＊ 手術の日・・ ＊

病院の駐車場、枝垂桜があったんだ・・。　入院はタクシーで玄関で降りたので、気がつかなかった。
枝垂れ桜の優雅で優しい姿は格別、長女がカメラに収めていた。
先日は枯れ木だったのに、花さかじいさんみたい！　開花遅れの今年、咲き急ぐあちこちの桜。
手術がうまくいってこの枝垂れ桜、アップ出来ますようにと思いながら通り過ぎた。

病室は4人部屋、入院時窓際で・・と夫はお願いしたが、「みんなそう言います」と笑われた。

前回と同じ部屋、ドームの見える窓際である。　廊下側と窓ではテンションが違う。
同室は一人だが30分したら退院だと言う。　手術日、手術室へ行くまで家族は部屋にいられる配慮が嬉しい。

看護師さんたちが迎えに来て下さる前、夫はぽつりと言った、下を向いて。
「あんまり（焼灼）頑張りすぎんでもええわ」（腫瘍の場所が場所だけに）
ストレッチャーに乗せられた夫に「がんばってね」手を握ったら握り返した。　

談話室で3時間後「手術が終わりお部屋に戻られましたので」と看護師さん。
痛そうな顔の夫の第一声は「腹減った～」　バームクーヘンと夫の好きな飲料を飲ませた。
腫瘍のひとつを採れば、一旦癌は無くなりますよと言われていた。　前はおなかに水を入れ、癌の場所にラジオ波で焼灼、
横隔膜だったり肺だったり場所が悪いと出来ない。　今度は胸に水を入れ、腫瘍を焼灼するのだが、無理だったと
残念そうに言った。　上手くいくか分からないし、合併症があったりする時がも聞いていたので、バームクーヘンを食べ
めっちゃ笑顔の夫の顔を見たとき、私は嬉しかった、それでいいと思った。　１００％ではない、手術だって。
私が入院する日、夫は退院する予定だったからこれでいいと思った、残念だけど。

今日バスで梅田へ行っていた長女と、家からバスで行く私とほぼ同じ時刻合流できた。
昨日病院から帰宅後、執刀医から「水を入れて確認したが場所が見えなくて焼くことは出来ませんでした」
日常の夫担当は副院長、どうするか相談しますのでと。　少しして電話があり「塞栓術をすることになり、
ご主人から了解頂きましたので木曜に手術と思っています。疑問がありましたら明日来てください」
一日置いて続けてまた手術・・「主人が了解したのでしたら、どうぞ宜しくお願いします」と言った。

今日、夫と面会した時、全身麻酔でないので手術の様子が分かり、頑張って探してくれたけど痛くて「もういいですと
頼んだんや。　良くぞ言った、手術前「頑張ってくれんでもいい」そう言った夫、その通りになったのだ。
頼んだ事を初めて知った。　夜夫の癌の治療をずっと記録していたので、年の初めにまとめて8頁の文章を作成していたので
11月の塞栓術からの記録に間違いないか、出来れば確認してもらって欲しいなぁと夫に渡した。

術後また手術、その事が気になり眠れなく、データを見直し整えていた。
疑問があったら・・二度も言われたので、間違いなければ安心、術後でも塞栓術が可能ならばこそ選択された。
「手術の事書かんとこうかブログに」「いや経過やから書いとってくれ」と言われたので枝垂桜を載せた。

夕方帰宅した。　「ただいま」主のいない家、返事はない。
何度も手術を繰り返す夫の心の中・・胸が詰まる。　以前ひと回り上の婦人に言われた言葉がまた蘇る。
「何度も主人に手術をさせて、あんたはよっぽど悪妻やね」ごめんなさい。

10時就寝の夫から「けんつく　頑張る！」の面白い動画スタンプが二つ届いて笑った。
一緒にがんばろう！！とスタンプを返信した。　明日は一人、12時に行きますと加えた。