カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

にわかサッカーファンの仏教論 ー 仏教概論(8)(学び合いの会)

2022-12-19 21:14:52 | 神学


 昨日の夜中のW杯を観戦した。アルゼンチンがフランスを破って優勝した。わたしはにわかサッカーファンなのでどちらかを応援するほどの知識は無い。フランシスコ教皇様の母国と言うことでなんとなくアルゼンチンを応援していた。教皇様は2019年の来日の折に広島で「自分はサッカーが下手だから教皇になった」と冗談めかしておっしゃったそうで、サッカーファンらしい。

【フランシスコ教皇とマラドーナ】

 


 それにしてもペナルティーキック合戦でのW杯王者とは劇的な幕切れだった。PK戦とはなにかと考えさせられた。日本代表も同じ憂き目に遭ったからだ。なにかサドンデスみたいにどちらかが得点するまで戦わせるのは選手に対して酷すぎるのだろうか。サッカーは、ラグビーとは異なり、歴史的には労働者のスポーツとして生まれたと聞く。ルールを決める視点が独特なのかもしれない。

 2022年12月の学び合いの会には、青空だが厳しい冬の寒さの中、多くの方が集まった。とはいえ、眠たそうな顔の方もおられた。W杯決勝戦を観戦した方なのであろう。
 新型コロナも第8派の山が訪れているという。コロナに感染した神父様もおられ、ミサもままならない教会もあると聞く。昨日のミサでロウソクも4本になったが、今週のクリスマスをみなでお祝いできるかどうか、不安が無いわけではない。

 2022年12月の学び合いの会は仏教概論の三回目である。仏教論としては一応最終回となる。今日は、大乗経典の解説の続きがあり、ついで日本仏教の各宗派の説明があり、そして「カトリック大辞典」にみられる仏教とカトリックの比較論が紹介された。盛りだくさんの話題である。基本的には日本の大乗仏教はどこに向かっているのか、という問いが中心だった。これはすなわち日本のカトリックはどこに向かっているのか、という問いでもある。

 この概論のレジュメの要約は、すでに繰り返し述べたように、2018年の1・2・3月のこのブログで紹介済みである。個別的な要約は繰り返す必要もないので、ここでは前回と同じように私見を少し交えながら印象を記してみたい。

 今回の配付資料には3枚の図表が含まれていた。①日本とヨーロッパの大宗教家達、②日本仏教の宗派の流れ、③日本の宗教史 の三枚である。そこでこれらの図表を使いながら要約をしてみたい。これらの図表は出典が明示されていなかったので、私は直接確認することは出来なかった。不正確な要約になってしまうかもしれないがご容赦いただきたい。

Ⅵ 大乗経典

 前回は3000余あると言われる大乗経典のなかで、結局は般若経と法華経につきるという話であった。今回は、日本の大乗仏教の中心は密教と浄土教であるという話だった。
 密教は「大日経」が中心だが結局は華厳経の影響のもとに生まれているので、華厳経(奈良の大仏様で有名)の説明があった。華厳経は法華経とならぶ大乗仏教の重要経典らしいが、我々にはあまりなじみはない。それは奈良仏教として古いにもかかわらず、鎮護国家宗教として機能していたかららしい。ただその特徴はその広大な宇宙論にあるという。「一即多・多即一」という世界観は我々もどこかで聞いたことがある。

 また、浄土教はお経としては「浄土三部経」が中心だが、般若経→法華経→浄土教と発展したことを考えると、日本仏教は浄土教の中では「覚り」の宗教から「救い」の宗教へと変質したと説明された。つまり、浄土教は般若経や法華経とは全く別の宗教であり、お経も全く別物だという。
 こういう独特の宗派(宗教)である浄土教がなぜこれほどまでに広く深く日本社会に広まっているのか(1)。その一つの答えは、浄土教は救済宗教であるからという大胆な説明であった。こういう説明の仕方が日本の仏教界で受け入れられているのかどうかはわからないが、佐々木閑氏は比較的こう言う説明の仕方をとられるようだ(2)。浄土教は「阿弥陀信仰」と呼ばれる。その教えは「阿弥陀仏がいる極楽浄土へ往生する」ために南無阿弥陀仏と唱えよというものだという(3)。



1 日本仏教のほぼ半分は(信徒数でも寺院数でも)浄土系だという。
2 佐々木閑 「集中講義 大乗仏教」 NHK出版 2017
3 こういう教えを救済宗教と呼ぶのなら、同じ救済宗教であるキリスト教が日本社会に受け入れられる余地は十分にあると言うことになる。一向一揆に見られるように浄土真宗系の救済観は支配する側にとっては面倒な思想となる。初期のキリスト教の姿との類似性を見たくなる。

 

コメント
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