一瞬の沈黙の後、スターターのピストルが鳴った。
同時にストップウォッチのボタンを押した。ランナーがゆっくりと動き出す。
2009年の北海道マラソンがスタートした。沸き上がる歓声と共に走りだす。
号砲から約1分ちょっとでスタートラインを通過した。2004年以来の低い気温(21.2度、湿度65%)でのスタートだ。暑さ対策をしてきただけに少し拍子抜けだが、これはこれでありがたい。制限時間は別にして完走率も悪くないだろう。
スタートしたランナーはなにか巨大な生き物のごとく豊水通りを少しいって、幌平橋を渡り、中の島通りに右折していく。道路のほぼ全車線を使って進むその光景が、おそらく上空のヘリから中継されているのだろう。
スタートしてすぐなにか違和感があった。前に出れないのだ。
昨年の真駒内公園スタートでは、登録者と一般はスタジアムと公園内とでスタート位置が違い、約1km地点で合流した。自分のペースで走れるまでにそんなに時間はかからなかったと思ったのだが、今回は違った。2km過ぎても自分のペースで走れない。原因の一つは、自分。昨年は1kmのペースが5分10秒ほどだったが、今年は4分半を上回っていこうとしたこと。もちろん参加人数が増えたこともある。そして最も違和感を感じたのが、前方を埋め尽くす陸連登録者だった。
陸連登録はお金を払えばだれでも登録できる(らしい)。そして、スタート位置は優先的に前になる。Aブロック、Bブロックがその登録者。もちろんその中でも申告タイム順にゼッケンが渡されているのだろう。Cブロックから後ろは申告タイム順で、前の方がフルマラソンタイムの申告者、後ろがハーフ、その他である。どのブロックでも同じことがおこっているのはわかるが、なんせBブロックにペースが遅い人が多くいることには驚いた。お金を払って前にいることに文句はないが、せめておしゃべりしながら、のんびり走ることはやめて欲しい。自分達がいる位置を自覚して走って欲しいと。
そんなわががままとストレスを若干感じながらスター直後の3kmはあっという間に過ぎた。もちろん1km毎のラップなんか取ってる余裕なんてなかったからペースがさっぱり分からない。でも3km地点のコース最高地点までをこんな具合で通過したのは、ある意味ラッキーだ。
3km地点を折り返すように左折して国道453号線に入る。ここからはひたすらゆっく下る。試走完了でも書いたが、無理して飛ばしては行けないと思いながらもスタート直後のストレス発散でペースは上がって行く。沿道には多くの方達から暖かい声援を頂いた。わざとコースを左いっぱいに走ってその声援を力に気分良く走る。
5km地点通過。
平岸ではお馴染みの天神太鼓が迎えてくれた。沿道もすごい人で前半でもっとも走りやすい所といっていいだろう。下りのせいもあって気持ちよく走る。
平岸街道の突き当たりの左に北海学園大学がある。昨年なら、ここを右折して36号線を渡り、菊水駅まで行くところを右折したらすぐに左折して南7条大橋を渡る。今日は気候の助けもあって呼吸はすこぶる楽。ペースや距離を意識しなくても走ることができたいたせいか、北海学園を通りすぎて右折するまで気がつかなかった。そして南7条大橋を渡った。創世川通りを右にカーブしながらアンダーパスに入るところで右足に違和感が走った。
アンダーパスに入る。前日にゴーを乗せて、車で初めてここを通った。車で走るのと、自分んも脚で走るのとは感覚が大違いだった。構内はとても大きくて、涼しい。車の排気ガスもないからすこぶる快適だ。走る前は景色も見えないし、「なんてところを走らせるんだ!」と思っていたのだが。
アンダーパスの走りやすさとは反対に、右足の付根の痛みは急速に悪化していった。3km地点でアミノの同級生メンバーのマー君2号を抜いたのだが、ここで追いつかれた。彼もおかしいと感じたらしく、「なにやってんの?」と聞かれたが、「右足がおかしいから先に行ってくれ」と答えた。10kmも走らないうちにこんな状態になったのは初めてだった。止まってストレッチをすべきなのか。でもまだ走れる。給水所までいけば水でアイシングも出来る。
アンダーパスをでた。右手にはすぐJRタワーが見えてきた。JR高架を通過して北12条。10km地点を通過した。大塚製薬のみんながポカリスエットの登りを持って声援してくれていた。「アミノバリューじゃなのかいっ!」
自分もキャップがただのオレンジだったから応援側もわからない。近寄っていって手を振った。嬉しいことに気がついてくれた。
10kmで給水を一口飲んで後は右足にかけた。もうひとつ取ってまたかけた。気休めかもしれないが少しだけ痛みが和らいだ。北24条の交差点手前のスポンジポイントでも確実に取ってアイシングに専念した。「このまま痛みがつづくのか?こんなところで?」
創世川通りを左折して北24条駅へ向う。駅付近も声援がすごい。マシュー夫妻が大声で声を掛けてくれた。昨年もここで待っていてくれた。嬉しかった。
笑顔で答えるが、痛みは増していった。頭の中にはリタイアの文字が浮かび始めていた。
北24条の街中を通り抜け、左手に北大の敷地が見えてきた。直ぐに新川通りへと右折した。ここからは往復コースとなる。暫く行くと道路の反対側(復路)の37.5kmのスポンジポイントにボランティアで参加しているI山さんが大声で声援をくれた。目立つように両手を振って。ちょっと気はずかしかたがうれしかった。
1km弱走って、右折し琴似栄え通りに入った。15km地点は新川駅だ。右足は痺れを伴いだした。そして高速の高架を通過する手前でその時は来たっ!
歩道に上がった。
・・・・vol.3へ。
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読んで頂いて恐縮です。私も来年は陸連登録しようと思います。
で、後ろから文句言われるほうになります。
(^^♪
面倒をおかけしてます<(_ _)>
(どうぞ読み流してください~!!)
陸連登録者の事、なんか、わかるような気がします。
確かに、登録者が前で、その後ろに一般走者がつくんですもんね。
でも、登録者より、一般走者のほうが速い場合は・・(ストレートに言っちゃえば)「そこを行く登録者、チョイト道を空けておくれ!!」っていうパターンもあり得るんですもんね。
なるほど・・・