
「その土曜日、7時58分」
という映画を、・・・何日かかけてではありますが、観ることができました。
監督第一作の「十二人の怒れる男 」が、
「1957年度の第7回ベルリン国際映画祭金熊賞と国際カトリック映画事務局賞を受賞、同年度のアカデミー賞で作品賞を含む3部門にノミネートされたが、『戦場にかける橋』に敗れ、受賞には至らなかった。」(Wikiより)
という、シドニールメット監督の遺作ということで、大変に楽しみに観たのです。
ちなみに、ルメット監督の映画では、アルパチーノが伝説的刑事を演じるた1973年の名作「セルピコ」や、
同じくアルパチーノが、今度は銀行強盗役を演じ、超個性的名脇役ジョンカザールの怪演が忘れられない(ほんとに忘れられない(笑))、銀行強盗ものの名作中の名作、75年の「狼たちの午後」が思い出深いです。「狼たちの午後」は、その後の銀行強盗映画の基礎(という言い方も変かもしれませんが)になったのではないでしょうか。アカデミー賞も6部門にノミネートされ、脚本賞を獲っています。
そして、「その土曜日、7時58分」ですが、いやはや、重たい、重たすぎる(・・・いえ、好きなのですが)映画でした。
「・・・あああ

」
そんなことばっかり。
ダメなことは続き、
悪循環を生み、
取り返しのつかないことになる。
映画の題材としてはよくあるシチュエーションかもしれませんが、
この脚本は、さすがというかんじでした。
時系列が並列的に絡み合ったな見せ方も、これまたよくある手法ではありますが、決して嫌味にも煩雑にもならず、大変に巧く綴られており、
まさに、匠の技、でございました。
しかしこの人生を転げ落ちる感じ、
大変な適役だった、フィリップ・シーモア・ホフマン。
僕は、たぶん8回以上は観ている「セント・オブ・ウーマン」(また主演はアルパチーノですが、僕の中で、彼の一番好きな映画です。アカデミー賞主演男優賞も当然の名演技でございました。)での、
あの、初演にして、にっくきクソガキ「ジョージ・ウィリス・Jr」を最高の「この役はこいつしかいない度100%」で演じた、愛すべき名悪役俳優・・・というか、とにかくダメな感じが最高に似合う俳優、シ-モア・ホフマン。
みようによっては、角度によっては、あのマットデイモンに似てなくもないのだけれど、
やっぱり、似てないのかな。
でも、シ-モア・ホフマンの存在感、ダメ感からくる、独特の人間的リアリティに惹かれて、
最後まで観て、
彼が、ドラッグ中毒で、すでにこの世を去っていることを知って、
心から残念に思い、泣きました。
実生活でもダメだったのかよ・・・という。
でも、なんといいますか、
・・・そいいう、役者さんだったのですね。
ではー。