示はされなかったけれど背景に旧統一協会問題があることはみなわかっていた(1)。旧統一協会はキリスト教では異端である(2)。だが、旧統一協会問題は宗教問題でもあると同時に政治問題でもあるのでカトリック教会内ではなかなか表だっては話題にしずらい。そこで補助線を引いてみる。仏教にはなぜ異端がないのか。仏教は拡大・拡散するだけでなぜ異端が生まれないのか。

 今回のテーマである仏教概論は実は2018年の学び合いの会ですでに取り上げられたものである。1月から数回にわたって学んだ。時代背景も変化し、学び合いの会の顔ぶれも変わったので同じテーマだが再度取り上げて見たいと言うことであった。その時のテーマは「仏教とキリスト教」と題されており、このブログでも8回にわたって要旨を報告している。用いられているレジュメは今回のものと同じものなので、興味のある方はその時のブログをお読みいただけると幸いである。2018年1月23日から8回にわけて投稿している。要約ではあるが、コロナ禍前であり、このテーマを取り上げた社会的背景が現在とは異なるのでそれなりに意味があると思われる。

 今回は従って議論の要旨をまとめると言うよりは、私が重要だと思った論点をいくつか取り上げて私論を述べてみたい。素人の感想、ぼやきの域を出ないが、要約の繰り返しよりはよいだろう。

 レジュメの目次は以下の通りである。括弧内は私が今回付記したものである。

0 なぜ仏教を学ぶのか
1 仏教とはなにか(シャカと結集 けつじゅう)
2 仏教の教義(輪廻と空)
3 修行生活と教団(悟りとサンガ)
4 仏教の歴史的展開(上座部仏教・大乗仏教)
5 さまざまな仏教(浄土教・禅宗・密教)
6 大乗経典(般若心経・法華経・浄土三部経)
7 日本仏教の各宗派(南都六宗(三宗)・平安仏教・鎌倉仏教)
8 仏教とキリスト教(禅と神秘主義)

 次回から中を見てみたい。


1 ここでは旧統一協会という名称を使う。日本のメディアでは「旧統一教会」と標記することが多いようだ。統一協会の正式の宗教法人名称は「世界基督教統一神霊協会」だ。現在は「世界平和統一家庭連合」と改名されている。英語表記は ” Family Federation for World Peace and Unification”、略称は FFWPUだという。現在はさらに名称変更しているという。「天の父母様教団(英語表記:Heavenly Parents Church)」らしい。ここでは教団、Church という言葉が使われている。韓国語でどう表記されているのかはわからないが、教団とかチャーチといわれるとまるでキリスト教系のように聞こえてしまう。通称だからどちらでも良いとも言えるが、協会というより教会という言葉の方がイメージしやすいからだろうがまぎらわしい。
 我々が学生時代は「原理研究会」(または単に原理)などと呼ばれていた気がする。キリスト教を使って(名乗って)世界を統一しようともくろむ宗教団体だが、政治団体としての性格が強いようだ。キリスト教では、「エホバの証人」(ものみの塔)、「モルモン教」とならんで「キリスト教三大異端」の一つとされている。キリスト教系の新興宗教・新宗教には様々なものがあるが、旧統一協会は「新新宗教」と類型化されることもある。この三つは「カルト教団」の性格が強く(カルトの定義は多様なので別に論じてみたい)、社会に混乱を招く社会団体ともいえる。こういう異端運動はキリスト教系の装いを持っているとされるが、実はキリスト教とは全く別物である。現代のキリスト教において異端か否かの判断基準は明確だ。「使徒継承の信仰告白」(三位一体を認めることなど)を承認するか否かにかかっている。旧統一協会はキリスト教の異端である

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使徒信条

天地の創造主、全能の父である神を信じます。
父のひとり子、わたしたちの主イエス・キリストを信じます。
主は聖霊によってやどり、おとめマリアから生まれ、
ポンティオ・ピラトのもとで苦しみを受け、十字架につけられて死に、葬られ、陰府(よみ)に下り、
三日目に死者のうちから復活し、天に昇って、全能の父である神の右の座に着き、
生者(せいしゃ)と死者を裁くために来られます。
聖霊を信じ、
聖なる普遍の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、からだの復活、永遠のいのちを信じます。
アーメン。

— 2004年2月18日/日本カトリック司教協議会認可

2 統一協会については新書やwikipediaなど様々なところで説明されているので付言することはないが、この団体の理念や教えの特徴は確認しておく必要がある。
旧統一協会の創始者は韓国人の文鮮明(1920-2012)。戦前に早稲田大学付属高等工学校に留学。日本は最大の活動拠点のようだ。「サン鮮・ミョン明・ムーン文」を英語読みして「サンsun太陽とムーンmoon月(聖霊)」を「鮮やかに」するキリストの再臨と自称したという。教義の中心は科学と宗教を統一した統一原理原論と呼ばれ、『原理原本』に書かれているという。聖書を陰陽道を使って解釈したものらしく、文鮮明は自らを「第三のアダム」と呼んでいるようだ。この団体は理想社会を築くためと称して当時のソ連の共産主義に対抗するため「勝共連合」を結成し、「世界平和教授アカデミー」や「世界指導者セミバー」などに知識人や政治家を集めた。また「合同結婚式」は世界平和は家庭の平和から始まるという考えからおこなわれる宗教儀式だという。
 1965年に東京都から宗教法人の認可を受け、2015年に文化庁がなぜか名称変更を決定している。日本を初め、英米独カナダに支部を持ち、政治権力に接近しているという。

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