2007・11・4
☆本編1「十二ヶ岳・鬼ヶ岳など奥御坂縦走-1」←クリックでご覧ください。
十二ヶ岳を下りきると道はほぼ平坦な尾根道となり周囲の展望もきく。
正面にはカラマツ林の向うに金山が見えている。
金山の左奥には、鬼ヶ岳が聳える。
金山の右手には三角錐の節刀ヶ岳(本編1で写真が出ているので省略)、さらにその延長線上にはカラマツの黄葉で染め上げられた大石峠から御坂黒岳に続く稜線。さらに奥の稜線には、釈迦ヶ岳の三角のピークも見えている。
十二ヶ岳の岩岩やクサリ、ロープの嶮しいアップダウンとは全く趣の異なるたおやかなカラマツ林のゆったりとした道に変わる。
視線を上げれば、青空に黄葉が鮮やかだ。
目の高さには、朱色の紅葉がアクセントとなる。
緩やかに下り、登り返した所が、金山の山頂である。残念ながらここのピークだけは展望が得られない。遠くから見ると明らかにピークの確認できる山であるが、縦走路を歩いている限りにおいては、標柱がなければ山頂という感覚はまずない。
ここからルートを右に取り、節刀ヶ岳を目指す。ここからも気持ちのよい林の中を進むが、下に熊笹、周囲が密生した針葉樹なのでやや暗い感じがする。
しかし、すぐに笹だけの明るい雰囲気の登りに変わる。
*因みに、このエリアに勉強不足のまま入り 山名で混乱し、現在地すら危うくなっている人を見かける。それは、同じ読み方<セットウガタケ>の山が隣接してあるからだ。
これから紹介するのが、節に刀と書く節刀ヶ岳。特徴のある円錐形をしていて、甲府盆地方面からも一目でそれとわかる。
混同するのは、鬼ヶ岳の南隣に位置する雪と頭と書く雪頭ヶ岳。こちらは西湖畔根場から見上げることができ、山頂からは富士山が正面に大きく見え、足元の西湖と相まってダイナミックな景観が得られる。
☆山名の由来についての一考察
かなり古い地図を眺めると、現在の節刀ヶ岳が「北節刀ヶ岳」とある。金山が中節刀ヶ岳。鬼ヶ岳が南節刀ヶ岳。金山は要の山から転じて、当て字で金山に。南節刀ヶ岳は、遠くから見ると現在の鬼ヶ岳と雪頭ヶ岳がセットで2本角の鬼の頭に見える。やがて、現在の1本角の山頂のみを指して鬼ヶ岳と言われるようになり、南側に残されたピークが昔の呼ばれ方だけ「セットウ」と残ったのだろう。やがて、南北の冠が略された。そこで、区別するために雪の頭で雪頭ヶ岳と後付で漢字が当てられたものと推察する。<あくまで一考察です>
節刀ヶ岳の山頂は狭く、標柱も三角点も傾いている。写真後方は十二ヶ岳。
いつもの秋なら真っ白にくっきり見えるのだが、この日は薄く霞んで写真としては面白くないので、割愛したが、この山頂の見所は、十二ヶ岳からは鬼ヶ岳の陰で見えなかった荒川三山と赤石岳がはっきり見え、南アルプスがオールスターで勢ぞろいして見える点である。
三角点のある山頂は疎林に囲まれているため背伸びをしたり、位置を変えたりしないと全ての展望が得られない。
実は、このピークよりひとつ下の岩のピークの方が展望を味わうには都合がいい。
座ったままでぐるり見渡せるからである。
大石峠から御坂黒岳に続くたおやかな稜線。奥には、三ツ峠山。
左には、釈迦ヶ岳。
河口湖と毛無山から十二ヶ岳に至る辿ってきた稜線。後方に薄っすら水色に裾野が見えるが、もちろん富士山だ。写真は切れているが、この続きに富士山があることも想像してご覧ください。
十二ヶ岳からさらに先(西方向には)には、鬼ヶ岳のピークと左に寄り添うような雪頭ヶ岳。さらにその延長線上には、王岳の尖がりも確認できる。
三ツ峠山~天上山へのライン。河口湖。毛無山。
その奥には小さく薄っすら山中湖。杓子、石割、御正体、丹沢、三国山、箱根方面まで見通せる。
クリアな晴天なら、北アの槍穂まで見えるが、今回は朝方の湿度の高い霧が、昼になっても悪影響を残し、秋なのに春より遠望が利かない。
かろうじて、八ヶ岳、茅ヶ岳が見えている。金峰山は稜線が雲の中だった。
富士山と南アルプスの写真は割愛したが、前後に出てくるので補ってご覧ください。
縦走路を来ると十二ヶ岳:カモシカの展望台からの展望が印象強いが、節刀ヶ岳からの展望もかなりお奨めである。
金山まで来た道を戻る。
鬼ヶ岳までは、明るい広葉樹の快適な道を進む。初夏はコバイケイソウが両脇を飾る。緩やかに下った後は、南側の斜面を崖っぷちの小さなへつりを含めて緩やかに登り返す。
-1
のぼりに差し掛かったところで振り返る。
手前の低い三角が金山。緑色に見える斜面の奥が先ほどまでいた節刀ヶ岳。
最奥の丸いピークが御坂黒岳。
-2
写真ー1の右への続きがー2。十二ヶ岳が形を変えて見える。
山腹を左に巻くように登っていくと、雪頭ヶ岳と鬼ヶ岳から一段下のピークが見える。
正面に鬼の一本角の大岩が迫ってくると山頂は目の前だ。
鬼ヶ岳山頂(1738m)。ここも頗る展望の良い山頂で、ついついゆっくりしたくなる。
鬼の角は、カモシカのリクライニングシートだ。鬼ヶ岳での指定席。
鬼を成敗したり!<ちょっと可哀そうかな。いい鬼だったかもしれないし。>
鬼ヶ岳からも360度の大展望である。本編1や節刀ヶ岳からの展望写真とかなり
ダブるので、割愛した。
しかし、鬼ヶ岳からは全く樹木に邪魔されずに南アルプス、北アルプス、八ヶ岳が
同一視野内で一望できるのが良い。今回の縦走での各山頂からのそれぞれ微妙に異なる展望が楽しいが、この山頂が1番ゆったりできて好きだ。
南へほんの少しで岩の小ピーク。アルミの梯子が掛けられている。
トントンと下り、雪頭ヶ岳に向かう。
十二ヶ岳が見える。急峻な岩ごつごつの印象があるが、中腹以下はきれいな紅葉に彩られている。
ほんの僅かな距離で、雪頭ヶ岳山頂である。お花畑がないといって騒いでる方がおられるが、夏場だけ南斜面が賑やかになる。ただ、この時期だと暑くて低山に訪れる人も少なく余り目にできない。
しかし、雪頭ヶ岳からは富士山の眺望がダイナミックである。西湖を挟んで三湖台や紅葉台の配置もかなりいい。
生憎この日の午後には富士山が雲の中に隠れてしまったのが残念である。
山頂からブナの原生林を通って、急下降で根場まで下るのも良い。早朝なら野生のカモシカと遭遇する確率の高いところである。
しかし、展望と尾根歩きをもう少し楽しみたいならいつものパターンで鍵掛峠まで縦走してから、根場に下るのがお奨めである。コースタイムはさほど変わらない。
鬼ヶ岳から鍵掛峠までは相対では下りとなるが、3ピークほどのアップダウンを繰り返す。途中の大岩にはTOPまで登ることができ、クリアな視界の時は槍穂を最後まで眺められる。
写真は、登山道脇の枯葉の中にポツリと目を惹くたったひとつの朱色の葉っぱ。
余りの鮮やかさに思わずパチリである。
鍵掛峠から下りに入る。真っ直ぐ進めば、王岳だ。2時間半から3時間で往復できるが、日没時間の早さを考慮すると今日はここまでだ。素直に下山。
途中、ブナの原生林があり、 何ともいえない色合いで
「さようなら、またおいで!」と私を見送ってくれた。
登山道を下りきって、林道にでると最近できた古民家を移築した「西湖いやしの里」とかいう公園風の施設が目に飛び込んでくる。かつては、数軒の農家があるだけののんびりした田舎風景であったが、大きな駐車場もできており、観光客がごった返していた。
*地域の活性化のためという名目で、作られた観光施設だろうが、飽きられずに
この人気が続くのか 甚だ疑問である。
一度壊してしまった自然は2度と戻ることはないのだから。あるがままの自然こそが、後世に残すべき最大の共通の財産だと思うのだが・・・。
余談であるが、伊豆の東海岸地域がこれで失敗している。いま、西伊豆もじわじわその波が押し寄せている。そして、ここ富士山の山麓にも。
世の中には、変わるものと変わらないものがあって良いと思う。
そして、絶対変えてはいけないものというのもあると思う。
今の私には、明快な答えが出し切れない。
大自然の中に聳える富士よ! 君は、どう思う?
<完>
富士山を見るのが大好きです。良い写真です。
行って見たいです。
一枚目の富士の写真にはやられました!
素晴らしい雰囲気です
カモシカさんはカメラの機種はどこのでしょうか?
以前よりだいぶ、画像のサイズ下げているけど、それでもキレイですね~
学ぶ事多し!
日本人も外国の方も、みんな富士山には惹かれますね。
毎日目にしていても、やはり山で見えると得した気分になります!
>行って見たいです。
是非お越しください。
私のお気に入りのコースです!
いわば、縄張り。(笑
>機種はどこのでしょうか
たんべぇさんの娘さんとかロビンさんとオソロ!
ストックは、まきくまさんとオソロ!
スノーシューは、食う寝るさんとオソロ!
記憶力はまだ学生時代だな!!
>学ぶ事多し!
何にもでないよ!(笑
丁寧なレポでよく判りました。あんがと。
あの界隈は なんだか固まりとして認識していて
一つ一つの特徴がイメージできませんでした。
御坂黒岳と竜ヶ岳と毛無くらいしか
登ってないんだよね。
でも、ここの辺りも面白そうだよね。
なんせ富士と湖がバッチシだもん。
今度行ってみほぉーっと
富士山、広重みたい!
紅葉もきれいだなぁ~~~
そろそろ嫁の目を盗んで山に行っちゃおうか?
(家に入れてもらえなくなるからやめとこ!)
それでは!また!!
PS こちらのコメントに入っていました”近くにあって、え~~なぁ~~!!”のオヤジギャグ・・・見逃しておりました・・・ここで改めて笑わせていただきます(笑)
わ~い!久しぶりにロビンさんにほめられた!
>御坂黒岳と竜ヶ岳と毛無くらいしか・・・
渋いとことハイキングのとことトレーニングのとこだね。
☆十二ヶ岳、鬼ヶ岳界隈、いいでしょ!!
>なんせ富士と湖とカモシカがバッチシだもん。
だろ、だろ!
>今度行ってみほぉーっと
縄張りに侵入する際は、事前連絡すること。
グルメにありつけるかもだ!
紅葉も終わって、日も短くなるので、1座ハイキング的にならOKですが、ロングは春のほうがいいですよ。
本コースに関しては、私は運よく8割方ヒッチハイクです。根場民宿村に下山すれば、バスで起点に戻れます。(1時間に1本程度)。最悪歩いても5~6キロ。