FESCO成長の軌跡(3)
「苦境を抜け出す答えは必ず現場にある」
その信念の基に出てきた解決策が「コージェネレーションシステム(熱電併給分散型電源)」であった。
このシステムは、「環境と経済を両立」させるエネルギー効率化の「エースで4番バッター」である。ただし、それまでの省エネ方策と比較すると、初期投資額が一桁大きくなる。つまり、大きくても数千万円であったそれまでの省エネ投資額が、一挙に数億円、時には数十億円となった。
こうなると顧客もなかなか導入に踏み切れない。そこで「初期投資ゼロで」というESCOシェアード・セイビングス契約に注目が集まり始めた。これが顧客に初期投資負担をさせることなく、ESCO事業者がコージェネ設備を所有し、電気と熱を工場に供給するという「オンサイト事業(自家発電代行業)」が生まれた背景である。
さらに、このビジネスモデルが急速に拡大したのには、国の理解と支援があった。
当時は、経済産業省資源エネルギー庁がESCO事業の育成を謳い始めた時でもあった。そこで、それまであった省エネ補助金制度をESCO事業、特にシェアードスキームに使えないのかとなった。
従前の補助金制度というのは、省エネ機器やシステムを購入して使う最終の需要家が受領するべきものだとなっていた。
ESCOシェアードの場合、機器やシステムを所有するのは、ESCO事業者となる。また、ESCO事業者もリース会社等から資金提供を受ける場合には、通常この機器等を担保に入れることを要求される。
補助金を得た機器を担保に入れることは、補助金制度上で禁止されており、シェアードスキームでは、補助金が使えないというのが悩みの種であった。
そこで、「ESCO事業としての位置づけが明確であり、ESCO事業者が資産を保有し、担保の用にも供しないのであれば、ESCO事業者に補助金が交付されてもよい」という補助金制度の運用上の見直しがあった。
この読み替えは、ESCO事業者にとっては、大変ありがたいものとなったが、同時に、オンサイト事業のような数億円規模以上という資金をどうやって調達するのかというESCO事業者にとって大きな壁(課題)も見えてきた。
そこでFESCOが考案したのが、「セール&割賦バック方式(担保なし+ノンリコース)」という全く新しいファイナンス概念であった。この方式は、某リース会社の開発責任者との間で、侃々諤々の議論の末に生まれたものである。
顧客与信の活用によって、ESCO事業者の与信力にも因らず、つまりノンリコースにて数十億円を調達する。
このようなアイデアが生まれたことは、ESCO事業がまさに技術だけの業態ではなく、ファイナンスと契約の知恵の勝負でもあるという好例であろう。
私がESCO事業にビジネスマン人生を賭けた理由もこのあたりの事業の持つ深みにあるのである。
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