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「脳へ転移」したガンを治療する方法

2024-03-28 10:37:28 | 健康・医療
ガンは色々な臓器に転移することが知られていますが、肺ガンは脳に転移することが多いようです。

金沢大学の研究グループが、肺ガンが脳に転移するメカニズムを解明し、治療法などの開発につながる成果を発表しました。

肺ガンは診断時に脳への転移が見つかることが多く、脳へ転移したケースの約半数が肺ガンと考えられています。

肺ガン以外では、前立腺ガン、乳ガン、腎臓ガン、メラノーマなどが脳へ転移することが多く、ガンの治療法が進化発達し、生存期間が長くなるにつれて脳転移の発生率が増加しています。

化学療法に使われる抗ガン剤は血液脳関門を通過しにくいため、脳へ転移したガンに対しては外科的な手術や放射線治療が行われますが、これらの治療には手術の困難さや副作用の等の危険性があり、患者に大きな負担を強いることになります。

金沢大学の研究グループは、肺ガンが脳に転移するために必要なタンパク質を同定し、脳転移のメカニズムを解明することに成功し、その成果を学術誌で発表しました。脳には白血球が入らないため、グリア細胞の一種であるミクログリアが脳内での免疫機構の役割を担っています。

研究グループは、MGS法というグリア細胞の培養法を開発し、ガン細胞とグリア細胞との相互作用を長期間安定して解析することができるようにしました。

この手法を用いることで、ガン細胞を死滅させ、腫瘍細胞に対する強い食作用を持つミクログリアが脳内にあること、脳転移したガンに対しこのミクログリアの制御が重要であることが分かりました。

また研究グループは、肺ガンのガン細胞が脳へ転移する際に重要な役割を担うタンパク質(mGluR1)を同定しました。このタンパク質は、シナプス伝達に関係していることが分かっていましたが、本来肺ガン細胞がこのタンパク質を作り出すことはありません。

しかし脳へ転移した肺ガン細胞は、アストロサイトと相互作用することでこのタンパク質(mGluR1)を作り出せるようになります。

肺ガン細胞はこのタンパク質を利用し、このタンパク質が細胞の増殖に重要な役割を果たす受容体(EGFR)と脳内の神経伝達物質を介して結合し、活性化させることで肺ガン細胞は脳の中で増えていくことができるようになることが分かりました。

オシメルチニブという分子標的薬は、この受容体を阻害し肺ガン細胞の増殖を抑制できる有効な治療薬ですが、耐性ができてしまい治療ができなくなることがあります。

研究グループは、このタンパク質(mGluR1)を阻害することで、オシメルチニブが有効に作用するようになることも明らかにしました。

研究グループは今後、脳へ転移したガン全般の治療に役立つことのできる治療法の開発につなげていきたいとしています。


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