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老化で精子の遺伝子制御が変化

2024-01-13 10:34:06 | 健康・医療
高齢出産の場合女性の卵子が老化していくことが知られていますが、男性も加齢で精子の遺伝子の働きに影響が出ることを東北大学の研究グループが発表しました。

精子についても後天的に遺伝子の働きが変わる「エピジェネティック」の変化に焦点を当てています。「自閉症スペクトラム障害」などの神経発達障害の発症リスクは、母親より父親の加齢の影響が大きいことが報告されています。

研究グループはこれに着目し、エピジェネティックな変化の要因を明らかにしようと、マウスの実験を行いました。これまでに精子の形成においてDNAやDNAを巻き取るタンパク質「ヒストン」への、物質の結合が加齢で変化し、遺伝子の働き方に影響することを示してきました。

さらにエピジェネティックな要因として残る、マイクロRNAの影響の解明に挑みました。生物の体の設計図が書かれたDNAの情報は、まずメッセンジャーRNAに写し取られ、この情報をもとにタンパク質が作られます。

タンパク質は体で様々な働きをして生命活動を支えます。この過程でマイクロRNAは、mRNAに結合することでタンパク質をできなくし、遺伝子の働きを制御しています。研究グループは精子に含まれるマイクロRNAの、加齢による変化を解析しました。

その結果生後3,12,20カ月のマウス精子で合計447種類が見られ、そのうち全月齢に共通するのは半分の210種類で、その他は加齢で変化していることが分かりました。

変化したマイクロRNAには、細胞死や神経系に関わるmRNAに結合するものが多く、特に自閉症スペクトラム障害に関わる遺伝子の量と、それらを調整するマイクロRNAの量とが、強く逆相関していることが示されました。

具体的には社会性や神経活動の抑制のための遺伝子が、それらに対応するマイクロRNAが加齢で増えたのに対し、減少していました。変化したマイクロRNAには、受精卵となっても残るものが含まれていました。

こうした結果から、父親の加齢による精子のマイクロRNAの変化が、子の成長や発達に影響を与え、特に神経発達障害のリスクとなることを突き止めました。

研究グループは、ヒトでは精子に関し不妊治療で精子の数や形態、運動性が調べられてきましたが、エピジェネティックな要因が分かりました。加齢は次世代の神経発達障害につながるリスクがあり、生殖補助医療ではこうしたリスクを減らすことが重要だと述べています。

こうしたリスクがどの程度の頻度で起こるのか分かりませんが、やはり父母共に若いうちに子供を作った方が良いのかもしれません。


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