CLASS3103 三十三組

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【読書】利休を超える戦国の茶人 織田有楽斎

2023-03-11 21:19:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
利休を超える戦国の茶人 織田有楽斎  作:岳真也

織田源吾長益を主人公にした戦国時代小説であります
織豊から、徳川の世までをさらっと撫でる戦国小説で、
視点が織田方のようでもあり、豊臣方のようでもありと、
のらりくらり時代を生き抜いた有楽斎にスポットをあててというのが面白く、
タイトルにように、茶の湯の話がガンガンでてくるかと思うと
そんなこともなく、割と教科書的といっては失礼ながら、
戦国時代をわかりやすく広く扱った内容で面白かったのでありました

うつけの信長に、へたれの源吾という触れ込みで、
歳離れた信長に不思議と愛されていたという、末っ子(ではないんだが)根性の長益が、
戦仕事はへっぽこに過ごしつつ、なんだかんだ、持前の教養や、
平手の爺様との縁から、茶の湯を覚えていくことで、
知らず内に調略に近いこと、人に近づき、うまく丸く収めるという力を培っていったと
まぁ、そんな具合で、要所要所で説得役として活躍しながら、
織田が滅びて、豊臣の世になり、徳川と近づきというあたりを
へたれなりの信念で生きていきつつ、上手にわたり切ったという印象で、
かなり持ち上げてといえば、失礼なんだが、よいように書いているもので
なんとなし、軟弱すぎるだろうと思わなくもない心根の描かれ方なれども、
心穏やかに読めるのでよかったと思ったのでありました
三英傑の誰とも、まるで話にならんという弱さが、
むしろよいように作用したみたく書かれ方である

茶の湯の方面で、利休がどれほど出てくるかと思っていたけども、
ほぼ出てこないで、なんだったら、若干感じ悪い人という描き方かと思わせておきつつ
その実は、立派な茶人であったという人で記されているのが上手くて
そのせいか、古織は、名前がちょっと出てきたくらいなのが残念なところ、
さらには、小堀とかも出てこないし、茶の湯ご政道は添え物というか、
そこに有楽斎の出番はないという描き方、そういうのとは別の茶道を有楽斎にやらせているのが
面白いところではないかと思ったのであります
でも、有楽流って煎茶道じゃなかったかしら、まぁ、いいんだが

茶の湯名人とのやりとりみたいなのは、利休とちょっとだけ描かれるだけで、
あとは、ひたすらに、戦国時代、織田信長を失ってからの織田の血脈の行く末というところが中心で、
お市の娘三姉妹の動向やら、知多の大草での日々みたいなところに
話題が割かれているのが新しいと感じたのでありました

戦国時代をさっと復習できる
そんな小説だったと思うのでありました


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