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高血圧治療「腎デナベーション」

2018-07-07 10:10:25 | 健康・医療
利尿薬を含め3種類以上の降圧剤を飲んでいるのに、目標値まで血圧が下がらない人を「治療抵抗性高血圧」と呼んでいます。

今まで薬を重ね生活習慣を厳しく管理するしか手立てがありませんでしたが。高血圧を外科的に治療する「腎デナベーション」が実用化目前まで行っているようです。

血圧が上昇する仕組みはさまざまですが、なかでも「逃走-迷走」神経の交感神経ネットワークを介した腎臓の影響は大きいようです。

何らかの刺激で交感神経が亢進すると、心拍数が増え、血管が収縮し、血圧が上昇します。その際腎臓から血管の収縮に働く「レニン」という物質が放出され、血管が引き締まり出血淘汰に対する防御を固めます。その刺激が腎臓動脈周辺の交感神経の活動を高め、さらにレニンが分泌されますます血圧が上昇してしまうということです。

このためにレニン阻害剤という薬が、降圧剤として使用されています。このメカニズムは古くから知られ、1950年代には手術で交感神経を切除する方法が試みられてきました。ところが術後の合併症が重く中断された歴史があります。

しかし近年、脚の付け根から血管内にカテーテルを入れ、遠くの臓器を治療する「カテーテル治療(血管内治療)」が著しく進歩しました。これを応用して、腎動脈にまつわりついている交感神経を血管内から超音波や高周波で焼約する「腎デナベーション」が登場しました。

5月に報告され偽手術(単なる腎臓の血管造影)との比較試験によると、術後2か月時点で活動時間帯の上の血圧は、ニセ手術群がマイナス2.2mmHgだったのに対し、腎デナベーション群はマイナス8.8と有意に低下しました。また術後の有害な事象は認められませんでした。

この数値はやや小さいような気もしますが、高血圧の場合はもっと数値が高いので、この程度の低下でも効果があるのかもしれません。150人の被験者(18~75歳)の血圧は、降圧剤を止めてから4週間の術前時点で、135/85~170/105という数値でした。

これが腎デナベーション後にどう変わったかは出ていませんが、前述の程度下がっても正常な値とは言えないような気もします。それでも治療抵抗性がある高血圧にも当然効果が出るようですので、有害な副作用などが出なければ良い方法なのかもしれません。

日本でも複数の施設で腎デナベーションの臨床試験が行われています。安全性や長期間の有効性についてはまだ検討が必要ですが、今後の試験結果に注目したい手法なのかもしれません。

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