「線香花火」 林家正楽の紙切り芸
注文は基本なんでもOKであるが、やはり季節感のある和のテイストで綺麗なお題がお奨めである。
今回は、「線香花火」をリクエストした。
「線香花火」を如何に表現するか? ここが、センスと技である。
イメージが広がる見事な作品に仕上げるのが、正楽師匠の本物の技だ。
作品を切り抜いたあとの抜け殻=いわばB面。 これすら立派な作品。
落語家が次々に登場する寄席。ところどころで、手品や漫才、曲独楽などの芸が“寄席時間”を彩る。その芸のひとつに「紙切り」がある。
「ハサミの魔術師」とたたえられた初代の芸は二代目を経て、当代に継承され、寄席や落語会にはなくてはならないものになっている。
「お客様にご注文をいただいて、お囃子に合わせて紙とからだを動かします」。そう喋りながら、高座に座った正楽がからだを左右に揺らし始める。
手元のハサミと白い紙も連動して動き、「1分か2分ぐらいで切って」仕上げる。
「AKB48」という注文が出れば「AKB48」、「寅さん」という注文が出れば「寅さん」が、わずかな時間後に切り上がっている。
ある時、小学生の注文で人気アニメキャラクター「ポケポン」を切った場面を目撃したことがあった。
完成品に歓声が、どよめいた。「紙切り」芸の強さを目の当たりにした。
テレビや新聞などから常に流行り物の情報を入手し、切れないものはない状態を保つ。
以前、冬季オリンピックで荒川静香が金メダルを取った直後、「荒川静香!」と注文したことがある。
降参すると思いきや、見事に「イナバウアーを決める荒川静香」を切って頂いた♪♪゜・*:.。. .。.:*・♪
かつての新聞記事では、「人に分かんないように、誰もいないところで切ります。格好悪いもん、おけいこを人に見られるなんて。
うちでも家族の前では絶対にやらないですよ」という姿勢に、粋な芸人の感性が透けて見える。
どんな注文が出るのか。その瞬間まで分からない。客との間合いが、高座時間の良しあしを決める。
客は老若男女、「屋形船」や「七夕」など季節のネタの注文から、ちょっと風変わりなものまで。
寄席の客からの即興の注文になんでも応じ、何の変哲もない1枚の紙を切り離すことなくハサミを入れ、
僅か1~2分の短時間で芸術作品に仕上げてしまう日本の技、日本の心である。
切っている最中もお客様を退屈させない軽妙な話術を展開する!しかも体を少~し揺らしながら。(笑)
寄席の色物の中で、正楽師匠の紙切り芸は いつまでも健在であって欲しいと願う。
(他にも数人、紙切りをやる方もいるが、私は ナンバーワンで正楽師匠のが好きだ♪)
紙切りの第一人者。気負いを 見せない淡々とした芸で、客の注文に応じて、 確実にそして綺麗に切り抜いていく。
短い が洒落の利いた言葉の数々、注文から出来上がりまでの流れの組み立てなど そのセンスのよさは日本一であろう。
<世界にはない芸なので、世界一か!>
末廣亭で頂くと作品「相合傘」がプリントされたクリアファイルであるが、
鈴本の寄席では、こんな作品が印刷された上厚紙の封筒に入れて 注文の作品がお土産で持ち帰ることができる♪
得した気分だ♪゜・*:.。. .。.:*・♪
これは、偶然の産物です。黒か紺の色画用紙がなく、黒のダウンジャケットの上に乗せて撮影したのです。なるほど、B面の方が立体的で味わいが増していますね。