出血を止める働きをする血小板をiPS細胞からつくり、血液の難病「再生不良性貧血」の患者に輸血する京都大学の臨床研究が承認されました。
血小板を含む血液製剤は献血によって作られていますが、少子高齢化などの影響で献血する人が減っています。iPS細胞から血液製剤ができるようになれば、将来の血液製剤の供給にも役立ち、献血に依存している医療現場に与える影響は大きいようです。
再生不良性貧血は、免疫の異常などで体内で白血球や血小板などの血液成分が十分に作れなくなる病気で、国内の患者数は約1万人とされています。
京都大学研究グループが進める計画では、献血による血小板製剤では拒絶反応が起きて効果が出ない特殊なタイプの患者に実施する予定です。患者自身の血液を基にしたiPS細胞から血小板を作製し、半年ほどの間に3回輸血し、1年かけて安全性や有効性を確かめます。
iPS細胞を使った再生医療は、2014年に目の難病患者に対する網膜組織の移植から始まりました。今年に入り心不全やパーキンソン病でも計画が進展しています。そのほかに角膜の病気や脊髄損傷などでも計画が進み、臨床応用への動きが加速しています。
これはあくまで臨床研究ですが、膨大な費用が掛かる点が今後の大きな課題と思われます。また計画と並行して研究グループと連携するベンチャー企業は、年内にもアメリカで、その後国内でiPS細胞による血小板製剤の製品化を目指して治験を実施する計画を進めています。
2〜3年後の製造販売承認を目標にしているようです。この背景には血液製剤は使用期限が採血から4日間と短く、長期間の保存が難しいことがあるようです。
また献血者数も減少しており、日本赤十字社によると1990年代には年間600万人以上でしたが、2017年度は約473万人となっています。こういった点からもiPS細胞由来の血小板が実用化すれば、不足分を補うのに期待できるとしています。
しかし課題の一つが安全面です。今回の研究では、1回の輸血に必要な血小板は100億から1千億個であり、血小板そのものは遺伝子を含む核を持たないため腫瘍の危険性はないとされています。しかし作る過程で血小板に変化できず残った細胞などが混じれば腫瘍化の恐れが出てきます。
ただウサギなどを使った実験では安全性や止血効果が確認されていますので、それ程問題はないようです。次がコストの問題ですが、研究グループによると、臨床試験にかかる費用は作製だけで約5000万円としています。
これを下げる工夫は色々なされているようですが、この額を聞くと身近な治療とはとても言えないようです。治験だから高額になる訳ではなさそうですので、このコストダウンがどこまで進むかが、iPS細胞治療が一般的になるのかが問われているような気がします。
血小板を含む血液製剤は献血によって作られていますが、少子高齢化などの影響で献血する人が減っています。iPS細胞から血液製剤ができるようになれば、将来の血液製剤の供給にも役立ち、献血に依存している医療現場に与える影響は大きいようです。
再生不良性貧血は、免疫の異常などで体内で白血球や血小板などの血液成分が十分に作れなくなる病気で、国内の患者数は約1万人とされています。
京都大学研究グループが進める計画では、献血による血小板製剤では拒絶反応が起きて効果が出ない特殊なタイプの患者に実施する予定です。患者自身の血液を基にしたiPS細胞から血小板を作製し、半年ほどの間に3回輸血し、1年かけて安全性や有効性を確かめます。
iPS細胞を使った再生医療は、2014年に目の難病患者に対する網膜組織の移植から始まりました。今年に入り心不全やパーキンソン病でも計画が進展しています。そのほかに角膜の病気や脊髄損傷などでも計画が進み、臨床応用への動きが加速しています。
これはあくまで臨床研究ですが、膨大な費用が掛かる点が今後の大きな課題と思われます。また計画と並行して研究グループと連携するベンチャー企業は、年内にもアメリカで、その後国内でiPS細胞による血小板製剤の製品化を目指して治験を実施する計画を進めています。
2〜3年後の製造販売承認を目標にしているようです。この背景には血液製剤は使用期限が採血から4日間と短く、長期間の保存が難しいことがあるようです。
また献血者数も減少しており、日本赤十字社によると1990年代には年間600万人以上でしたが、2017年度は約473万人となっています。こういった点からもiPS細胞由来の血小板が実用化すれば、不足分を補うのに期待できるとしています。
しかし課題の一つが安全面です。今回の研究では、1回の輸血に必要な血小板は100億から1千億個であり、血小板そのものは遺伝子を含む核を持たないため腫瘍の危険性はないとされています。しかし作る過程で血小板に変化できず残った細胞などが混じれば腫瘍化の恐れが出てきます。
ただウサギなどを使った実験では安全性や止血効果が確認されていますので、それ程問題はないようです。次がコストの問題ですが、研究グループによると、臨床試験にかかる費用は作製だけで約5000万円としています。
これを下げる工夫は色々なされているようですが、この額を聞くと身近な治療とはとても言えないようです。治験だから高額になる訳ではなさそうですので、このコストダウンがどこまで進むかが、iPS細胞治療が一般的になるのかが問われているような気がします。